VMwareが半導体ベンダーBroadcomに買収された後、製品提供の方針を含めた変更があったことで、パートナー企業もユーザー企業も混乱した。今後の利用方針を検討する上ではどのような点を考慮すればいいのか。
ユーザー企業のサーバ仮想化を支えてきたVMwareが半導体ベンダーBroadcomによって2023年に買収されたことは、関連ベンダーのみならずパートナー企業やユーザー企業も混乱の渦に巻き込んだ。VMware製品の提供方法が変わることを受けて、「このまま使い続けてよいのかどうか」の判断を迫られるのはユーザー企業だ。何か冷静に判断できる視点はあるのか。
VMwareはサーバ仮想化市場の早期参入者という立場から、一定の利点を享受してきた。IT調査会社Freeform Dynamicsの主席アナリスト、ブライアン・ベッツ氏はある例を挙げる。ベッツ氏が関わりのあるユーザー企業の担当者は、「利用しているソフトウェアがサーバ仮想化ソフトウェア『VMware vSphere』の仮想アプライアンスとしてのみ提供されていることに気付いた」と話したという。
ただしそうした状況は変化している。ソフトウェアが特定のインフラに依存することはもはや主流の考え方ではない。オンプレミスのインフラでもクラウドサービスでも同様に動作するコンテナオーケストレーションツール「Kubernetes」がその良い例だ。オンプレミスインフラとクラウドサービスを連携させる「ハイブリッドクラウド」も、特定のインフラには依存しない考えに基づいている。
VMware製品を使い続けるどうかは、ユーザー企業の判断次第だ。ベッツ氏は「VMware製品が自社のニーズに合っていてうまく機能しているのであれば、使い続けるべきだ」と助言する。ただし同氏は代替製品への移行を否定してはいない。「選択肢となり得る製品・サービスは多様なので、必要ならば移行を検討すべきだ」(同氏)
ビジネス向けSNS(ソーシャルネットワーキングサービス)「LinkedIn」で2023年に公開された記事では、IT業界の思想的リーダーであるマット・ウィルソン氏がある考えを発信した。ウィルソン氏は従来の仮想マシンの仮想環境から、Kubernetesにアプリケーションを移行することについて語った。同氏が強調したのは、仮想マシンをコンテナに移行することで、Kubernetesを中心としたより効率的なアプリケーション運用手法の利点を享受できるようになることだ。仮想マシンをコンテナに変換するためのさまざまなツールが存在する点にも同氏は触れた。
ソフトウェア製品の永久ライセンスの廃止と、サブスクリプションモデルへの全面移行も懸念材料。この変更により、結果的にはユーザー企業が負担するコストが高くつく可能性があることに注意が必要だ。
記事掲載当初、本文で
・ベッツ氏が関わりのあるユーザー企業の担当者は以前、「サーバ仮想化ソフトウェア『VMware vSphere』は事前構成されたサーバでしか同ソフトウェアが動作しないことに気付いた」と話していたことがあった
と記載していましたが、誤りでした。こちらは
・ベッツ氏が関わりのあるユーザー企業の担当者は、「利用しているソフトウェアがサーバ仮想化ソフトウェア『VMware vSphere』の仮想アプライアンスとしてのみ提供されていることに気付いた」と話した
に訂正しておわびいたします。その他、一部の説明を変更しました。本文は修正済みです。
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