DR対策の一環でデータセンターを刷新したアラバマ農工大学は、そのデータセンターを他の大学が利用できるようにした。同校の取り組みを説明する。
アラバマ州北部の竜巻多発地帯にあるアラバマ農工大学(AAMU:Alabama Agricultural and Mechanical University)は、竜巻被害対策として災害復旧(DR)計画を立てた。ところがそのDR計画は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)という“見えない竜巻”に見舞われたときも役に立った。AAMUはアフリカ系アメリカ人のために設立された高等教育機関「HBCU」(歴史的黒人大学)の一つだ。
AAMUは2019年後半、竜巻災害に備えてデータセンターを刷新した。NutanixのHCI(ハイパーコンバージドインフラストラクチャ)を導入してシステムを配備し、同社のDRaaS(Disaster Recovery as a Service)である「Xi Leap」を採用した。DRaaSとはベンダーがデータのレプリケーションとデータ保持、復旧作業を実施するサービスを指す。クラーク氏によると、DRaaSを利用できることが、Nutanix製品を採用した目的の一つだった。
2020年春に新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミック(世界的大流行)が発生してからは、AAMUはNutanixのDaaS(Desktop as a Service)である「Xi Frame」も追加した。合わせてオンライン講義に切り替え、少なくとも同年の夏学期中は学内施設を閉鎖することにした。その際に、もともと竜巻災害対策として用意していたデータセンターが役立つことになった。
「災害で大学の施設を使用できなくなっても、Xi Leapを利用すればリモート操作で大学運営を維持できる」というのが、データセンター刷新当時のAAMUの考えだった。このときはまだ、まさか“全米の学校がリモートでしか運営できなくなる日”が来るとは誰も想像していなかっただろう。
「COVID-19流行以前は、単に既存インフラの改善という考えにすぎなかった。今になってみればデータセンターの刷新は必要不可欠だった」と、AAMUの最高情報責任者(CIO)であるダミアン・クラーク氏は語る。COVID-19という“大竜巻同様の災害”に見舞われたときも、オンライン化への技術的切り替えは数日で遂行できたという。
クラーク氏によると、アラバマ州内のHBCUはAAMUがデータセンターを刷新するよりも前に、ITリソースを共有するための非公式な共同体(コンソーシアム)を結成していた。そこでAAMUはコンソーシアム加入大学に対して、今回構築したDR対策済みデータセンターの利用を許可した。
「全ての大学にデータセンターが必要とは限らない」とクラーク氏は話す。データを取り扱うインフラを一カ所に集約すれば、一部の大学はデータセンターが不要になる。コンソーシアム加入大学がAAMUのデータセンターを利用できるようになることで、そうした集約的な構造が実現した。同氏によると、他の大学はWebブラウザでAAMUのデータセンターを運用できる。
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