オンプレミスとは異なる要件
いまさら聞けない、クラウドのネットワークを理解する「6大基礎用語」
パブリッククラウドのネットワーク要件はオンプレミスとは異なる。クラウドベースのアプリケーションを運用する際に必要なネットワークの基本的なサービスや機能を紹介しよう。
パブリッククラウドの長所は、膨大なコンピューティングやストレージのリソースをオンデマンドで利用できることだ。その利点を生かすためには、アプリケーションを遅滞なく実行するための適切なネットワークが必要になる。
Amazon Web Services(AWS)やMicrosoft、Googleなどクラウドベンダー各社は、ユーザー企業のオンプレミスのデータセンターとクラウドをつなぎ、アプリケーションのリソースをスケーリングしたり、トラフィックを分散させたりするためのさまざまな機能とサービスを提供している。
クラウドへのネットワーク接続で考慮すべき点と、主要なパブリッククラウドベンダーが提供する関連機能/サービスを紹介する。
ドメインネームシステム(DNS)
ドメインネームシステム(DNS)はクラウドベースのアプリケーションには必要不可欠な要素だ。パブリッククラウドベンダーが提供しているDNSサービスとしては、例えばAWSの「Amazon Route 53」やGoogleの「Cloud DNS」がある。こうしたDNSサービスは、インターネットからのトラフィックをクラウド側のアプリケーションに接続できるように変換する。
コンテンツデリバリーネットワーク(CDN)
データやアプリケーションなどのコンテンツを配信するためにコンテンツデリバリーネットワーク(CDN)を利用する。パブリッククラウドベンダーが提供しているCDNサービスは、グローバルに展開する独自のバックボーンネットワークや世界中のデータセンター、キャッシュサーバを連携させて、柔軟なスケーリング、冗長性/セキュリティの確保、アジリティー(敏しょう性)を実現している。
エンドユーザーのデバイスは、Web/モバイルアプリケーションが使用するVM(仮想マシン)やストレージから物理的に離れており、通信時にレイテンシ(遅延)が発生することが一般的だ。CDNサービスにより、エンドユーザーがWeb/モバイルアプリケーションを利用する際の応答時間を短縮する。こうしたCDNサービスは有料だが、異なるリージョンへのデータのアップロードは無料であるため、コスト削減に役立つ。
ロードバランサー
クラウド型のロードバランサーは、受信するトラフィックを自動的に分散することで、ユーザーリクエストの増減に応じたスループット(単位時間当たりの実際のデータ伝送量)の管理を実現する。これにより低レイテンシや高い拡張性、可用性を実現する。クラウド型のロードバランサーはソフトウェアで制御するサービスで、従来型のオンプレミスのデータセンターで使用されるロードバランサーとは異なる。
仮想プライベートクラウド(VPC)
パブリッククラウドは同じサーバで複数のユーザー企業のシステム(テナント)をホストするのが一般的だが、それが適さない状況がある。仮想プライベートクラウド(VPC)はリソースを分離することで他のユーザー企業のテナントと切り離し、セキュリティを強化する。
クラウドのネットワークでは、異なるユーザー企業のトラフィックの影響を受ける「うるさい隣人」(ノイジーネイバー)問題によるパフォーマンス低下が懸念される。VPCでこの問題を回避できる。VPCは、IPアドレス範囲やサブネット、ルーティング/ゲートウェイ構成などを論理的にグループ化する。オンプレミスのプライベートクラウドとは異なり、VPCの場合はパブリッククラウドで利用可能な主要サービスのうち、ほぼ全てを利用できる。
AWSの「Amazon Virtual Private Cloud」(Amazon VPC)やMicrosoftの「Virtual Network」、Googleの「Virtual Private Cloud」が代表的なVPCサービスだ。
高度な専有接続
オンプレミスのネットワークをパブリッククラウドに安全に接続するには、幾つかの方法がある。仮想プライベートネットワーク(VPN)の場合は、IPsecやトランスポート層セキュリティ(TLS)といったセキュリティプロトコルのトンネルを使用して、オンプレミスネットワークをVPCに接続する。
これに対して高額な専有接続の場合は、オンプレミスのデータセンターから専用線でクラウドベンダーのネットワークに直接接続する。このような専用線タイプの接続サービスにはMicrosoftの「ExpressRoute」やGoogleの「Cloud Interconnect」などがあり、一貫性のあるデータ伝送速度と高可用性を提供する。
ネットワークセキュリティ
クラウドベンダー各社は、クラウドネットワーク向けのセキュリティ機能を充実させている。受信するトラフィックをフィルターに掛けるWebアプリケーションファイアウォール(WAF)や、ファイアウォールルールのカスタマイズと監視を担う機能がその代表例だ。その他、AWSの「AWS Shield」やMicrosoftの「Azure DDoS Protection」といった分散型サービス拒否(DDoS)攻撃防御サービス、AI(人工知能)エンジンを利用して脅威を検出するネットワーク監視ツールなどがある。
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