コンボリューショナルニューラルネットワークで分析
新惑星発見に使われたGoogleの機械学習技術とは プロジェクト発案者が語る
GoogleとNASAは、機械学習技術の一つであるコンボリューショナルニューラルネットワークを用いて、新惑星を発見した。惑星探索に機械学習技術をどう活用したのか。
Googleの機械学習技術の応用例には、同社と米国航空宇宙局(NASA)が共同で実施した太陽系外惑星の探索プロジェクトがある。プロジェクト発案者であるGoogle AI部門のシニアソフトウェアエンジニア、クリス・シャルー氏が報道機関向けセミナーで、新惑星発見までの過程について説明した。
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機械学習で新惑星を発見
GoogleとNASAが惑星の発見に利用したのは、機械学習技術の一種で画像分類を得意とする、コンボリューショナル(畳み込み)ニューラルネットワーク(CNN)だ。CNNは、写真の保管サービス「Google フォト」などに用いられている。
CNNを用いたシステムの構築後、GoogleとNASAは惑星3500個前後と、惑星の可能性が高い天体1万5000個ほどについて、それぞれのライトカーブ(詳細は後述)のデータを使って、惑星のデータとそうでないものを見分けられるようシステムに学習させた(図)。このシステムをテスト用ライトカーブでテストすると、96%の精度で惑星のデータかどうか見分けることができた。学習を終えた後に新たに取得したライトカーブのデータを読み込ませて、670個の恒星で、惑星がないかどうか分析すると、「ケプラー80g」「ケプラー90i」という2つの惑星が新たに見つかった。
本プロジェクトで用いたのは、NASAのケプラー宇宙望遠鏡で取得したライトカーブの公開データだ。ライトカーブは、天体の明るさを示す光度の変化を捉えた曲線のことを指す。望遠鏡で観測する恒星の光度(以下、観測光度)は、惑星が望遠鏡と恒星の間を通過する時に減少し、再度増す。このときのライトカーブはU字曲線を描く。恒星の観測光度は恒星黒点、宇宙線、連星(注)における他の恒星の通過など、惑星通過以外の要因によっても減少するが、それぞれのライトカーブの形状は異なる。
※注:複数の恒星が共通の重心の周りを回っている天体系。
従来ライトカーブのデータから惑星を探索するときは、ソフトウェアを用いて惑星の可能性を持ったデータを自動で検出した後に、惑星によるものかそうでないものかを人の手で精査してえり分けていた。ケプラー宇宙望遠鏡で取得したデータのうち、現在までに人力で追加検証したデータは3万件を超えており、そのうち約2500件のデータを惑星として判別したという。
今後の展開は
シャルー氏は「今後は生命体が存在できる、地球と似た条件の惑星を見つけたいが、それには課題がある」と言う。1つ目は、地球に似た条件の惑星は恒星からの距離が遠く、軌道を一周するのに時間がかかるため、多くのデータが集めづらいこと。2つ目は、地球サイズの惑星は比較的小さめで、恒星と望遠鏡の間を通過する時の観測光度の下降が認識しづらいことだ。これらの要因は、地球に似た惑星のデータを使った機械学習を難しくする。シャルー氏は「課題の解消に努めたい」と続ける。
今回使用した機械学習モデルはソフトウェアライブラリ「TensorFlow」で利用できる。シャルー氏は「学習モデルを開示することで、ケプラー宇宙望遠鏡だけでなく、別の望遠鏡で収集したデータを分析して新しい惑星発見につなげたい」と展望を語る。
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