高機能な製品は、現場のトレーニングで苦労する場合も
クラウドERP 10製品を徹底比較 辛口ユーザーが語るメリットとデメリット(3/3 ページ)
Plex Manufacturing Cloud
Plex Systemsの「Plex Manufacturing Cloud」は、製造業を運営する上で欠かせない可視性と統制を実現できる。このソフトウェアは企業の製造業務をクラウドで接続することで生産現場を自動化する。
Plex Manufacturing Cloudは、サプライヤーを結び付けて資材を管理し、機械を制御して製造会社に必要な会計やBIを提供する。このソフトウェアはレポートや消費税の計算といったその他の財務面も管理できる。
Plex Manufacturing Cloudは特定業界に特化している部分もある。先端技術と電子機器製造、工業生産、精密製造、航空宇宙、防衛、自動車業、食品飲料業などがその例だ。
Plex Manufacturing Cloudの機能には次のようなものがある。
- スマートマニュファクチャリング向けBI:Plex Systemsの「IntelliPlex」ビジネスエンジンは、分析と高度なレポートを利用して生産現場から経営判断までを1つにまとめる。
- 製造現場用の製造実行システムや品質管理システムの機能
- 販売とマーケティング用のCRM機能
- 調達用のサプライチェーン管理機能
- 主要製造プロセスをサポートするクラウドベースアプリケーション:これには製品ライフサイクル管理、連結から報告、受注から入金、計画から調達、調達から支払い、照合から報告などがある。
Plex Systemsは特定の製造方法に合わせてシステムを作っている。例えば、モノのインターネット(IoT)、リーン生産方式、インテリジェントマニュファクチャリングの他、バッチ生産と工程作業の両方で構成された混合モード製造などだ。こうした機能により、特定のカスタマイズを必要とする企業にとって最適な製品になっている。
ただし「ソフトウェアを使うのが非常に難しく、幅広いユーザートレーニングが必要になる」というユーザーの意見もあるようだ。
QAD Cloud ERP
QADの「QAD Cloud ERP」は多様な業界に属するメーカーのニーズを満たすように設計された総合的なERPスイートだ。
QAD Cloud ERPの機能には次のようなものがある。
- 製造:混合モード製造をサポートする。この機能には、計画、スケジュール設定、コスト管理、在庫、資材管理、品質、レポート、管理、生産現場管理向けのツールなどがある。
- 財務:日常の財務業務を効率化して、複雑化した大規模メーカーや1つの場所で運営する小規模企業のニーズをサポートする。QAD Cloud ERPには総勘定元帳の配分と統合や、洗練された予算モデル作成が組み込まれている。国際財務報告基準(IFRS)と複数のGAAP(Generally Accepted Accounting Principles、会計基準)のレポートや課税をサポートしており、メーカーが地域のレポート要件を満たすことを可能にする。
- 顧客管理:顧客ライフサイクルの全側面を支援する。
- サプライチェーン管理:購入から倉庫保管や輸送管理まで、多数の機能を提供する。
- サービスとサポート:実装、パーツ、修理、保証、サービス、エンジニアのスケジュールを管理し、メーカーによる顧客満足度の改善を後押しする。
- 企業資産管理:予防保全、保全作業命令書、サービス要求などを含む設備保全の取り組みをサポートする。
- 分析:意思決定者にタイムリーで正確な情報を提供する。それにより、業績を継続的に改善するとともに、適切な意思決定をより迅速に下せるようにする。
QAD Cloud ERPは複数の現地語、国特有のビジネス慣行、法的要件をサポートする。QADによると、QAD Cloud ERPのアーキテクチャではメーカーがその組織構造に合うようにERPを簡単に構成できるという。これには共有サービスのサポートも含まれる。
ただし、このソフトウェアは「他のサードパーティーアプリケーションとの連携や同期が難しい場合もある」というユーザーの声もある。
SAP Business One
