企業がAIを活用するための8つのヒント【後編】
AI活用は何から始めればよいのか? AI人材の適切な配置方法は?
企業がAI(人工知能)技術をビジネスに取り入れる際のポイントを前後編にわたり説明する。後編ではAI活用を企業が推し進めるために必要な考え方や組織体制について、具体例を交えながら紹介する。
前編「優秀なAI人材を得る3つの方法とは? 汚いデータを使えるようにするには?」では、AI(人工知能)専門家の確保やビジネスでのAI活用、AI技術の代表例である機械学習に関するデータの収集・整形方法を紹介した。後編ではAI活用の取り組みに必要な体制やデータに対する考え方について解説する。
5.実験を繰り返す
AI活用プロジェクトのチームが発足し、まず機械学習の実験を開始するとなると、次のような疑問が浮かぶだろう。
- データは十分か
- データはクリーンか
- データは事象を正しく表現できているか
- 機械学習が必要か、シンプルなルールで十分か
これらの疑問に答えを出すには、より多くのデータに機械学習アルゴリズムを適用する必要がある。だが必要なデータが、実験に使ったものとは別のデータベースにある場合がある。クリーニングが必要な場合は、すぐ手に入らないこともある。
こうした事情でデータの入手が難しくなる場合、データの性質や収集方法に応じて、モデル作成が数日から数カ月遅れることがある。実験をするたびに得られる新たな洞察がさらに疑問を呼び起こし、そのために別のデータを追加で収集しなければならなくなる。企業にとってAI技術を利用することとは、データ収集、実験、検証のプロセスを忍耐強く繰り返すことを意味する。
6.AIをどう活用するかを決める
多種多様な可能性を秘めるAI技術だが、大きな問題の一つは「どこから手を着けるか」だ。
企業はAI技術を活用することで、業務効率の改善や適正化を実現できる可能性がある。障害の根本原因を発生前に見つけたり、音声通話をどこに転送するかを決定したりすることが可能だ。顧客に新しい価値やユーザーエクスペリエンス(ユーザー経験価値:UX)を直接提供することもできる。より正確なアドバイスの提供や、チャットbotを使ったサポートなどがその例だ。
AI技術ならではの新しい商品や機能を開発することもできる。リアルタイムでの会話の文字起こしや翻訳、顔認識による認証などがそうだ。
取り組みの出発点として、リスクとコストが低く、ROI(投資対効果)が高いAI活用プロジェクトを選択する必要がある。ただし選択肢をふるいにかけ、どのプロジェクトがよりうまくいくか判断するのは、必ずしも容易ではない。
7.取り組み体制を決定する
AI技術に精通している人材を組織のどこに配置すればよいだろうか。CTO(最高技術責任者)オフィスや研究開発チームに、AI関連の取り組みを推進する特別グループを設置している企業もある。
ボトムアップアプローチを採用する企業もある。そうした企業は機械学習の実験に適した1つないし2つの分野をまず特定し、時間をかけてその分野での実験を推進する。その実験がけん引役となって、社内でAI関連の取り組みが進むことを想定している。
トップダウンアプローチを取る企業もある。そうした企業は特定のビジネスニーズやユースケースから出発し、AI活用プロジェクトの進め方を考える。このアプローチは、ユースケースの定義や実装について、AI専門の外部コンサルタントやアウトソーシングを手掛けるベンダーに協力を請うことも可能だ。
8.全てのデータに機械学習が必要とは限らない
企業が機械学習の利用を始めるに当たっては、使われていなかった業務データを収集し、それらの意味を理解することに労力の大部分が費やされる。だがそうしたデータは、機械学習を使わずとも有効に活用できる場合がある。
データを調べ、ほとんどの判断を下すのはデータサイエンティストだ。データサイエンティストはデータ活用によるビジネスの改善に向けて、機械学習より有望な別の手法に挑戦しようとする可能性がある。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
企業がAIを活用するための8つのヒント
企業におけるAI(人工知能)技術の導入は複雑なプロセスになることがある。企業がこれを乗り越えるために取るべき手段とは何だろうか。
この記事の著者
関連記事
新着ホワイトペーパー PR
-
市場調査・トレンド
[コパード株式会社] 約9割が負担を実感 Salesforceのテスト業務に関する実態調査で見えた課題とは -
市場調査・トレンド
[コパード株式会社] 「Salesforce」開発・運用におけるAI活用実態調査レポート -
事例
[テクバン株式会社] 1画面でITサービスデスク業務が完結 太陽ホールディングスに学ぶデバイス管理 -
製品資料
[デジタルサーカス株式会社] ライセンス無料 Drupalベースの「多言語ECサイト開発用パッケージ」の実力は? -
製品資料
[デジタルサーカス株式会社] 日本発グローバル企業用Drupal「Risley(リズリー)」の実力とは?
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
半数がブルーカラー転向を視野に? ベテランエンジニアを追い込む“54歳の壁”
-
2
法務と開発者で「言葉が通じない」問題 トヨタやソニーが語るOSS管理の真実
-
3
なぜ「Gemini 4 Argon」は出遅れたのか? Googleが狙う“逆転のシナリオ”
-
4
「レガシーシステム・老朽化システムの運用課題と刷新」に関するアンケート
-
5
脱VMwareか、継続か? 仮想化ソフト主要6製品の運用管理と統制機能を徹底比較
-
6
ChatGPTは“検索しまくり”でGeminiは“淡泊”? データが明かすAIの裏側
-
7
なぜ「全社配布Copilot」は使われないのか? 失敗に学ぶAI定着
-
8
1回で分かる:仮想マシンを丸ごとバックアップする「VADP」の仕組み
-
9
「企業内サーバ環境の利用実態」に関するアンケート
-
10
セキュリティは「情シス任せ」が過半数 漏えい発生時やSCS評価制度の課題は?
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
家庭用Wi-Fiルーターの業務利用は危険? 避けるべき理由と具体的な対策
-
2
システムの保守がモダン化を阻む? 「変えない判断」から脱却する方法とは
-
3
不審メールの経路や見せ方に変化? 2026年夏の3事例から見えた動向と対処方法
-
4
AI駆動攻撃にどう対抗する? 超速の攻撃からエンドポイントを保護する方法
-
5
なぜRPA導入は頓挫する? シナリオ作成の壁を乗り越える解決策とは
-
6
プログラミング不要で誰でも実現できる、ネットワーク運用管理の自動化とは
-
7
東大教授と考える、AI時代の「データ主権」「信頼性」「ガバナンス」の在り方
-
8
Linux初心者でも知らないとまずい「RHEL」「SLES」の違いとは?
-
9
最速72分でデータが流出? 最新の脅威トレンドや侵入手法から分かった防衛策
-
10
生成AIの活用を阻む「5つの壁」とは? AIネイティブ組織へ変革を遂げる方法
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー