不慣れなITチームは「セキュリティリスク」
ハイパーコンバージドインフラのセキュリティを確保する方法
ハイパーコンバージドインフラ(HCI)システムのデータのセキュリティを確保するには、共有リソースや仮想管理など、HCI特有の特徴を考慮するツールや技法が必要になる。
規模の大小を問わず、あらゆる企業でハイパーコンバージドインフラ(HCI)の検討が進んでいる。HCIについて多くの情報が飛び交っているが、重要な側面であるデータセキュリティについてはあまり語られていない印象だ。HCIの目的は、リソースを1つの包括的なプラットフォームにまとめることだ。そのため、HCIのセキュリティは、保護対象のHCIプラットフォームと同様、統一されていて包括的でなければならない。
従来のセキュリティの取り組みは境界防御に重点を置いていた。だが、サイバー犯罪者が検知されずにネットワークに侵入し、潜伏するようになった現在ではさらなる保護が必要になる。ネットワークのセグメンテーションやマイクロセグメンテーションは、このような脅威の緩和に役立つ。だが、セグメンテーションは複雑で、柔軟性が低く、大量のリソースを必要とする。セキュリティの脅威が増す中、HCIに求められるのは、変化し、進化するワークロードに対応できる柔軟性を備えた新しいセキュリティモデルだ。
HCIの課題
HCIに含まれる仮想マシン(VM)やストレージやネットワークなどのソフトウェア定義リソースのセキュリティには、従来のセキュリティモデルだけでは満たせない独特の課題がある。HCIのセキュリティに求められるのは「コントロール」「データ」「管理」の視点でリソースを保護できる包括的な取り組みだ。
新しいテクノロジーにはよくあることだが、初期のHCIベンダーは、新しいセキュリティモデルの開発よりも、自動化、導入、パフォーマンスなどの問題に集中していた。そのため、データ保護については既存のツールを利用している。だが、多くのセキュリティベンダーはHCI用にツールを設計していたわけではなかったため、悪意のある活動を、全ての領域にまたがって防ぐための柔軟性と拡張性が欠けている。
HCI技術に不慣れなITチームが、不適切なポリシーを構成したり、セキュリティホールにつながる恐れのある問題を引き起こし、自らセキュリティリスクをもたらしたりする恐れもある。
HCIのセキュリティの大きな課題は、基盤となるコンピューティングリソース、ストレージ、ネットワークなどのハードウェアが抽象化されることにある。そのため、一連のサービスが共通のセキュリティプロファイルを共有することになる。つまり、1つの攻撃ルートがあれば、全てのシステムとデータに不正アクセスできる。こうした攻撃は数カ月に渡って検知されない可能性がある。
HCI環境のセキュリティ確保
セキュリティが確保されたHCIを導入するには、HCI環境の仕組みと、その環境が既存のセキュリティツールに及ぼす影響をIT管理者が理解する必要がある。企業に定着したセキュリティチームがある場合は、早期にチームメンバーを迎え入れ、潜在的な問題の特定と可能性のある解決策の評価を手助けしてもらう必要がある。
IT管理者は最初からセキュリティを優先し、コントロールやデータプレーン、管理の視点でそれぞれを保護する必要性を考慮しなければならない。包括的なセキュリティ戦略は、プラットフォームとなるインフラと同様アジャイルでなければならない。柔軟性のあるリソース割り当て、必要に応じたスケール変換、変化するワークロードなどにも対応する必要がある。目標は、プラットフォーム自体の進化に合わせて進化できる柔軟なセキュリティメカニズムを整備することだ。
戦略を立てたら、ITチームはHCIのセキュリティを念頭において設計されたツールを探す必要がある。例えば、VMwareの「vSAN」は、HCI環境のセキュリティを高めるのに役立つ「ソフトウェア定義の暗号化」機能を提供するようになった。「Microsoft Hyper-V」は仮想化環境の保護を強化するため、保護されたファブリックとシールドされたVMをサポートするようになった。さらに、HCIプラットフォームを含め、物理環境と仮想環境の両方に対応するセキュリティ製品を提供するベンダーが増えている。例えば、WinMagicの「SecureDoc」製品は、NutanixのHCIでの動作を検証済みだ。