SAPの「SAP Business One」は、同社としては特に優れた中小企業向けクラウドERPソフトウェアだ。顧客向け製品、小売り、専門サービス、先端技術など、さまざまな業界に属する小中規模の企業を対象にする。
SAP Business Oneは主要プロセスを効率化し、ビジネスに対する重要な洞察を獲得して、リアルタイム情報に基づき意思決定を下すのに役立つ。このERPソフトウェアはオンプレミスまたはクラウドに導入でき、分析を可能にするBIモジュールとも連携できる。
機能には次のようなものがある。
- 財務管理:利益を改善し、エラーを減らして、より高い利益を生み出す意思決定ができるように支援する。このモジュールには、会計、キャッシュフロー管理、固定資産管理システム、銀行業務/照合機能、財務レポート、財務分析などが含まれる。
- 販売顧客管理:初回のコンタクトから案件成約、販売後のサービスやサポートまで、ユーザーが販売プロセスと顧客ライフサイクル全体を管理できるようにする。
- 購買在庫管理:注文から支払いまでのサイクルを完全に管理し、購買業務やコスト管理を最適化する。このモジュールには、マスターデータ管理、リアルタイム同期と買掛金機能による倉庫と会計の統合、効率化された調達プロセス、リアルタイムデータを使用した統合レポートなどがある。
- 分析とレポーティング:不可欠なデータをリアルタイムで取得し、ダッシュボードとレポートを通じて即座に、求める情報を企業全体に届ける。
SAP Business Oneはビジネス全体を可視化する1つの統合製品だ。この製品を使用することで、企業は会計や在庫といったビジネスのあらゆる側面を管理できる。ただし、顧客企業の中には「SAP Business Oneは実行が遅い傾向もある」という声もある。
SAP S/4HANA
SAPの「SAP S/4HANA」はクラウドベースとオンプレミスのERPビジネススイートだ。「SAP HANA」インメモリデータベースに基づき、企業が取引の実行やビジネスデータの分析をリアルタイムで実行できる。
SAP S/4HANAの主な機能には、財務パフォーマンスの計測、サプライチェーン管理、購買、契約管理、ライフサイクル管理、生産コスト管理、会計などがある。
SAP S/4HANAを使用する企業は次のようなことが可能になるという。
- リアルタイムで財務状況を理解することで、計画や分析から決算処理や資金管理まで、財務プロセスを最適化できる。
- ロジスティクス、製造、資産管理に機械学習を使用して、デジタルサプライチェーン全体での可視性と俊敏性を向上させる。
- 機械学習が組み込まれたインテリジェントなアプリを使用して、サプライヤー管理の強化、購買の効率化、協調的な調達や契約管理の導入を実現する。
- 完全に整合性の取れた製品ポートフォリオを開発することで、管理者がライフサイクルを管理し、生産コストを制御して、リソースを効率的に導入できるようにする。
- 顧客に関する洞察を含めて業務の全体像を把握し、マーケティングチーム、販売チーム、サービスチームによる生産性の強化、収益の向上、ビジネス機会の促進を支援する。
- 統合やカスタムコーディングといった難題には取り組まずに、中核的なシステムをカスタマイズすることでビジネス固有のニーズを満たす。
- 発注書、購買申込書、請求書、契約書を分析し、購買費用に関する幅広いリアルタイム情報を取得する。
- 販売、価格設定、ロジスティクスのプロセスと契約管理を連携させ、可視性と効率性を改善する。
SAP S/4HANAを使用する企業は、財務や人事からサプライチェーン管理や製品ライフサイクル管理まで、基本的なプロセスを最適化できる。あらゆる業界に属するあらゆる規模の企業に向いているとSAPはアピールする。
「必要なスキルセットを備えた人材が社内にいない企業では、習得に多少の時間がかかる可能性がある」という意見もある。その点が障害になりかねず、検討の必要がある。そのため、そのような人材を確保できない企業では、SAP S/4HANAは最適なクラウドERPソフトウェアにはならないかもしれない。
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