機械学習を企業に導入する流れをCIOはどのようにサポートできるだろうか。恐らくはデータレイクの構築から始めることになるだろう。
人工知能(AI)はベンダーや報道機関がもてはやしているテクノロジーだが、その花形は機械学習だ。事実、機械学習は最近非常に普及しており、機械学習とAIを同じ意味で使用する企業もある。
だが、両者は同じテクノロジーではない。AIはソフトウェアbotから実際のロボットまで、あらゆるものを指すが、機械学習は具体的には「統計モデルを使用してデータからパターンを推論するもの」を指す。
機械学習を他社との差別化要因にすることを計画している企業のCIOにとっては、その高度な技術をどうすればサポートできるか、漠然とした疑問が浮かぶ。CIOは最初から新たに考えるのではなく、家具EC大手のWayfairの戦略を手本にすることができる。Wayfairでチーフアーキテクトを務めるベン・クラーク氏は、機械学習の企業への導入を実現するため、データの品質よりもデータへのアクセスに目を向けている。
データサイエンスを正式に実践していない企業でも、機械学習を全く知らないということはない。チャットbotや対話型ユーザーインタフェースのサポート、IT運用ログの分析、不正の検出など、機械学習は至るところで使われている。SiliconAngle Mediaの調査部門Wikibonでアナリストを務めるジェームズ・コビーラス氏は「CIOはいろいろな意味で幅広い目的を持ち、多くの機械学習を扱っていると考えられる」と話す。
機械学習は大きく広がり、そのプレゼンスを増している。市場調査会社MarketsandMarkets Researchは、機械学習市場の2017年の規模は141億ドルだったが、2022年までに881億ドルに増加すると予測する。他にも、Grand View Researchは、機械学習のサブセットに当たるディープラーニングの市場規模が、2025年までに102億ドルに達すると予測している。
だが、機械学習を導入する企業の多くが利用するテクノロジーは、社外のアプリケーションサービスのバックグラウンドで使われている機能だ。
機械学習を組み込んだツールに投資することが企業の現状維持に役立つのは確かだが、市場での戦略的な差別化にはならない。こう語るのはCimphoni Consultingの共同設立者兼パートナーのブレント・リーランド氏だ。同氏はTrek Bicycleの前CIOでもある。
「多くの企業にとって、こうしたツールへの投資が機械学習との出会いになる。だが、競争で優位に立てるわけではない」(リーランド氏)
企業で機械学習のコンピテンシーを築く好機が訪れている。Gartnerが3000人以上のCIOとIT部門の上級幹部を対象に調査した2018年の報告書によると、AIに投資し導入している企業は4%にすぎないという。また、今のところAIには関心がないと答えた企業は3倍以上の14%と報告されている。
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