「AI」の学習用データ収集 その課題と解決策は【前編】
AIの学習用データをクリーンにするには“ゴミデータ”を排除すべし
機械学習導入の最初のステップは、質が高くクリーンな学習用データを用意することだ。研究機関と企業の事例から、学習用データの質を高める方法について解説する。
人工知能(AI)技術、特に機械学習によって業務プロセスを自動化するには、膨大な量の学習用データ(教師データとも)が必要だと考えられてきた。この見方が変わりつつある。機械学習では、誤った判断につながる不適切なバイアスが問題になっている。そのため学習用データの質が重視されるようになっている。機械学習をベースにしたAIシステムから有益な結果を得るためには、データのクリーニングによって質の高い学習用データを用意する必要がある。
2019年4月にO'Reillyが開催したAIカンファレンス「Artificial Intelligence Conference」の各登壇者は、企業が大規模データセットを管理する際に直面した問題について詳しく語った。データのクリーニングで成功を収める方法についても説明した。
併せて読みたいお薦め記事
AIの「バイアス」について考える
- 人工知能(AI)と機械学習データの課題、予測不能な世界を予測するには?
- Amazon、Facebookも批判の的に 「公平・公正なAI」はなぜ難しいのか
- “偏り”がプラスに作用することも 「AI」のバイアスとどう向き合うか
AIの学習データについて事例をもっと見る
米ニュージャージー州のスティーブンス工科大学(Stevens Institute of Technology)で視覚芸術およびテクノロジー学科の准教授兼主任を務めるジェフ・トンプソン氏は、自身のプロジェクト「Empty Apartments」について語った。このプロジェクトでは、賃貸物件のリストから空き家の画像を収集し、照明や間取り、写真の形などの類似性に基づいて分類する。分類に使用するのが機械学習モデルだ。
機械学習の学習プロセスには、ターゲットを絞り、更にクリーニングした学習用データを使った。そして写真を相互に関連付けて、特徴に基づいて分類し、大きなテーマで表すことを可能にした。Empty Apartmentsの場合は、オンライン広告サイト「craigslist」に掲載された画像のうち、空き家に絞った写真を利用した。
不要なデータを減らして学習用データをクリーンに
米ニューヨークを拠点とする新興企業CTRL-labsは、人間と機械をつなぐ神経インタフェースを開発している。同社の最高科学責任者を務めるパトリック・カイフォシュ氏は、複数の環境に機械学習ベースのAIシステムを導入している。例えば臨床環境では、皮膚に取り付けたセンサーを使って神経のデータを抽出して、コンピュータに転送し、データのラベリングと分析をする。
人間の身体からビッグデータを集める工程には課題がある。第一に、臨床用の神経インタフェースは個人の脳や神経回路の入出力に合わせて微調整する必要があるため、データ収集システムの設定の使い回しができない。個人に特化したデータからクリーンな学習用データを作成するのは非常に難しいため、機械学習モデルは複雑になる。
カイフォシュ氏によると、センサーを使い筋肉から神経活動に関するデータを抽出してコンピュータに送信するといった、複雑なフローでデータ収集するとき、センサーは不必要なデータを多く収集する傾向にある。同氏は、センサーやシステム間のつながりを減らして少量のデータを収集することで、クリーンなデータの取得を目指している。
CTRL-labsの将来の展望についてカイフォシュ氏は「神経活動を直接抽出してコンピュータに送信し、ノイズを除去することだ」と語る。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
「AI」の学習用データ収集 その課題と解決策は
AIの学習用データを用意するときに重要なのは、量より質だ。本稿では実際の企業の事例から、質の高い学習データを集めるための方法について説明する。
この記事の著者
関連記事
新着ホワイトペーパー PR
-
技術文書・技術解説
[Jamf Japan 合同会社] MDMだけでモバイルセキュリティは十分? 不足する対策を16項目でチェック -
事例
[Wrike Japan 株式会社] 世界的な家電メーカーが実践する「クリエイティブプロセス効率化」の方法とは? -
事例
[Wrike Japan 株式会社] 世界的テクノロジー企業に学ぶ、プロセス標準化とプロジェクト納品自動化の秘訣 -
事例
[Wrike Japan 株式会社] ソニー・ピクチャーズ テレビジョンに学ぶ、次世代サービスデリバリーのヒント -
事例
[Wrike Japan 株式会社] ソミック石川に学ぶ、ICT浸透後に直面した「工数管理」の課題と解決策
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
「Copilot」はなぜ放置される? “議事録要約止まり”を脱する処方箋
-
2
脱VMwareの前提が崩れる BroadcomのVDDK公開停止で確認すべき点
-
3
「有線LAN環境」に関するアンケート
-
4
Oracle巨大ITプロジェクトはなぜつまずいたのか 8年で導入1割、追加で170億ドル
-
5
100億円の「Linux更新」を回避 みずほ銀行が選んだ“おきて破り”のRHEL延命策
-
6
「データストレージの活用方法」に関するアンケート
-
7
「自動化」で「DX」は強制的に進む? そのシンプルな理由
-
8
AWS障害でも補償ゼロの衝撃 サイバー保険で情シスが見落とす「細則の壁」
-
9
AI全部入り「Microsoft 365 E7」に企業が二の足を踏む訳 移行意向はわずか4%
-
10
「データを国内に置く」だけでは不十分 情シスが知るべきAI時代の「デジタル主権」
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
マンガで解説:「ゼロトラスト」「SASE」の必要性とメリット
-
2
5回聞くだけじゃ足りない? トヨタ式「なぜなぜ分析」の正しい実践方法
-
3
インシデント対応工数を約3割削減、東京ガスの事例に学ぶ監視体制刷新のコツ
-
4
AIエージェントで多様な日常業務を効率化するための入門ガイド
-
5
JR西日本ITソリューションズが「監視業務の属人化」を解消した方法とは?
-
6
国税庁の次世代基幹システム「KSK2」稼働開始に向けて、対応すべき変更点とは?
-
7
5分で分かる「セキュア大容量ファイル転送サービス」の機能とメリット
-
8
ドラマで分かる、標的型攻撃メールの被害を受ける企業と回避できる企業の分岐点
-
9
「脱Excel」か「Excel快適化」か? 現場にやさしい業務改善の進め方
-
10
少額減価償却資産が40万円未満へ拡大、令和8年度税制改正で押さえるべき変更点
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー