仮想デスクトップのスムーズな連携を実現
VMware Cloud on AWSとオンプレミスの両方で「Horizon」を運用すべき理由
クラウドの「VMware Cloud on AWS」とオンプレミスでデスクトップ仮想化製品「VMware Horizon」を利用すると、ハイブリッドクラウド環境の管理性が向上する他、新たなユースケースを実現できる。
VMwareの仮想化製品をクラウド「Amazon Web Services」で稼働させるサービス「VMware Cloud on AWS」(VMC on AWS)により、VMwareのデスクトップ仮想化製品をクラウドで運用する事例が広がっている。クラウドへのデータセンター拡張の他、トラフィックの一時的な増大にクラウドのリソースを使って対処するバーストが、その代表的なユースケースになる。
VMC on AWSでデスクトップ仮想化製品「VMware Horizon 7」を利用すれば、VMC on AWSでデータセンターの全コンポーネントをクラウドで運用し、オンプレミスのハードウェアにかけるコストを削減可能だ。これだけでも非常に大きなメリットになるが、その他にも検討したいユースケースがある。
新たなユースケース
データセンターの拡張とバーストでは、オンプレミスのVMware Horizonをクラウドでそのまま運用して、クラウドを一時的なリソース拡大のために使う。「クラウド ポッド アーキテクチャ」(CPA)機能を使えばオンプレミスとクラウドのVMware Horizon環境を接続でき、それによってシームレスな仮想デスクトップインフラ(VDI)環境を実現する。
他にも、VDIをクラウドに移行する理由として考えられるのは、アプリケーションが稼働する場所だ。オンプレミスにVDIがあり、アプリケーションを利用するために必要なリソースがクラウドにあると、オンプレミスとクラウドの物理的な距離がレイテンシ(遅延)の要因になる。仮想デスクトップとアプリケーションの両方をクラウドに配置すれば、レイテンシの問題は解消し、パフォーマンスが向上する。ネットワークを通るトラフィックが、仮想デスクトップから送信されるトラフィックのみに限定されるためだ。
AWSを中心とした構成にする場合、災害復旧(DR)はAWSの料金のみを支払えば済む。独自のDRサイトを作るためにハードウェアを購入し、保守する必要はない。スケールアップは必要に応じて簡単かつ迅速にできる。
クラウドとオンプレミスの「VMware Horizon」を連携させる利点
VMC on AWSでは、オンプレミス版のVMware製品と全く同じ機能を利用できるわけではない。例えば、サーバ管理ソフトウェア「VMware vCenter」では、ハイパーバイザー「VMware ESXi」に対する管理者権限およびrootユーザー権限でのアクセスができない。
スペインのバルセロナで開催された年次カンファレンス「VMworld 2018」で、VMwareは「VMware Horizon 7 version 7.7」とアプリケーション配信製品「App Volumes 2.15」を発表した。これらの製品により、VMC on AWSでApp Volumesや、仮想デスクトップを迅速に配備する「インスタントクローン」の機能を利用できるようになった。
VMwareは他の幾つかの機能についてはVMC on AWSでサポートすることを計画に入れていない。OSなどの共通部分を共有し、個人の設定を差分とする仮想デスクトップ配信方式「リンククローン」、VMwareのコネクションブローカー(「Horizon接続サーバ」)の特殊インスタンス「セキュリティ サーバ」などの機能が該当する。そうした機能が時代遅れであることや技術的な制約の他、AWS環境でこれらの機能を利用するのは合理的でないといった理由があるためだ。
VMworld 2018では、デスクトップ仮想化サービス「VMware Horizon Cloud Service」のクラウド版およびオンプレミス版の導入や、管理を効率化する機能も新たに発表した。クラウドとオンプレミスの環境を統合管理できるため、ハイブリッドクラウド環境でVDIを運用したい場合に有用だ。
「VMC on AWS」で「VMware Horizon」を導入する方法
VMwareはVMworld 2018で、VMC on AWSにVMware Horizon 7を自動インストールする機能も発表し、これに合わせてこの機能を利用したVMware Horizon 7の導入方法を紹介した。この機能が登場するまでは、オンプレミスと同じ従来の方法でVMware Horizon 7をインストールする必要があった。つまりオンプレミスに導入する場合と同じサーバをクラウドで構築する必要があった。これにはディレクトリサーバの「Active Directory」(AD)、DNS(ドメインネームサービス)、DHCP、Windowsのアクティベーション(ライセンス認証)用のキー管理サービスなどが必要になる。イベントデータベース用にリレーショナルデータベース管理システム(RDBMS)の「Microsoft SQL Server」が必要になる場合もある。
具体的なイントール方法としてVMworld 2018で紹介されたのは、以下のような内容だ。
まずは「Windows Server」をソフトウェア定義データセンター(SDDC)にインストールして、何台かのサーバで稼働させる。
CPAを使用すればハイブリッドクラウド環境を実現できる。この場合、オンプレミスのデータセンターとVMC on AWSの間の接続が必要になる。別々のデータセンターにある2つのVMware Horizonのインスタンスを接続することも可能だ。2つのデータセンターを1つのデータセンターとして統合運用する場合は、VMware Horizonの環境間の接続が必要になる。
クラウド環境からオンプレミスのデータセンターへの接続を設定する一環で、VPN(仮想プライベートネットワーク)を構築して適切なファイアウォールルールを設定する。これによってユーザーがいずれかのVMware Horizon環境に接続すれば、仮想デスクトップにアクセス可能になり、シームレスな操作性が実現する。これはDR環境を構築する場合に特に有用だ。適切に設定できれば、ユーザーは運用環境が切り替わったことに気付かないだろう。
VMwareのネットワーク仮想化製品「VMware NSX」があればVPNを簡単に設定できる。ない場合は、個別のアプライアンスをスタンドアロン型のクライアントとして実行し、VPNを設定できる。
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