コロナ市はデスクトップ仮想化を導入して、IT部門によるサービスの仕方を整えた。具体的にどのような効果を生み出したのか。
カリフォルニア州コロナ市の最高技術責任者(CIO)を務めるクリス・マクマスターズ氏によると、同市は2020年6月に、デスクトップ仮想化の一種である「VDI」(仮想デスクトップインフラ)を中心としたCitrix Systemsのデジタルワークスペース製品群「Citrix Workspace」を導入した。同市のIT部門はVDIの導入によって、サービスを提供する方法を変え、結果として市職員が使用するPCの修理にかかる時間を減らした。
コロナ市では従来、PCに問題が起きた場合、職員はまずサービスチケットを申し込み、IT部門の担当者がPCを取りに来るのを待ち、修理が完了するのを待たなければならなかった。「われわれがPCを回収してそれを職員に戻すまでの間、職員の業務が中断する。たとえ代替PCを提供したとしても、そのPCのセットアップのために中断が生じる」(マクマスターズ氏)
平均修理時間に組織全体でのPCトラブルの数を掛け合わせると、結果的に数十万ドル相当の生産性が失われたことになる。Citrix Workspaceの導入後、職員は通常のPCを簡素化した「シンクライアントデバイス」を使って、自分の仮想デスクトップやファイルにアクセスできるようになった。「PCが故障したときでも代替PCをネットワークに接続すれば、職員は5分で仕事に戻れる」とマクマスターズ氏は話す。
コロナ市はVDIに切り替えた結果、コストを削減できたという。ほとんどのデータやシステムの処理をサーバ側に移行させたため、高性能なPCを調達する必要はなくなり、代わりにシンクライアントを利用できるようになった。シンクライアントは通常のPCと比べて本体価格が安いだけではなく消費電力が大幅に少ないため、電気料金も安くなった。
調査会社Enterprise Strategy Group(ESG)のシニアアナリストを務めるマーク・ボウカー氏は、2020年2月から3月にかけて企業のIT担当者を回答対象者として仮想化市場の動向調査を実施した。同社の調査結果は新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が拡大するより前の状況を反映していたが、VDIなどのデスクトップ仮想化に対する関心は今、一層高まっているとボウカー氏は推測する。
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