開発者向けの「対話型学習」ツールはどうあるべきか【前編】
プログラミングを対話型で学べるWebサイト「Educative」はなぜ生まれたのか
プログラミング言語学習のためのWebサイト「Educative」開発者に、同サイトが生まれたきっかけや、他の対話型学習ツールに対する意見を聞いた。
最近のアプリケーション開発者は、自身のスキル向上を目指して、新しいプログラミング言語やプログラミングパターンを習得している。書籍やチュートリアル動画を利用する昔ながらのDIY(Do It Yourself)アプローチもあるだろう。このアプローチでは、新たに習得した知識を実践で試すために、学習者が自らプログラミング環境を構築する必要がある。
ファヒム・ウルハク氏とナイーム・ウルハク氏は対話型のプログラミング言語学習用Webサイト「Educative」を作成した。このWebサイトは学習用の開発環境を備え、閲覧者はその環境内で新しいプログラミング言語を学習できる。本稿ではEducativeの開発者であるファヒム・ウルハク氏の話を基に、学習者が新しいプログラミング言語を素早く習得する方法について話を聞いた。
併せて読みたいお薦め記事
どのプログラミング言語を学ぶか
プログラミング教育関連情報
一旦取り下げられたEducativeのアイデア
―― Educativeを思い付いたきっかけを教えてください。
ファヒム・ウルハク氏(以下ウルハク氏) Educativeのアイデアが生まれるまでには幾つかの段階がありました。私たち自身も開発者であり、既存のツールを利用して新たなプログラミング言語や、それにまつわるスキルを身に付ける難しさを実感していました。
開発者を指導するためのモバイルアプリケーションの開発に着手した時に、二次的なプロジェクトとして、開発者向けの対話型学習を一部取り入れたのが最初でした。このアプリケーションは評判が良く、「このようなアプリケーションをもっと作成してほしい」と依頼してくる開発者もいました。しかし当時はFacebookやMicrosoftでの仕事を抱えていたため、それはかないませんでした。
その後の2014年、米大手出版社から「あなたたちが開発したアプリケーションを基にして、ソフトウェアエンジニア向けに書籍を執筆してほしい」という要請を受けたのです。そこで対話型学習を提供する無料のWebサイトの作成を提案したところ、出版社はその考えに関心を示しませんでした。この考えは採用されませんでしたが、「開発者が対話しながら学習できるWebサイトを作成する」という素晴らしいアイデアが得られました。
この考えを掘り下げ、われわれに賛同してくれそうな執筆者と話したところ、「全ての執筆者が開発者向け対話型トレーニングを作成する」という一致した見解に行き着きました。一方でそうしたトレーニングの作成は、動画チュートリアルの作成と比べて、はるかに多くの作業が必要なように思えました。
そこで考案したのがEducativeでした。Educativeはソフトウェア開発者向けに対話型学習を提供するWebサイトです。EducativeのWebページでコンテンツを制作できる仕組み(オーサリングツール)を導入することにより、執筆者は簡単な操作で学習用コンテンツを作成できます。
類似サービスも出発点は同じ
―― 似たようなサービスとして、構成済みの学習環境を提供するクラウド型開発環境「Codenvy」や、サイバーセキュリティのトレーニングを提供するWebサイト「Sensei School」があります。Educativeはそうした他の対話型トレーニングプログラムやアプローチをどのように捉えていますか。
ウルハク氏 それらのサービスは「現代のテクノロジーの進化を追跡する開発者向け学習コンテンツが欲しい」という共通のニーズに基づいているといえるでしょう。このニーズが同時期に広く認識されたことによって、さまざまなトレーニングを提供するWebサイトが生まれたと私は考えています。そしてこのニーズは根本的なテーマです。Educativeや話に挙がった2つのサービスは、よく似たアプローチを用いています。ですが、それぞれ別の分野を扱っています。Educativeで他のサービスが扱っている分野を扱うことは難しいでしょう。それらのサービスに着目し、互いに学べることを見つけたいと思っています。
―― 他のアプローチと比べた際の学習速度を評価するため、トレーニング手法の成果を測定する考えはありますか。
ウルハク氏 現状は数値による客観的な測定はしていませんが、ごく近い将来実施したいと考えています。現在定めている測定基準は、Educativeの効果を強力に裏付けるものです。規模が拡大するにつれて、効果の測定は差し迫った課題になるでしょう。
後編では、ウルハク氏がEducativeの開発を通じて感じた対話型学習ツールの課題や学習者・指導者へのアドバイス、今後の展望について紹介する。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
開発者向けの「対話型学習」ツールはどうあるべきか
昨今、さまざまな分野で対話型の学習教材を提供するWebサービスが登場している。プログラミング言語学習サイト「Educative」の開発者に、対話型学習ツールの現状や課題、学習者・指導者へのアドバイス、今後の展望などを聞いた。
この記事の著者
関連記事
新着ホワイトペーパー PR
-
製品資料
[株式会社MatrixFlow] 「物流リソース最適化」ガイド:人員・配車・傭車を出庫依頼の確定前に決めきる -
製品資料
[株式会社キーエンス] なぜRPA導入は頓挫する? シナリオ作成の壁を乗り越える解決策とは -
製品資料
[株式会社セールスフォース・ジャパン] 「CRMは設計と無関係」は本当か? PLMとの融合で実現する高速開発 -
事例
[日本ヒューレット・パッカード合同会社] AIエージェントの時代にどう備える? 「新たな働き手」を支える3要素とは -
製品資料
[日本ヒューレット・パッカード合同会社] “横並びの自動化”から脱却、AI活用で生産性と競争力を高める秘訣
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
ChatGPTは“検索しまくり”でGeminiは“淡泊”? データが明かすAIの裏側
-
2
なぜ「全社配布Copilot」は使われないのか? 失敗に学ぶAI定着
-
3
法務と開発者で「言葉が通じない」問題 トヨタやソニーが語るOSS管理の真実
-
4
「朝8時にバッチが終わらない」データ爆発の危機をJPX総研はどう乗り越えたか
-
5
「IBM iはDXのボトルネック」は誤解 意外と知らない今風モダナイズの効果
-
6
損保ジャパンはなぜ「COBOL」を捨てなかったのか? 脱メインフレームの真相
-
7
「何から始めればいい?」 情報漏えい対策で悲鳴を上げる中小企業のリアル
-
8
情シスの約8割が転職や退職を意識 調査で分かった“辞めたくなる最大の理由”
-
9
「中堅・中小企業のネットワーク・セキュリティ運用実態」に関するアンケート
-
10
「レガシーシステム・老朽化システムの運用課題と刷新」に関するアンケート
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
不審メールの経路や見せ方に変化? 2026年夏の3事例から見えた動向と対処方法
-
2
家庭用Wi-Fiルーターの業務利用は危険? 避けるべき理由と具体的な対策
-
3
Microsoft 365を安全に運用 うっかりミスやサイバー攻撃に備えるデータ保護術
-
4
プログラミング不要で誰でも実現できる、ネットワーク運用管理の自動化とは
-
5
財務部門がAIを最大限に活用する方法 無駄のない戦略的リーダーシップへの道
-
6
LLMが兵器化? 元FBI高官が鳴らす警鐘とセキュリティツール統合のポイント
-
7
なぜRPA導入は頓挫する? シナリオ作成の壁を乗り越える解決策とは
-
8
HDDを使わない「SSDオンリー」が無謀なのはなぜ?
-
9
「オンプレミス回帰」せざるを得ない“合理的な理由”
-
10
“あのファイル転送”で暗躍するノーウェアランサム
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー