従量制の料金体系を採用
AWSが攻めの音声料金、クラウドUCの価格破壊につながるか
Amazon Web Services(AWS)の新しい法人向け通話プランは利用に応じた料金体系を提供する。もし成功すれば、クラウドユニファイドコミュニケーション(クラウドUC)業界を揺るがす可能性もある。
Amazon Web Services(AWS)が、業界を揺るがす可能性もある攻めの料金モデルでクラウド通話市場に参入した。
AWSは2019年に入って電話サービス「Amazon Chime Business Calling」「Amazon Chime Voice Connector」の提供を開始した。両サービスでは、企業がライセンスを結んだユーザーごとに月額料金を支払うのではなく、使用した分に対してのみ料金を支払う。AWSは、ユーザーが電話を使った時間に応じて1分ごとに均一料金を徴収する。
AWSはオンライン会議サービスの「Amazon Chime」とコンタクトセンターサービスの「Amazon Connect」についても同様の料金戦略を採用している。Amazon Connectを通じた通話料金(米国東部リージョン)はこのほど、1分当たり0.0065ドルから0.0048ドルへと値下げされた。
「AWSは真に破壊的な低価格を設定しており、一部の企業は自分たちのやり方を見直すことになるかもしれない。AWSがやっているのは真に未知の領域だ。顧客に支持されるかどうかはまだ分からない」。調査会社ZK Researchの主席アナリストであるゼウス・ケラバラ氏はそう話す。
AWSの親会社であるAmazon.comのビジネスは、競合他社を下回る破壊的な料金の上に成り立っている。巨大企業となった同社は今、クラウドユニファイドコミュニケーション(クラウドUC)市場でどのような機能や料金が支持されるのかを探るため、赤字覚悟でAmazon Chimeのような冒険に挑むことができるようになった。
ただし従量制の料金体系は、全ての企業にとって魅力的とは限らない。多くの企業は、特に音声通話のヘビーユーザーの場合、固定された月額料金を好む可能性がある。さらに、AWSの法人向け通話プランは、通話、ボイスメール、SMS(ショートメッセージサービス)メッセージというベーシックな3つの機能のみを提供する。
調査会社J Arnold & Associatesの主席アナリストであるジョン・アーノルド氏は、「経費を節減したい企業にとって、これは十分理にかなう。もちろん(AWSにとっては)利益が出しにくく、企業をつなぎ留めて囲い込むのが難しいというリスクがある」と指摘する。
2017年初めに提供を開始したAmazon Chimeは今も、「Cisco Webex」「Zoom」「Skype for Business」「Microsoft Teams」といった競合製品/サービスに後れを取る。Amazon Chime Business CallingとAmazon Chime Voice Connectのリリースにより、クラウドUCサービスとしてのChimeの完全性は高まった。ただし音声機能が限られることから、中堅・中小企業にとっての魅力は限定的になりそうだ。
Amazon Chime Business Callingでは、Amazon Chimeアプリの中でPublic Switched Telephone Network(PSTN:公衆交換電話網)にアクセスできる。Amazon Chime Voice Connectはインターネット接続または「AWS Direct Connect」経由でオンプレミスの電話インフラをPSTNに接続する。AWS Direct Connectは、企業のデータセンターとAWSクラウドを結ぶ専用線接続サービス。
「AWSにとっての課題の一つは、Amazon Chimeがそれほど広範に採用されていないということだ。テレフォニー(電話機能)があれば、恐らくその溝は埋まるだろう」。ケラバラ氏はそう解説している。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
急増する「AIはこう言ってる」マン 判断を狂わせる「AI忖度」を防ぐには?
-
2
取手市がVDIと決別した理由 更改費用「4倍超」を約1.7倍に圧縮
-
3
「データストレージの活用方法」に関するアンケート
-
4
自宅のWi-Fiが「遅い」「途切れる」本当の原因は? Dellが推奨する鉄則
-
5
本当に安いPCで十分か? “すぐ重くなる”を防ぐノートPC選びの絶対条件
-
6
Claudeの不可視透かしに批判殺到 著作権消失や誤判定に潜む企業リスク
-
7
100億円の「Linux更新」を回避 みずほ銀行が選んだ“おきて破り”のRHEL延命策
-
8
221人調査で分かった「情シス最大のストレス」は?
-
9
LLMの「過学習」、正しく説明している文章はどれ?
-
10
レガシー基幹システムをSAPに統合 山善が突き止めた「標準化と個別最適」の境界線
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
年収2000万「クラウドセキュリティのプロ」になれる資格とは
-
2
セキュリティソフトをすり抜ける標的型攻撃メール、不審メールの見破り方とは?
-
3
Windows Updateの通信集中で回線が逼迫、ネットワーク刷新事例に学ぶ解決策
-
4
財務を戦略的組織へ進化させるAI活用術、4つの主要な障壁と解消方法
-
5
「NAS」「SAN」「DAS」は何が違う? いまさら聞けないストレージの基礎
-
6
“あのファイル転送”で暗躍するノーウェアランサム
-
7
標的型攻撃メールを見破るには? サンプル文面を例に傾向を解説
-
8
商用利用の安全性を確保し大量のコンテンツを高速で生成する、AI活用の秘訣
-
9
マンガで解説、1日で生成AI環境を構築できるワークショップの中身とは?
-
10
Dark AIが台頭する時代の新発想、「より高度なAIで対抗する」具体的方法とは?
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー