セルフサービス型だけではない
ちょっとした機能強化でビジネスインテリジェンス(BI)の価値を上げる方法
従来のビジネスインテリジェンス(BI)ツールでも、価値ある情報を得ることはできるが、より高度なツールを備えた大掛かりな分析プラットフォームにBIを組み込めば、情報の価値はさらに高まる。
従来のビジネスインテリジェンス(BI)は、最近のデータ分析かいわいでは大して面白みのないテクノロジーになっている。だが、現代の企業にとって、BIの価値が下がっているかといえば、そんなことはない。ただ、利益を生むために、ちょっとした機能強化が必要なだけだ。
「BIは変化している。競争力を維持するには、こうした変化に合わせて企業も変わらなければならなかった」と話すのは、電気ガス事業会社National Gridでデータ分析とクラウド革新に関するポートフォリオディレクターを務めるローリー・アッバツィオ氏だ。
併せて読みたいお薦め記事
「Qlik Sense」と「Tableau」の違いとは
「セルフサービスBI」について詳しく
ここ数年で起こったBIの最大の変化は、セルフサービス方式へのシフトだ。新しいアプリケーションではもはや、セルフサービス方式がデファクトスタンダードになっている。こうした変化によって、一部のユーザーの目には基本的なレポートの価値が下がり、ユーザー本位のデータ調査が高尚に見えるようになった。
だが、従来のレポートが全く無意味になったわけではない。例えば、アッバツィオ氏は、2018年5月5~8日に開催した「Gartner Data & Analytics Summit 2018」の講演で、同氏のチームが依然としてお決まりのレポートや方針策定用ダッシュボードの作成とメンテナンスを続けていることについて述べた。しかし「企業運営により大きな影響を及ぼすには、セルフサービスツールや高度な分析テクノロジーを組み込んだ、規模の大きな分析プラットフォームに、この種のBIを統合する必要がある」と同氏は指摘する。
「レポートだけではなく、分析関連のあらゆる機能を利用できるようにする必要があった。人工知能(Artificial Intelligence)や拡張知能(Augmented Intelligence)といった新しいテクノロジーも積極的に取り入れたかった」(アッバツィオ氏)
そのために、アッバツィオ氏のチームはエンタープライズ分析ポータルを構築した。このポータルは、National Gridの職員全員のデータニーズに対応するワンストップショップとして機能する。Webプラットフォームでは、Tableau Softwareの「Tableau」に組み込まれた標準BIレポートとセルフサービス方式のデータ調査機能を利用できる他、データの準備用にAlteryxのソフトウェアが組み込まれている。さらに、プログラミング言語の「R」「Python」や、「H2O」のような機械学習分析プラットフォームも含まれている。
「統合のポイントは、情報の利用者、BIレポートの作成者、データサイエンティストといった旧来の役割区分がなくなりつつあることを認めることだ」とアッバツィオ氏はいう。今後もBIから価値を引き出すには、役割に関係なく、各自が必要なときに情報を入手して、必要な分析をできなくてはならない。
「支援を必要としている役割は、単なるエンドユーザーの利用者以外にもたくさんある」(アッバツィオ氏)
新しい役割には新しい提供モデルが必要
あらゆる業界に属する企業が、BIと分析の利用価値の再評価に関連してこのような役割の変化に対処しようとしている。データ主導型のビジネス戦略を採用する企業が増えるほど、データや分析機能へのアクセスを必要とする事業部門の従業員数は増えていく。
Gartnerアナリストのジェームズ・リチャードソン氏は「このような機能を提供するために、企業では新しいモデルの採用を迫られている」と考察する。
現代の企業では、IT部門がBIレポートを提供してきたこれまでのモデルは有効ではない。レポートを作成してから提供するまでの時間が長く、静的なBIレポートの実用性は低いというのがリチャードソン氏の考えだ。一方、各事業部門が独自のツールを導入するシャドーITアプローチは、無駄とサイロ化の原因になる。
リチャードソン氏が代わりに提案するのは、ハイブリッドアプローチだ。まず、統制を敷き、ベストプラクティスやツールの導入を担当する集権的な分析チームを結成する。そして、各事業部門に分権的に編成されたチームが、集権的チームに対して報告しながら、BIやデータ分析の戦略を各部門に代わって担っていく。
「これが、実際に起こっていることだ。従業員は『Microsoft Excel』を使ってそれぞれデータを分析してきた。今ここで伝えているのは、IT部門の方が便利なツールを提供できるということだ」(リチャードソン氏)
BIと分析の価値を決めるのは柔軟性
同じく「Gartner Data & Analytics Summit 2018」で講演したGartnerアナリストのジョーオ・タパディンハス氏は「現在のBIの価値を最大限高める上で重要なのは分析プラットフォームに柔軟性を持たせることだ」と述べている。主要なパフォーマンス指標を監視して業績を把握するというBIの代表的な機能はやはり重要だ。だが、その機能がビジネスに革新的変化をもたらすことはない。同氏はこのように忠告し、このようなBIを別の高価値機能と統合することを推奨する。
タパディンハス氏によると、自動化がこのような動きの大きな原動力になっているという。ベンダーは高度な機械学習とAIをツールに組み込むようになり、今後、企業は特定のBI機能を自動化できるようになる。ユーザーは、開発者チームにレポートの作成とメンテナンスを求めなくとも、情報が必要なときにあらかじめ定義された幾つかのメトリックをチェックするだけでよくなるだろうと同氏は予測する。
「現在利用している『Qlik』『Power BI』やTableauといったツールが、広範な分析機能を提供できるようになるだろう」(タパディンハス氏)
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
新着ホワイトペーパー PR
-
製品資料
[SCSK株式会社] 「Dropbox」管理・運用の困りごと解決ガイド -
事例
[SCSK株式会社] 東急建設や朝日放送など4事例に学ぶ、クラウドストレージ移行のポイント -
製品レビュー
[株式会社シーイーシー] 脱VMwareは単なる移行で終わるのか? 後悔しない次世代基盤の選び方とは -
市場調査・トレンド
[株式会社日立ソリューションズ] クラウド型ストレージと文書管理システム、その使い分け方とは? -
市場調査・トレンド
[グーグル・クラウド・ジャパン合同会社] AIの悪用でサイバー攻撃が加速、インシデント調査で判明した脅威の実態と防衛策
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
PHP脆弱性「PHP2Shell」で2260万件に影響 情シスの緊急チェックリスト
-
2
半数がブルーカラー転向を視野に? ベテランエンジニアを追い込む“54歳の壁”
-
3
「Windows」の不要なファイルを安全に消して容量を空ける方法
-
4
「生成AIの導入・活用」に関するアンケート
-
5
「Microsoft 365」が乗っ取られる MFAを破る“本物の画面”の恐怖
-
6
Claude利用8割のGMO、AI人材の評価軸が「トークン管理」に変わった
-
7
なぜ「Gemini 4 Argon」は出遅れたのか? Googleが狙う“逆転のシナリオ”
-
8
みずほ証券が「液冷サーバ」を採用 1日3.6億件の計算を支えるための要件
-
9
ChatGPTは“検索しまくり”でGeminiは“淡泊”? データが明かすAIの裏側
-
10
生成AIが普及しても「技術書」を手放せないエンジニアの本音
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
AI駆動攻撃にどう対抗する? 超速の攻撃からエンドポイントを保護する方法
-
2
2026年のサイバーセキュリティには何が必要か? 最新データに学ぶ傾向と対策
-
3
経験豊富な即戦力人材に直接アプローチできる、「攻めの採用」への転換術
-
4
「IT史に名を残すシステム障害」8選
-
5
最速72分でデータが流出? 最新の脅威トレンドや侵入手法から分かった防衛策
-
6
AI駆動開発のスピードと安全性を両立 「品質・セキュリティ管理」の実践ガイド
-
7
不審メールの経路や見せ方に変化? 2026年夏の3事例から見えた動向と対処方法
-
8
HDDを使わない「SSDオンリー」が無謀なのはなぜ?
-
9
「標的型攻撃メール」事例・サンプル集
-
10
Microsoft 365のメールセキュリティ、3つの“死角”と追加で検討すべき対策とは
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー