DevOps環境に適応
Googleのプログラミング言語「Go」のメリット、その今後
プログラミング言語「Go」や「サイト信頼性エンジニア」(SRE)という新しい職種など、Googleは着々とDevOps文化への貢献を果たしている。ただし、まだ道のりは長い。
最近のIT部門は、新しいプログラミング言語への関心を高めている。ビジネス部門からサービスのスピードと俊敏性を向上させることへのプレッシャーが高まっているからだ。そうした中、Googleのプログラミング言語「Go」が特に運用者側で支持を集めている。
現在人気のプログラミング言語はほとんどがオブジェクト指向のプログラミングモデルをベースとし、OSなどのシステムコンポーネントと密接に結び付いている。既存のプログラミング言語の多くは、開発者が望むほどにはモジュール化されていないのが現状だ。モジュール化されていれば、プログラムを小さな要素に分割し、迅速に処理することができる。
Goは、そうした従来のプログラミング言語の弱点の解消を目指し、Googleエンジニアのロバート・グリースマー氏、ロブ・パイク氏、ケン・トンプソン氏が2007年に開発したインフラストラクチャランタイム言語だ。Go言語の設計はある意味、仮想化の仕組みと似ている。仮想化システムは抽象化レイヤーを使用し、アプリケーションをハードウェアから分離する。
Goはモジュール型のプログラミング言語だ。特に指定されない限り、実行ファイルは外部依存関係なしで自律的に動作する。最近のアプリケーションはサイズが大きく、複雑で、処理が複数のシステムにまたがる。Go言語はモジュール性を備えているので、大量の並行処理が可能であり、Webサーバやコンテナなど分散型のネットワークサービスでの実行を高速化できる。
GoogleがGo言語で目指したのは、「Python」のような動的言語の開発速度と、「C」のようなコンパイル言語の実行速度と安全性を組み合わせることだ。Go言語は柔軟性が高く、軽量で、ユーザーフレンドリーなシンタックス(構文)を備え、コンパイルが速く、スケーラビリティを備える。
その結果として、Go言語は徐々に支持を広げ、システムインフラストラクチャのプログラミングやコンテナに依存する大きくて複雑な新しいアプリケーションの開発で力を発揮している。市場調査会社RedMonkが毎年発表しているプログラミング言語の人気ランキングで、Go言語は2015年に初めてトップ20入りを果たし、2016年には15位に上昇、2017年第1四半期には15位を維持している。
今後の課題
開発チームと運用チームは歴史的に緊張関係にある。それぞれの目標が相反しているからだ。開発者はできるだけ速やかに新機能をユーザーに提供したいが、運用チームはアップデートのせいで既存のシステムインフラストラクチャに混乱が生じるのを避けたい。多くの場合、運用チームは新しいリリースを遅らせたがり、開発チームは運用チームによるチェックを早く終わらせようとする。
Go言語は、開発チームと運用チームの間に根付くこうした問題の解消に役立つツールとして急速に支持を拡大している。Go言語を使えば、開発者は動的なモジュールコーディングを実施でき、アプリケーションのサポートチームはコンパイルの速さと本番環境でのスケーラビリティを期待できる。ただしGo言語には幾つかエコシステムの重要な要素が欠けていることから、まだ大規模な採用には至っていない。
Go言語には幾つか欠点もある。Go言語は、デスクトップで動作するグラフィカルユーザーインタフェース(GUI)アプリケーションの開発には向いていない。フレームワークは幾つか提供されているが、クロスプラットフォームなGUIライブラリをもっと充実させる必要がある。
別の問題もある。Go言語が、OSなど基本的な構成要素から独立していることの副産物だ。Go言語は、組み込みシステムの設計、カーネル、デバイスドライバなど、ローレベルのシステムコンポーネントの管理にはあまり向かない。
さらにGo言語は、開発者のエコシステムが未成熟だ。商用のプログラミング、開発、管理システムはほとんど提供されていない。システムインテグレーターやチャンネルパートナーなど、サードーパーティーによるサポートもなかなか見つからない。
このように、サポート面で必要となる要素の大半が欠けているのが現状だ。現在、Go言語のトレーニングや証明書を提供している企業は多くはない。
各種の研修プログラムを提供するEduonix Learning Solutionsは、Go言語の開発環境、シンタックスと構造、ツールチェーン、依存関係などを学べるコースを提供している。オンラインで4万5000種類以上の研修プログラムを提供するUdemyは、Go言語の基本を学ぶためのコースを用意し、実社会のシナリオにGo言語をどう活用すべきかを教えている。Pluralsightは「The Go Programming Language」という研修プログラムで、並行処理、ブランチ、ループなどのトピックを扱っている。
Go言語はこの先どうなるのだろうか。従来は数種類の言語がプログラミング言語市場を支配してきたが、今後は細分化が進むことになりそうだ。Go言語は、全盛期の「Java」や「C言語」のように市場を席巻するまではいかないものの、恐らく「Python」くらいには定着することになるだろう。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
新着ホワイトペーパー PR
-
技術文書・技術解説
[Jamf Japan 合同会社] MDMだけでモバイルセキュリティは十分? 不足する対策を16項目でチェック -
事例
[Wrike Japan 株式会社] 世界的な家電メーカーが実践する「クリエイティブプロセス効率化」の方法とは? -
事例
[Wrike Japan 株式会社] 世界的テクノロジー企業に学ぶ、プロセス標準化とプロジェクト納品自動化の秘訣 -
事例
[Wrike Japan 株式会社] ソニー・ピクチャーズ テレビジョンに学ぶ、次世代サービスデリバリーのヒント -
事例
[Wrike Japan 株式会社] ソミック石川に学ぶ、ICT浸透後に直面した「工数管理」の課題と解決策
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
「Copilot」はなぜ放置される? “議事録要約止まり”を脱する処方箋
-
2
脱VMwareの前提が崩れる BroadcomのVDDK公開停止で確認すべき点
-
3
Oracle巨大ITプロジェクトはなぜつまずいたのか 8年で導入1割、追加で170億ドル
-
4
「データストレージの活用方法」に関するアンケート
-
5
「Microsoft一択」で本当にいいのか 知らぬ間にライセンス費用が膨らむ真相
-
6
Microsoft製品でここまで自動化できる 情シスがやめられる手作業10選
-
7
【基本情報技術者試験】「デュプレックスシステム」と「デュアルシステム」の違いは?
-
8
ANAが専用回線から移行した「NaaS」の全貌 ネットワーク準備が数カ月から数週間に
-
9
「プログラマー不要論」にThe Linux Foundationが示した答え
-
10
「Microsoft 365」が乗っ取られる 跡形もなくMFAを破る手口
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
マンガで解説:「ゼロトラスト」「SASE」の必要性とメリット
-
2
5回聞くだけじゃ足りない? トヨタ式「なぜなぜ分析」の正しい実践方法
-
3
インシデント対応工数を約3割削減、東京ガスの事例に学ぶ監視体制刷新のコツ
-
4
AIエージェントで多様な日常業務を効率化するための入門ガイド
-
5
JR西日本ITソリューションズが「監視業務の属人化」を解消した方法とは?
-
6
国税庁の次世代基幹システム「KSK2」稼働開始に向けて、対応すべき変更点とは?
-
7
5分で分かる「セキュア大容量ファイル転送サービス」の機能とメリット
-
8
ドラマで分かる、標的型攻撃メールの被害を受ける企業と回避できる企業の分岐点
-
9
「脱Excel」か「Excel快適化」か? 現場にやさしい業務改善の進め方
-
10
少額減価償却資産が40万円未満へ拡大、令和8年度税制改正で押さえるべき変更点
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー