IT部門は仮想GPUを検討すべきか
仮想GPUはぜいたく品? それでも必要な仮想デスクトップユーザーとは
仮想GPU(vGPU)の有用性をめぐる議論は終わった。今問題となっているのは、GPUの仮想化がそのコストに見合うのか、そしてこうした手法を必要とするのはどんなユーザーなのかということだ。
ほとんどのユーザーは今のところ、仮想GPU(vGPU)のパワーによって仮想デスクトップのパフォーマンスを高める必要はない。それはぜいたくだからだ。だが企業が新しいOSやアプリケーションに移行するのに伴い、vGPUが必要となってくる。
数年前から企業のIT部門は、ハードウェアベースの高速グラフィックス機能を仮想マシン(VM)に追加できるようになった。これによって、仮想デスクトップは物理PCに匹敵するパフォーマンスでグラフィックスアプリケーションを動作できる。vGPUはクライアント端末ではなく、サーバの物理GPUカード上で動作し、IT部門はvGPUをユーザーに分配することによって、高いパフォーマンスのVDI(仮想デスクトップインフラ)を提供できる。
だが問題は、VDI管理者がvGPUを使用すべきかどうかということではない。vGPUは既に、グラフィックス処理を多用するアプリケーションを配信するのに有効かつ必要な手段になっているからだ。考えなければならないのは、全てのエンドユーザーにvGPUを提供することが本当に必要なのかどうかということだ。技術者や設計担当者などの従業員はハードウェアベースの高速化を必要とするが、現時点では全てのユーザーがvGPUを必要とするわけではない。その理由は幾つかある。
なぜIT部門はvGPUを検討すべきなのか
仮想デスクトップは、仮想化ホストが搭載する1個のGPUを共有できる。この場合、各仮想デスクトップはCPUパワーの一部を利用するのと同様に、与えられたvGPUの一部を利用する。vGPUを追加すれば、「Windows 10」などの最新OSの全て機能を実行できる。また、CPUの負荷も軽減できるため、仮想デスクトップのレスポンスが改善する。「Microsoft Office」の基本機能しか使わないようなユーザーの場合も、わずかなvGPUパワーが加わるだけで、仮想デスクトップを受け入れやすくなり、使用満足度も高まる。
ユーザーが仮想デスクトップを受け入れやすくなるだけでもvGPUを導入する十分な理由になる。vGPUによるパワーが追加されることで、グラフィックス処理を多用するアプリケーションは実用的になる。以前は「Adobe Photoshop」や「AutoCAD」などのアプリケーションが、仮想デスクトップを使用しない理由となっていた。だがvGPUのパワーを利用すれば、これらのアプリケーションもVDI上で軽快に動作できる。
GPUカードの問題点
仮想化ホストに組み込むGPUは通常、ワークステーションクラスのグラフィックススカードで、NVIDIAの「GRID K1」や「GRID K2」などのGPUカードが使われることが多い。これらのカードは大型のPCIe(PCI Express)ホストバスアダプターカードで、多くの電力を消費する。価格も決して安くはないため、VDIホストのコストが何十万円もアップする。
最初に知っておかなければならないのは、ほとんどのブレードサーバがvGPUをサポートしないということだ。大抵のブレードサーバはPCIeスロットを備えておらず、GPUカードに十分な電力を供給することもできない。ラックマウント型のサーバでも、GPUカードを組み込むためのスペースがない可能性がある。NVIDIAのGRIDカードは2倍幅なので、隣接する2基のPCIeスロットを占有する。加えて、仮想化ホストの多くは、PCIeスロットにストレージアダプターやネットワークカードが既に取り付けられており、GPUを装着する余裕はない。
たとえ空きスロットがあったとしても、利用可能な補助電源コネクタがない可能性もある。GPUカードは大量の電力を消費するので、サーバの電源から専用のケーブルで接続する必要がある。消費電力の増加は排熱の増加を伴うため、GPUカードを搭載したサーバには十分な風通しを確保しなければならない。こうした要件が存在するため、vGPUベンダーは、どのGPUカードがどのサーバで使えるのかを明確に示す必要がある。認定リストに含まれていないサーバでvGPUを使用すれば、サーバ障害のリスクが高まる。
GPUカードに伴う電力およびスペースの要件に対応するには、事前に計画を立てることが重要だ。当面は全てのVDIホストにvGPUを配備しない場合でも、物理サーバをリプレースしなくてもGPUカードを追加できるようにしておくべきだ。
vGPUをいつ利用するのか
今のところ、ほとんどの企業が既存のVDI環境にvGPUのサポートを追加する予定はなさそうだ。だが、VDI環境の更新あるいは新規配備の時期が来れば、vGPUを1つの選択肢として検討すべきだ。
コストを重視するのであれば、vGPUのパワーを優先するのは不合理だ。例えば、2000人の従業員が働くコールセンターで全員が1種類のアプリケーションしか使っていない場合には、NVIDIAのGRIDカードは必要ないだろう。社内で開発したアプリケーションの場合にはなおさらそうだ。社内開発者は一般に、最小限のリソースしか消費しないアプリケーションを設計するからだ。
ナレッジワーカーの場合はvGPUを利用するメリットが大きい。複数のアプリケーションを使っている従業員は、仮想デスクトップにわずかなvGPUパワーが加わるだけでも仕事がはかどる。ハードウェア高速化のメリットが特に大きいのはパワーユーザーだ。本格的なグラフィックスアプリケーションを使っているユーザーは、十分なvGPUパワーの割り当てがなければ仕事をこなせない。
現時点では、ほとんどの仮想デスクトップがvGPUを必要としないが、新しいOSバージョンやアプリケーションはもうすぐ、ほとんど全てのエンドポイントにグラフィックス高速化のサポートを要求するようになるだろう。NVIDIAは、x86 CPUソケットよりもvGPUを使う方が優れたパフォーマンスを発揮する業務用アプリケーションを300本以上リストアップしている。アプリケーションがグラフィックスなどのメディアに依存する度合いが高まるのに伴い、このリストはさらに膨らむだろう。加えて、Windows 10の仮想デスクトップは、従来版Windowsよりも多くのリソースを消費する。VDI管理者は、この要求に応じたvGPUパワーを各VMに追加することによって対応する必要がある。
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