用途に応じて選ぶ
いまさら聞けない「RAID 6」「RAID 10」の違い 比較のポイントは?
RAID構成にはさまざまな選択肢がある。それぞれの微妙な違いを理解するのは難しい。広く利用されている「RAID 6」と「RAID 10」のどちらにも明確な長所と短所がある。
複数のHDDを組み合わせて1台のHDDのように運用する「RAID」(Redundant Arrays of Independent Disks)には、さまざまな構成がある。中でも一般的な「RAID 6」と「RAID 10」をどのように使い分けるのかは、ストレージ管理者にとって難しい問題だ。同じく広く利用されている「RAID 5」も含め、用途ごとにRAID構成のメリットは異なる。
RAID 6とRAID 10のどちらを利用するかは、企業の優先事項による。採用するRAIDのレベルを決めるに当たり、企業はデータ損失の防止、パフォーマンス要件の達成、容量の最大化などを考慮する必要がある。
RAID 10は入れ子構造のRAIDレベルで、「RAID 1」と「RAID 0」のメリットを併せ持つ。RAID 1とRAID 0はそれぞれ、同じデータを複数のHDDに保存する「ミラーリング」、複数のHDDに分散して書き込む「ストライピング」を実現するRAIDレベルだ。RAID 10はデータをミラーリングした後、その結果を複数のHDDにストライピングする。
RAID 6は標準のRAIDレベルだ。ストライピングによってデータを分割し、パリティー(冗長コード)を2回計算する。計算結果はHDDの異なるブロック(データを読み書きする最小区画である「セクタ」を複数まとめた単位)に格納される。RAID 6とRAID 10はどちらもフォールトトレランス(耐障害性)を実現するため、データ損失の可能性をある程度緩和できる。
本稿ではRAID 6とRAID 10という2つのRAIDレベルを比較し、それぞれのメリットを考える。
RAID 10よりも利用可能な容量が多くなるRAID 6
RAID 10を構成するストレージアレイでは、データを格納できるのは合計HDD容量の半分のみだ。残りの半分はミラーリングに使用する。RAID 6アレイがHDD 4台という最低限数で構成されているとする。その場合、パリティーを保持するためにHDD2台分の容量を確保する。RAID 6でも同様にデータを格納できるのは合計HDD容量の半分のみになる。RAID 6とRAID 10の違いが出るのは、HDDの使用台数が下限を上回るときだ。
RAID 10アレイは、使用しているHDD台数に関係なく、容量の半分をデータ消失の保護用に使う。だがRAID 6アレイでは、HDDを追加するほど利用可能な容量が増加する。例えばRAID 6で8台のHDDを使用する場合、パリティーに使用するのは相変わらずHDD2台分なので、利用する容量はRAID 6アレイを構成する全HDD容量の25%のみになる。
2つのHDDの障害に対して保護可能
RAID 6は、2種類のパリティーを異なるHDDに配置する2重パリティー方式を採用する。そのため、2台のHDDで同時に障害が発生してもデータを保護できる。RAID 10では、2台のHDDで障害が発生すると、障害の発生箇所によってはデータ損失を防げる場合と防げない場合がある。
同じミラーセット(RAID 1を構成するHDD群)の2台のHDDに障害が発生した場合、別のミラーセットに切り替えることが可能だ。ただし2つのミラーセットに含まれるHDDに障害が発生した場合は、別の処置が必要になる。
書き込みは低速
RAID 6では書き込み操作ごとに2回のパリティー計算が必要になる。そのため、他の大半のRAIDレベルよりも書き込みに時間がかかる。こうしたパリティー計算を処理し、RAID 6の書き込み速度を向上させるために、RAIDアレイを構成するHDDやデータの管理を担う「RAIDコントローラー」の補助プロセッサを使う。
RAID 6よりも障害後の再構築時間が短いRAID 10
RAID 6の大きなデメリットは、書き込み速度が遅いためHDD障害発生後の再構築に時間がかかる点にある。標準サイズのRAID 6アレイでも、アレイ内のHDD台数とHDD容量によっては、再構築が24時間に及ぶ可能性がある。RAID 6のユーザーは利用可能な最大限までHDD容量を使用する傾向があるため、このデメリットがさらに深刻な制約になる。
特別なハードウェアを必要としない
RAID 10は、RAIDコントローラーを問わず一定のパフォーマンスを発揮する傾向がある。RAID 6を利用する予定であれば、RAID 6用に設計された専用のRAIDコントローラーが不可欠だ。RAID 6は前述の通り、基本的に書き込みのたびにパリティーを2回計算する。
どちらを選ぶべきか
どのRAIDレベルを選ぶかは、保護するストレージの種類と必要な容量によって異なる。RAID 6はたいていSATA(シリアルATA)接続型HDD、特に大容量のSATA接続型HDDを利用する場合に採用される。
技術的にはSCSI接続型HDDでもRAID 6を利用できるが、利用する意味はあまりない。SCSI接続型HDDは一般的に、SATA接続型HDDと比べて信頼性が高い。
RAID 10はRAIDレベルが入れ子になっているため、信頼性の高い2つのRAID構成が備えるメリットを併せ持つ。RAID 10はSSDをはじめとするフラッシュストレージでの利用にも適した、数少ないRAIDレベルだ。フラッシュストレージの価格が下がり続けているため、RAID 10はフラッシュストレージ環境と組み合わせる魅力的な選択肢になる。
どのRAIDレベルを利用するかを判断する際は、予算や容量、読み込み/書き込み速度、再構築時間、復旧時間を検討する必要がある。
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