従業員を重視することが高度なサービスにつながる
アメリカン航空が「SAP SuccessFactors」を導入 “社員が第一”をどう実現?
SAPの人材管理クラウドサービス群「SAP SuccessFactors」を活用しているAmerican Airlines(アメリカン航空)。同社の「人間中心、人間第一」という風土は、従業員を重視する文化に基づく。
優れたカスタマーエクスペリエンスを提供するという目標への道のりは、強力な従業員エクスペリエンスから始まる。American Airlines(アメリカン航空)の人材共有サービス部門でマネージングディレクターを務めるマーク・ミッチェル氏が「当社は最大手であるだけでなく、最高の航空会社だ」と称するのは、同社が業務に取り組む中で自社の従業員を重視する必要があると判断し、そのための取り組みを進めているためだ。
ミッチェル氏はSAPのカンファレンス「2019 SAPPHIRE NOW」のパネルディスカッションに参加し、次のように語った。「当社の根底には、到達すべき3つの目標がある。そのうちの一つが、人間中心で人間第一の文化を築くことだ。こうした文化が、世界最高レベルの顧客エクスペリエンスを生み出す力になる」
言い換えれば、社内外の“顧客”を区別しないということだ。ミッチェル氏が言うように「全て他社と同等のことをしている」のだとしたら、同社の競争上の優位性は同社の従業員と従業員エクスペリエンス戦略にあると考えられる。
2019 SAPPHIRE NOWで従業員エクスペリエンスの重視を話題に挙げたのはアメリカン航空だけではなかった。従業員参画の機会、個人に合わせた対処、共感といったテーマを中心とする議論も幾つかあった。つまりこうしたトピックが、人事担当者や人事テクノロジー市場の注目を集めていることになる。
ミッチェル氏は、同パネルディスカッションに参加したSAPユーザーの一人だ。同氏は2013年のUS Airways(USエアウェイズ)との経営統合が「シームレスで統一した従業員エクスペリエンスを生み出し、会社と共に業務をしやすくなったことを当社の従業員に示す」ことの原動力になったと話す。
SAPのテクノロジーで人材データに命を吹き込む
アメリカン航空の従業員エクスペリエンス戦略は、一種の従業員向けオムニチャネルだとミッチェル氏は説明する。従業員が人事部門にどのような方法で接触するとしても、誰もが同じように感じ、誰もが自分のためにサービスが提供されていると感じる必要がある。その従業員エクスペリエンスの心臓部となるのがデータだ。「そのデータに命を吹き込む」のがSAPのテクノロジーだと同氏は話す。
ミッチェル氏は、アメリカン航空が活用するSAPテクノロジーの一つとして、SAPの人材管理スイートに含まれるクラウドサービス「SAP SuccessFactors Employee Central Service Center」を挙げる。同サービスは、従業員が人事部門のヘルプデスク機能にアクセスするのを支援する。これをSAPの人材調達・管理クラウドサービス「SAP Fieldglass」と連携させると、管理職は自身が管理する組織構造をより包括的に把握できるようになる。
アメリカン航空のチームメンバーは、フランス、ドイツ、日本、ブラジルなど、さまざまな国で働いている。どの国で働いているとしても、アメリカン航空の在り方についてさまざまな期待を抱いている。「当社はテクノロジーの使い方を見つけなければならない。それは、各メンバーにとって重要なことを区別し、各メンバーが当社の業務に貢献できるテクノロジーだ」(ミッチェル氏)
人事部門のマネジャーは、従業員の参画や従業員の声を、こうした戦略の最終成果と捉えるのではなく、それらを従業員エクスペリエンス活動の中心に据えるべきだ――とミッチェル氏は語る。同氏氏が率いるチームは、従業員のコミットメント(責任ある関与)を促している。「それが企業の力を生み出す」と同氏は話す。「顧客とのやりとり、生産性、財務上の意思決定など、全ての業務の成果に従業員の自発的なエネルギーを積極的に生かすことが、目的とする成果につながるだろう」(同)
従業員エクスペリエンスは、ここ数年、アメリカン航空の優先事項リストの上位に掲げられている。同社のCEOダグ・パーカー氏は、文化を変える重要性と難しさについて語っている。同社の変革に向けた取り組みの一つとして知られているのが、従業員への現金賞与支給だ。キャリア情報サイト「Glassdoor」は、在職者や元従業員による匿名の職務レビューを集めて、企業の文化や従業員エクスペリエンスを評価している。同サイトは約2600件のレビューを基に、アメリカン航空の現状を5点満点中3.7点(原稿執筆時点)と評価している。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
急増する「AIはこう言ってる」マン 判断を狂わせる「AI忖度」を防ぐには?
-
2
取手市がVDIと決別した理由 更改費用「4倍超」を約1.7倍に圧縮
-
3
「データストレージの活用方法」に関するアンケート
-
4
自宅のWi-Fiが「遅い」「途切れる」本当の原因は? Dellが推奨する鉄則
-
5
本当に安いPCで十分か? “すぐ重くなる”を防ぐノートPC選びの絶対条件
-
6
Claudeの不可視透かしに批判殺到 著作権消失や誤判定に潜む企業リスク
-
7
100億円の「Linux更新」を回避 みずほ銀行が選んだ“おきて破り”のRHEL延命策
-
8
221人調査で分かった「情シス最大のストレス」は?
-
9
LLMの「過学習」、正しく説明している文章はどれ?
-
10
レガシー基幹システムをSAPに統合 山善が突き止めた「標準化と個別最適」の境界線
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
年収2000万「クラウドセキュリティのプロ」になれる資格とは
-
2
セキュリティソフトをすり抜ける標的型攻撃メール、不審メールの見破り方とは?
-
3
Windows Updateの通信集中で回線が逼迫、ネットワーク刷新事例に学ぶ解決策
-
4
財務を戦略的組織へ進化させるAI活用術、4つの主要な障壁と解消方法
-
5
「NAS」「SAN」「DAS」は何が違う? いまさら聞けないストレージの基礎
-
6
“あのファイル転送”で暗躍するノーウェアランサム
-
7
標的型攻撃メールを見破るには? サンプル文面を例に傾向を解説
-
8
商用利用の安全性を確保し大量のコンテンツを高速で生成する、AI活用の秘訣
-
9
マンガで解説、1日で生成AI環境を構築できるワークショップの中身とは?
-
10
Dark AIが台頭する時代の新発想、「より高度なAIで対抗する」具体的方法とは?
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー