年間1500億ドルのコスト削減に期待
「バーチャルナース」から「Apple Watch」まで AIが医療を変える5つの分野
医療業界では、特定の外科手術における臨床的な意思決定と支援のためのテクノロジーが進化するとともに、人工知能(AI)技術の応用に注目が集まっている。
医療業界では、治療と患者ケアを改善するためにはテクノロジーが不可欠であると考えられてきた。人工知能(AI)技術の活用が「第4次産業革命」と呼ばれるようになった今日、医療機関の間では、患者の治療効果を改善し、医師の生産性を向上させ、ミスを減らす新しいAIベースのアプリケーションを導入しようと検討する動きが広がっている。
複数の研究結果によると、米国の医療業界では2026年までにAIベースのアプリケーションが年間1500億ドルのコスト削減をもたらす可能性があるという。医療分野のAI技術が幅広く受け入れられるようになるにつれ、複数の分野に大きな影響を与えて大成功を収めると予測されている。医療AIで大きな成果が期待されるのは次のような用途だ。
- 医療機関内外におけるバーチャルナース
- 手術支援ロボット
- 医療画像解析と疾病の早期診断
- スクリーニング検査の判定
- 患者の医療データに対するフィードバック
医療機関内外におけるバーチャルナース
米国の幾つかの地域、特に地方の農村地域では、看護師の採用難に苦しんでいる病院が珍しくなく、看護体制の不足が患者ケアの質に深刻な影響を与えている。音声アシスタントの自然言語処理機能と機械学習機能を使用したバーチャルナースが、この問題の解決に役立つ可能性が大きい。音声アシスタントはすでに、家庭のスマートスピーカーやモバイルデバイスで広く使用されている。24時間365日の会話を通して患者のニーズに対処するための技術として、多くのITベンダーがAIに注目している。
手術支援ロボット
AIは外科手術の計画と手術中の補佐において重要な役割を果たすだろう。ロボットは他の産業においても著しい進歩を遂げ、人間にとって単純過ぎる反復作業や危険を伴う仕事を引き継いでいる。自動化は人的ミスの削減にも役立っている。医療におけるロボット活用の有名な事例は、低侵襲手術に利用できるIntuitive Surgicalの手術支援ロボット「da Vinci Surgical System」(ダビンチ)だが、これはまだ訓練された外科医による操作を必要とする。ダビンチは心臓外科手術や婦人科手術、胸部外科手術で広く利用されている。
医用画像解析と疾病の早期診断
エックス線撮影装置やコンピュータ断層撮影(CT)装置、磁気共鳴画像法(MRI)装置で得られた画像データを、機械学習を組み込んだ医用画像システムで処理することによって、医用画像の詳細な解析ができ、潜在的な疾病の早期検出につながる。従来、医用画像は医師が目視で読影していたが、疾病によっては肉眼で病変を見つけることが困難なケースもあった。AIは何千ものスキャンデータや診断情報を学習し、異常を検出してラベル付けする。この情報は、医師の目視では見落とす可能性のある病変を特定するための助けとなる。
スクリーニング検査の判定
医師の診察や治療を受けたことがある患者は、自分の診断データをデジタル形式で持っている場合がある。AI搭載のシステムがあれば、このデータをスクリーニングして、適切な診断結果と治療方法の選択肢を医師に提供できる。AIが糖尿病や心臓病の患者をスクリーニングして検出した事例は幅広い。例えば医療機器メーカーのIDx Technologiesは検眼医(米国の医療制度における、視力測定を専門とする医師)向けのクラウドサービスを提供しており、検眼医は網膜スキャンの画像をIDx Technologiesのクラウドにアップロードすると、画像解析の結果と糖尿病性網膜症に関するフィードバックを即座に得ることができる。
患者の医療データに対するフィードバック
ここ数ケ月の間にスマートウォッチ「Apple Watch」に関する多数のニュース記事があった。これによると、Apple Watchが心拍数を監視し異常な心拍の検出をユーザーに通知することにより、重大な健康障害の防止に役立ったという。ウェアラブルデバイスによって収集されたデータの分析は、心拍モニターだけではなく、他のフィットネス機器や医療機器にも応用できる可能性がある。AIを利用したデータ診断をリアルタイムで利用することにより、患者は貴重な情報だけでなく、場合によっては生死にかかわるフィードバックを受け取ることができる。
医療分野のAIは改良と成熟を続けているが、医療従事者には依然としてコンピュータのソフトウェアに基づいて臨床判断を下すことにちゅうちょがあるかもしれない。医療分野のAIは近年、大きなポテンシャルを持つことを実証しており、少なくとも医療機関にとって強力な味方であることは間違いない。
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