エンドユーザーはどんな基準で選んでいる?
セルフサービスBIのサブスクリプション料金モデルに変化が起きている
セルフサービスBIツールが広く利用されるに伴い、サブスクリプションの料金モデルにも変化が起きている。例えば、クラウドやグループのデータ使用状況、データの共有方法に応じた選択肢が登場している。
セルフサービスBI(ビジネスインテリジェンス)ツールには多くの種類があり、ダッシュボードの作成や表示用にさまざまな機能が提供されている。
こうしたツールにはそれぞれ独自のサブスクリプション料金モデルがあり、中には無料のツールさえある。だが「選択する製品と料金モデルを検討する場合は、ツールの機能、セキュリティ、スケーラビリティを理解することが重要だ」と話すのは、AirAsia BerhadのCEOであり、デジタルトランスフォーメーションや法人向けサービスを担うアイリーン・オマル氏だ。
SaaS形式のセルフサービスBIツールは広く使用され、大半の企業が重宝している。セキュリティが高いこと、調達面で優れていること、最新のパッチが適用されること、ニーズに基づくユーザーライセンスの素早い有効化/無効化が可能であることなどがその理由に挙げられている。
「セルフサービスBIツールを最大限に活用するには、ツールをサポートするためにデータ環境の基盤を構築し、ライトユーザーにもパワーユーザーにも十分なトレーニングを提供することが必要になる」と語るのは、分析管理コンサルティング企業AspirentのCEOで『Monetizing Your Data: A Guide to Turning Data into Profit-Driving Strategies and Solutions』(データの収益化:収益を生む戦略とソリューションをデータから生み出すためのガイド)の共著者でもあるアンドリュー・ローマン・ウェルス氏だ。
従量課金制を選択する
「当社ではセルフサービスBIツールを導入する際、定額課金制ではなく従量課金制を推奨している」と話すのは、海運業向けアプリケーションベンダーNavisでIT部門のバイスプレジデントであるデイブ・マクキャンドレス氏だ。同氏は通常、顧客にライセンスを付与した後に使用状況を測定するという。そうすることで、発生する料金の他、同氏の期待や仕事上の課題に応えている顧客を詳細に把握する。そうした顧客はセルフスターターやイノベーターに偏ることがある。
さらに同氏は、価格が下がり続けていることを理由に、データストレージは安価なものを導入することを勧める。データ保持ポリシーの改定を容易にすると同時に、そのコストを安く抑えるためだ。
サブスクリプションサービスのパラダイムを作る
セルフサービスBIツールのサブスクリプションサービスとして新たな種類が誕生しているため、マクキャンドレス氏は、ユーザーがデータを共有する方法やそのコストに大きな革命が起きると考えている。ユーザーデータの管理や、他のデータへの接続性の管理を担う担当者や企業にも同じ変化が起きる。つまり今後、コスト削減と生産性向上を促し続けるビジネスプロセスが多数考案される可能性が高い。
「全体的に見て、ベンダーは価格設定をできる限り分かりやすくしようとしている」と語るのは、コグニティブソーシングサービスを提供するLevaDataのマーケティング部門シニアバイスプレジデントであるリチャード・バーネット氏だ。「使用したデータ量に基づいて課金する料金モデルの数は比較的少ない。エンドユーザーにとっては、実際の価格がやや不透明で予測が難しいためだ」
サブスクリプションの料金モデルには、単位がユーザー数よりも広い範囲に移る傾向が見られると同氏は話す。セルフサービスBIツールのプロバイダーはユーザー数を増やすため、洞察の数やその他の使用状況測定に基づく価格に設定を変更している。ユーザー数にかかわらずグループごと、部門ごとに課金するプロバイダーもある。その理由の1つは、IT部門以外の個人ユーザーの獲得を増やすためだ。
ベンダーは、標準APIとの連携やコネクター接続を可能にすることで既存のプラットフォームに分析を埋め込みやすくしている。同氏によれば、管理者はITリソースへの依存を軽減するようユーザーに推奨することと、データ品質を確保し標準化を確実に行うためにIT部門と連携することのバランスを取る必要があるという。
投資の的を絞る
セルフサービスBIから最大の価値を引き出すには、導入を考えているツールへの投資について管理者が戦略的に思考する必要がある。ほとんどのプラットフォームは製品を一定期間にわたって無料で使えるようにするキャンペーンを行っているが、実際の価格は高額になることが多い。さらに、サブスクリプションの料金モデルは複雑で、サービスレベルの計算は難しいと警告するのは、ITサービス管理プロバイダーASG Technologiesで製品マーケティング部門のバイスプレジデントを務めるロブ・ペリー氏だ。
適切な製品に確実に投資するには、管理者はまず現在自社で使用している分析ツールのポートフォリオを把握すべきだ。導入済みのツールは、サービスレベルを引き上げても、新しいSaaSサービスより安価な上に、機能も変わらない可能性がある。もしそうでないなら、現在のライセンスやサブスクリプションをキャンセルして新しいSaaSツールに乗り換える必要があるかもしれない。
いずれにしても、アナリストのコミュニティーなど、外部のソースに積極的にアドバイスを求める必要がある。
見えないコストに注意
大企業の大半は、クラウドベースのサブスクリプション料金モデルに移行しようとしている。だが、モデルによっては価格やインフラコストが大きく異なる可能性があり、こうしたコストはすぐには目に見えないこともある。
見えないコストの例を1つ挙げると、セルフサービスBIツールに必要なクラウドデータがアベイラビリティーゾーン間を移動するときの転送コストは高くつく場合がある。さらに、サーバのライセンス料から発生する見えないコストもある。高級品を扱うネットショップOlivelaで分析部門のディレクターを務めるドミニク・ゴー氏は「データ転送コストを抑えてサーバライセンスコストを排除するために、バックエンドでクラウドデータウェアハウステクノロジーのみとしか連携しないソフトウェア開発サービスを使用している」と話す。
制限を知る
サブスクリプションの料金モデルはニーズやボリュームなどの要因によって異なる。そのため、管理者はこれらのモデルの弱点を評価して、適切なライセンスとサポートに投資できるようにする必要がある。
ブログソフトウェア「WordPress」のマネージドホスティングサービスを提供するPagelyでCEOを務めるジョシュア・ストレベル氏は次のように語る。「当社の技術チームには、BIソフトウェアの統合をサポートする時間があまりなかった。従って、セットアップの全てを自社で負担しなくてもよいサービスを見つけることが重要だった」
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