ファイル、ブロック、オブジェクト
いまさら聞けない「SAN」と「NAS」 アーキテクチャで読み解く、その違いとは(2/3 ページ)
NASのメリット
NASの大きなメリットは使いやすさだ。NASのメタデータは階層構造になっているため、ユーザーが理解をしやすい。ユーザーはブラウザを使用してファイル名を確認したり、分かりやすい名前を付けたフォルダで整理できたりする。
ユーザーがどこにいてもデータを共有できるため、共同作業に向いている。ネットワークに接続されたデバイスからファイルやフォルダに簡単にアクセスできるためだ。音声、動画、Webサイト、テキストファイル、「Microsoft Office」のドキュメントなど、非構造化データを管理できる。
取り付けるディスク数や容量を増やすことでストレージ全体の容量を増やせる。このアプローチを「スケールアップNAS」と呼ぶ。クラスタ化して「スケールアウトNAS」にするというアプローチも取れる。ハイエンド型のNASは、RAID用にディスクを収容できるようになっている。
UNIXの標準規約であるPOSIXに準拠したファイルアクセスができるため、セキュリティやファイルアクセスの一元管理も容易だ。
NASのデメリット
NASはそれほど高速ではない。高いパフォーマンスを必要とするアプリケーションのニーズを満たすのは難しいだろう。非常に多くのユーザーが同時にシステムに要求を送信すると速度が低下する可能性がある。ただし、こうした速度の問題はフラッシュストレージの活用で軽減可能だ。
スケーラビリティ(拡張性)の問題が生じる可能性もある。NASデバイスの数が多くなり過ぎると、NASが複雑化して手に負えなくなる恐れがある。特にデバイスを個別に監視しなければならない場合は顕著だ。こうした問題を緩和するためには、クラスタ化やスケールアウト型への変更を考えるといいだろう。
データの完全性が問題になる可能性もある。ファイルシステムはディスクにメタデータとコンテンツデータを保存するためだ。ファイルサーバの電源が切れると、システムは「fsck」というファイルシステムのチェック処理を実行し、データの状態を検証する。NASシステムによっては、fsckの実行に伴う遅延が重大な影響をもたらす恐れがある。
NASでのRAIDの使用が問題になる場合もある。障害後の再構築の時間が数日に及ぶ可能性がある。容量は大型化し、数TBのドライブが一般的になっていることから、状況は悪化する一方だ。
SANのメリット
SANは物理ストレージをリソースのプールとして扱うため、IT部門などで一元管理すれば必要に応じて容量の割り当てを変更できる。SANはファブリック経由で接続するため、条件が同じであればデータ転送とアクセスの時間はNASよりも高速になる。スケーラビリティも高い。
可用性の高いSANは単一障害点を持たないように設計されている。これは、可用性の高いSANのディスクアレイとスイッチを組み合わせて、重要なコンポーネントとSANの接続に冗長性を持たせて実現している。
SANのデメリット
SANの主なデメリットは、コストが高く、設計が複雑なことだ。ハードウェアは高価で、構築と管理には専門知識とスキルが求められる。
そして専用ケーブル、専用のスイッチ、ストレージハードウェアを利用するため、NASよりも複雑になる。以前はブロックデータを転送できるだけの信頼性がなかったため、ストレージ用に特別にFCが開発された。だが、FC接続のSANは、構築するために専門知識が必要になる。
拡張性は高いが、SANアレイ単体では限界がある。限界に達した場合は、よりパフォーマンスが高いアレイに移行するか、複数のアレイを追加しなければならない。ストレージノードを追加して容量とパフォーマンスを同時に拡張することで、この問題を回避するSANが増えている。
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