管理者はポリシーベースのセキュリティアプローチも検討する必要がある。このアプローチは、ポート、仮想ネットワーク、アクセス制御リストなどのコンポーネントよりも、アプリケーションを重視する。また、セキュリティモデルを簡略化する。進化するワークロードに対応するために必要な柔軟性もある。さらには、ワークロードのライフサイクル全体でセキュリティを確保できる。例えば、開発者は開発プロジェクトのライフサイクル全体で特定のコンピューティングインスタンスが他のネットワークセグメントのインスタンスと通信することを許可するポリシーを作成できる。
特定のコンポーネントやワークロードではなく、HCIプラットフォーム全体を暗号化する方法も検討できる。この方法は、管理オーバーヘッドを抑えながら、保存時と転送中の全てのデータを保護できる。また、管理者は、バックアップを含め、VMファイルを完全に保護しなければならない。その結果、誰かがファイルを盗んでリモートシステムで実行を試みる場合に備えられる。
HCIセキュリティモデルへの移行は、それまでのセキュリティアプローチを完全に捨て去ることではない。引き続き、バックアップ戦略ではセキュリティを考慮し、ネットワーク保護のためにファイアウォールや侵入検知などのテクノロジーを利用する必要がある。ゼロデイ攻撃のリスクを軽減するために、さまざまなユースケースに複数のHCIベンダーの利用を検討することも考えられる。
HCI業界では、セキュリティに関してはまだ遅れを取り戻している段階だが、前進は続けている。それでも、ITチームはHCIに対して特に慎重になる必要がある。HCIは新しいテクノロジーで、日々新たなイノベーションが起きている。管理者は、HCI特有の性質を考慮しながら、セキュリティをどのように導入するかを慎重に計画しなければならない。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
「Excel至上主義」の終わらせ方 丸2日の手作業地獄から情シスと現場を救うには
-
2
急増する「AIはこう言ってる」マン 判断を狂わせる「AI忖度」を防ぐには?
-
3
取手市がVDIと決別した理由 更改費用「4倍超」を約1.7倍に圧縮
-
4
221人調査で分かった「情シス最大のストレス」は?
-
5
「データストレージの活用方法」に関するアンケート
-
6
「AI時代の統合基盤・エンタープライズAI管理」に関するアンケート
-
7
自宅のWi-Fiが「遅い」「途切れる」本当の原因は? Dellが推奨する鉄則
-
8
100億円の「Linux更新」を回避 みずほ銀行が選んだ“おきて破り”のRHEL延命策
-
9
本当に安いPCで十分か? “すぐ重くなる”を防ぐノートPC選びの絶対条件
-
10
Claudeの不可視透かしに批判殺到 著作権消失や誤判定に潜む企業リスク
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
年収2000万「クラウドセキュリティのプロ」になれる資格とは
-
2
セキュリティソフトをすり抜ける標的型攻撃メール、不審メールの見破り方とは?
-
3
Windows Updateの通信集中で回線が逼迫、ネットワーク刷新事例に学ぶ解決策
-
4
財務を戦略的組織へ進化させるAI活用術、4つの主要な障壁と解消方法
-
5
「NAS」「SAN」「DAS」は何が違う? いまさら聞けないストレージの基礎
-
6
“あのファイル転送”で暗躍するノーウェアランサム
-
7
標的型攻撃メールを見破るには? サンプル文面を例に傾向を解説
-
8
商用利用の安全性を確保し大量のコンテンツを高速で生成する、AI活用の秘訣
-
9
マンガで解説、1日で生成AI環境を構築できるワークショップの中身とは?
-
10
Dark AIが台頭する時代の新発想、「より高度なAIで対抗する」具体的方法とは?
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー