「無線LAN」をサイバー攻撃から守る【前編】
無線LANにつながる全デバイスを危険にさらす「スプーフィング」攻撃とは
企業の無線LANを狙った攻撃は、古くから存在する手法を基にしている。代表的な無線LANへの攻撃手法のうち、アクセス制御を標的としたものを紹介する。
サイバーセキュリティの研究者は、新種のネットワーク攻撃手法を日々発見している。だが実際のところ、攻撃者は依然として使い古された手法を用いて攻撃している。そのため定番の攻撃手法を理解する意義は大きい。あまり一般的ではない高度な標的型攻撃に対処するより先に、まずは平凡であっても有害な攻撃を防ぐことが不可欠だ。
無線LANを標的とした定番の攻撃は、その多くが発見時から大して変わっていない。とはいえ、その攻撃力は健在だ。例えば「ウォーシッピング」という攻撃は、攻撃者が無線接続可能なデバイスを標的の企業に送り付け、郵便物を保管する部屋から社内無線LANに接続する。この攻撃は仕掛けこそ新しいが、無線接続可能なデバイスを積んだ自動車で走りながら、ネットワークへの不正侵入を試みる「ウォードライビング」という、以前からあるテクニックによく似ている。
攻撃の対象となり得る領域が広く、被害が広範に及ぶため、無線LANのセキュリティ対策は簡単ではない。ネットワークへの不正アクセスは端緒でしかなく、攻撃者がそこからデータを盗み取り、正規ユーザーを偽装し、DoS(サービス妨害)攻撃を仕掛ける可能性がある。ネットワークへの攻撃では、攻撃者はパケットを操作することが一般的だが、無線LANへの攻撃の場合はデータ転送単位であるフレームを操作する。フレームはパケットのデータ本体に当たるペイロードとヘッダ、受信データの検証に利用するトレーラーで構成される。
無線LANセキュリティの第一歩は、攻撃手法を理解するところから始まる。以下、無線LANを狙ったさまざまな攻撃手法を紹介しよう。
併せて読みたいお薦め記事
無線LANが抱えるリスク
無線LANのセキュリティプロトコル「WPA3」とは
常につきまとう「スプーフィング」の脅威
不正な無線LANアクセスポイント(AP)は、正規のAPを装い、ユーザーが誤ってそのAPに接続するように仕向けるため、無線LANセキュリティにとって諸悪の根源となる。不正なAPは攻撃者がネットワークに侵入する入り口になるだけではない。正規のユーザーに不正なAPを使わせることにより、そのユーザーが送受信するあらゆるデータが攻撃者の手に渡ってしまう。そのため、不正なAPはアクセス制御だけでなく、機密性をも脅かす。
攻撃者は、デバイス同士が無線LANの電波を使って直接接続する「アドホック接続」を悪用し、ネットワークに侵入する足掛かりを得る。それにより、不正な無線LANルーターを仕込まなくても、正規ユーザーのデバイスを悪用するだけで標的のネットワークに侵入できる。無線LANに接続するスマートフォンやノートPCのセキュリティ対策が甘いと、このタイプの攻撃に悪用されやすい。
ネットワークに接続できる機器には、攻撃者がデバイスになりすます「スプーフィング」攻撃を受ける危険性が常に付きまとう。攻撃者はトラフィックを傍受して正規のデバイスからネットワークアダプターのMACアドレスを検出し、そのデバイスを偽装して新しい接続の開始を試みる。
先述のウォードライビング攻撃は、標的とする無線LANが配備されている場所の近所を自動車で走り回りながら、接続できるデバイスを探す手法だ。この攻撃は「ウォーダイヤリング」という、標的の地域の電話番号に手当たり次第に電話をかけ、モデムに接続している電話番号を探す手法が基になっている。
中編では、無線LANの機密性と整合性を脅かす攻撃について解説する。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
「無線LAN」をサイバー攻撃から守る
時代とともに無線LANを狙った攻撃手法が変化している。だが根本的な部分は、それほど大きく変わっていない。適切な対策を講じるため、依然として攻撃者が利用している攻撃手法を理解しておこう。
この記事の著者
関連記事
新着ホワイトペーパー PR
-
事例
[横河レンタ・リース株式会社] AIの全社活用が加速 トヨタ・コニック・プロに学ぶ「AI PC調達」の秘訣 -
製品資料
[横河レンタ・リース株式会社] 人材不足時代の「PC調達」ガイド:知っておきたいリースとレンタルの違い -
製品資料
[横河レンタ・リース株式会社] PC調達に「レンタル」を選ぶことのメリットは? リース・購入との違いも解説 -
技術文書・技術解説
[セコムトラストシステムズ株式会社] SCS評価制度時代の「SASE選定」ガイド -
比較資料
[セコムトラストシステムズ株式会社] なぜ「SASE選定は難しい」と言われるのか? 多くの人が陥る失敗パターンを解説
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
半数がブルーカラー転向を視野に? ベテランエンジニアを追い込む“54歳の壁”
-
2
「Wi-Fi 7」経由でWindowsが乗っ取られる? 最高権限奪取の恐怖
-
3
パッチなしで「今すぐサーバを落とせ」 Kiteworks異例警告の波紋
-
4
LINEヤフーはなぜ「社内の管理者」すら信用しないインフラを作ったのか
-
5
「企業におけるAI導入検討度とIT投資優先度」に関するアンケート
-
6
情報漏えいはなぜ繰り返されるのか 今すぐ見直すべき「境界」
-
7
OpenAIやAnthropicでさえ制御不能 2026年夏「3大サイバー攻撃」の衝撃
-
8
「契約業務のAI活用」に関するアンケート
-
9
【基本情報技術者試験】メモリ不足でもアプリが動くのはなぜ? OSを支える「仮想記憶」
-
10
Copilot導入で陥る“目的化”の落とし穴 定着の鍵は「作り込まない」こと
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
家庭用Wi-Fiルーターの業務利用は危険? 避けるべき理由と具体的な対策
-
2
Microsoft 365のメールセキュリティ、3つの“死角”と追加で検討すべき対策とは
-
3
システムの保守がモダン化を阻む? 「変えない判断」から脱却する方法とは
-
4
AI駆動攻撃にどう対抗する? 超速の攻撃からエンドポイントを保護する方法
-
5
不審メールの経路や見せ方に変化? 2026年夏の3事例から見えた動向と対処方法
-
6
プログラミング不要で誰でも実現できる、ネットワーク運用管理の自動化とは
-
7
Linux初心者でも知らないとまずい「RHEL」「SLES」の違いとは?
-
8
東大教授と考える、AI時代の「データ主権」「信頼性」「ガバナンス」の在り方
-
9
「IT史に名を残すシステム障害」8選
-
10
最速72分でデータが流出? 最新の脅威トレンドや侵入手法から分かった防衛策
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー