画面転送プロトコルが仮想デスクトップ画面の転送に使用するコーデックは、動画とテキストの表示品質に大きな影響を及ぼす。
どれか1種類の画面転送プロトコルを理解しただけで、他の全ての画面転送プロトコルについて理解したかのように考えるITプロフェッショナルもいるだろう。だが現実には、こうした画面転送プロトコルはどれも同じように作られているわけではない。
VDI(仮想デスクトップインフラ)ソフトウェアを選ぶとき、ITプロフェッショナルは各画面転送プロトコルがユーザーエクスペリエンスやサーバ密度、ネットワーク帯域の利用率にどのような影響を及ぼすかを理解する必要がある。主要プロトコルで最も大きな差異化要素の1つとなるのが、コーデックの選択だ。
仮想化技術に関する情報サイトBrianMadden.comと仮想環境におけるグラフィックス処理の専門家団体であるTeam Remote Graphics Expertsは2018年1月、Webセミナーを開催し、主要画面転送プロトコルである「Citrix HDX」「VMware Blast Extreme」「Microsoft Remote Desktop Protocol(Microsoft RDP)」が使用するコーデックについて解説した。
画面転送プロトコルにおいて、コーデックは仮想デスクトップのデータをデコードしてエンドユーザーのデバイスに表示する役割を担う。各プロトコルが使用するコーデックには、画像コーデックとビデオコーデックがある。
画像コーデックにはJPEGやPNG(Portable Network Graphics)、BMC(Biphase Mark Code)などがあり、以前からある信頼性の高い選択肢だ。テキストなどの静的なコンテンツに適しており、CPUをほとんど使わない。
動画などの動的なコンテンツに画像コーデックを使用するには、多くのネットワーク帯域幅が必要となる。オランダのコンサルティング会社SLTN Inter Accessでエンドユーザーコンピューティング担当のコンサルタントを務めるブラム・ウルフス氏は、Webセミナーでそう説明した。
動画を対象とするビデオコーデックには、H.264やH.265などがある。JPEGなどの画像コーデックよりも新しい技術だ。ネットワーク帯域を効率的に利用し、動的コンテンツをうまく処理できるよう最適化されており、クライアントでデコードする機能を備える。互換性のあるGPUを使用してエンコード処理をGPUにオフロードすれば、CPU使用率を抑えることが可能だ。ビデオコーデックは多くの場合、色情報を間引くので、テキストの明瞭度が損なわれる。
「最適な性能とユーザーエクスペリエンスを実現するためには、画像コーデックとビデオコーデックを組み合わせて使うのが理想だ」とウルフス氏は語る。理想的なのは、静的コンテンツと動的コンテンツを自動的に検知し、最善のユーザーエクスペリエンスを提供しつつリソース消費を最小限に抑えられるコーデックを判別できるプロトコルだ。
ビデオコーデックにおけるテキストの明瞭度の問題について、主な画面転送プロトコルはそれぞれ異なる手法で対処している。
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