HDDやRAIDのメーカーは、ソリッドステートドライブ(SSD)のセルの寿命について不安をかき立てている。だが企業がSSDの採用を検討する際、劣化を心配する必要はそれほどないという声もある。
SSDの寿命は依然として不安視されているようだが、もはや劣化を心配する必要はなくなっている。
初期のSSDの連続書き込みテストでは、数週間でドライブが駄目になった。そこでSSD業界はメモリセルの物理的性質を研究し、書き込みの信号波形と電圧しきい値を調整して書き込みの品質を高めた。
読み出し動作に必要な最小時間である読み出しサイクル時間も、セル間干渉を抑え、セル電圧検出を高めて短縮した。数学者たちが開発した誤り訂正技術も効果を上げた。
当初、企業向けのフラッシュストレージシステムはドライブの劣化を恐れて、1セル当たり1ビットを格納するシンプルなシングルレベルセル(SLC)のSSDを採用していた。当時は、1セル当たり2ビットを格納するマルチレベルセル(MLC)のドライブは、一般消費者向けにしか使えないと考えられていた。現在はMLCの耐久性が向上し、SLCデバイスはあまり使われなくなった。データを複数のブロックに分散するウェアレベリングソフトウェアの開発により、企業向けSSDでもMLCの採用が一般的になっている。
用語 | 説明 |
---|---|
ソリッドステートドライブ(SSD) | 一般に、HDDと同様のフォームファクタ(形状や仕様)で提供するソリッドステートストレージをSSDと呼ぶ |
シングルレベルセル(SLC) | 1セルに1ビットを格納するNANDフラッシュメモリのタイプ。NANDフラッシュメモリの中で速度と信頼性と耐久性が最も高いが、最も高価 |
マルチレベルセル(MLC) | 1セルに2ビットを格納するNANDフラッシュメモリのタイプ。SLCより低速で寿命は短いが、安価 |
エンタープライズマルチレベルセル(eMLC) | MLCの“高性能化”版。MLCの欠点をメモリコントローラーとソフトウェアで補う。企業向けフラッシュストレージ製品で採用が増えてきている |
PCI Express(PCle) | 高速サーババス規格。多くのサーバ向けフラッシュストレージ製品が採用している |
不揮発性ランダムアクセスメモリ(NVRAM) | DRAM並みに高速でありながら、電源を切ってもデータを保持できる。一部のフラッシュストレージシステムではキャッシュとして利用している |
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
AIでは構造化データの活用が進む一方、クラウド普及に伴いデータの分散化が加速している。この状況下で課題となるのが、レガシーストレージの存在だ。本資料では、構造化データに適したストレージ戦略を紹介する。
データ環境の急変は、企業のストレージ課題を複雑化させている。性能や拡張性、データ保護、分散環境の一元管理、コスト最適化など、自社の課題に合わせた製品・サービスをどう見つければよいのか。それに役立つ製品ガイドを紹介したい。
構造化データ/非構造化データの両方を適切に処理する必要がある今、エンタープライズデータストレージには、より高度な要件が求められている。こうした中で注目される、単一障害点のないAI主導の分散型ストレージプラットフォームとは?
CPUやGPUの性能向上に伴い、データセンターでは今、発熱量の増加にどう対応するかが課題となっている。特に高密度なサーバ環境では、従来のファンやヒートシンクに頼るだけでは熱管理が難しい。こうした中、企業が採用すべき手段とは?
HDDの容量が30TB超になると同時に、ストレージ技術はさまざまな進化を続けている。そうした中でもインタフェースに「SATA」(Serial ATA)を採用したHDDが変わらずに使われ続けている。なぜなのか。
いまさら聞けない「仮想デスクトップ」と「VDI」の違いとは
遠隔のクライアント端末から、サーバにあるデスクトップ環境を利用できる仕組みである仮想デスクトップ(仮想PC画面)は便利だが、仕組みが複雑だ。仮想デスクトップの仕組みを基礎から確認しよう。
「ECプラットフォーム」売れ筋TOP10(2025年5月)
今週は、ECプラットフォーム製品(ECサイト構築ツール)の国内売れ筋TOP10を紹介します。
「パーソナライゼーション」&「A/Bテスト」ツール売れ筋TOP5(2025年5月)
今週は、パーソナライゼーション製品と「A/Bテスト」ツールの国内売れ筋各TOP5を紹介し...
「マーケティングオートメーション」 国内売れ筋TOP10(2025年5月)
今週は、マーケティングオートメーション(MA)ツールの売れ筋TOP10を紹介します。