VDI向けハイパーバイザー比較 Xen、KVM、Hyper-V、ESXiの特徴は稼働環境、セキュリティ、TCOなどを確認

高パフォーマンスで可用性やスケーラビリティに優れたVDIを構築するには、最適なハイパーバイザーを選ぶ必要がある。XenやKVM、Hyper-V、ESXiなど主要ハイパーバイザーの特徴を伝える。

2018年07月11日 05時00分 公開
[Robert SheldonTechTarget]

 企業のIT部門がVDI(仮想デスクトップインフラ)向けのハイパーバイザーを選ぶ際には、無償と有償のどちらにするかなど、さまざまな点を検討する必要がある。

 適切なVDI向けハイパーバイザーを選ばないと、パフォーマンスや可用性、スケーラビリティ、管理に問題が発生する。

 ハイパーバイザーはVDIの中核であり、物理リソースを抽象化して仮想マシン(VM)を提供する。企業のIT部門がハイパーバイザーを選ぶ際は、

  • 稼働環境
  • ハイパーバイザーの保護と管理
  • デスクトップデリバリー(配信)
  • 総所有コスト(TCO)

を検討する必要がある。さらに、選択したハイパーバイザーが自社の現在や将来の要件を満たすかどうかを確認すべきだ。

稼働環境

 まず考えるべき検討事項は、ハイパーバイザーを実行する環境だ。例えば、「KVM」はLinuxカーネルに含まれているため、Linux環境での稼働に限定される。Microsoftの「Hyper-V」を使うにはサーバOSの「Windows Server」または「Hyper-V Server」が必要になる。

 ハイパーバイザーをホストするハードウェアも重要だ。Xenはx86、x86-64(x64:64bit版x86)、Armアーキテクチャのサーバで稼働させることができる。「VMware ESXi」のハードウェア要件はこれより狭く、x86-64サーバに限定される。ハイパーバイザーの選択時に現行のシステムを考慮する必要がある。

 どのゲストOSの稼働が可能かも重要だ。「Windows Server 2016」でのHyper-Vは「Windows Server 2008」からWindows Server 2016までのWindows Serverと「Windows 7」「Windows 8.1」「Windows 10」、複数のLinuxディストリビューション、「FreeBSD」をゲストOSとして選択できる。VMware ESXiは、これらのOSに加え、さらに古いバージョンのWindowsや他のLinuxディストリビューション、「Oracle Linux」などもゲストOSにできる。

 クラウドやハイパーコンバージドインフラ(HCI)など、仮想デスクトップの提供に関わるその他のインフラ要素も考慮する必要がある。例えばXenやKVMは、「OpenStack」などのクラウド環境構築製品でハイパーバイザーとして選択できる。Nutanixは独自のハイパーバイザー「AHV」を開発した。

セキュリティと管理

 ハイパーバイザーを比較するには、セキュリティのメカニズムも重要な検討事項だ。例えばHyper-Vは、ディレクトリサービス「Active Directory」を使ってセキュリティポリシーを適用し、信頼された環境でのみ実行可能な仮想マシン(VM)である「シールドされた仮想マシン」(Shielded VM)で仮想環境を保護する。一方ESXiは、ネットワーク仮想化製品「VMware NSX」で、VM単位でファイアウォールを設定できる「マイクロセグメンテーション」を実現する。

 ハイパーバイザー管理も検討しなければならない。例えば、Xenを公開するXen Projectは、さまざまな管理ツールも提供している。一方Hyper-Vの標準管理ツール「Hyper-Vマネージャー」は、ホスト数の少ないVDI構成にしか向いていない。大規模な構成には「System Center Virtual Machine Manager」などの管理ソフトウェアを使う必要があり、それには追加のライセンス料が発生する。

 ハイパーバイザーをカスタマイズしたり拡張したりできるかどうかも重要だ。XenとKVMはオープンソースのハイパーバイザーなので、ソースコードを使ってインタフェースを作成したり機能を加えたりすることができる。さらにCitrix Systemsは、Xenをベースとする「XenServer」を無償のオープンソースサーバ仮想化ツールとして提供するようになった。

 ESXiはオープンソースではないが、VMwareはVM関連操作の自動化や通信のためのAPIを提供している。

デスクトップデリバリー

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