新規格「IEEE 802.11ac/ax」への移行が重要に
「IEEE 802.11a/b/g」時代の無線LANを使い続けるべきではない理由
旧型無線LAN機器のアップグレードを先延ばしにすることは危険だと、専門家は警告する。それはなぜなのか。
「ネットワーク担当者は、少し時間を割いて辺りを見回してほしい」。そう語るのは、米インディアナ州を拠点とする非営利の医療情報交換組織Michiana Health Information Network(MHIN)で、ITセキュリティ担当ディレクターを務めるエド・ヘイズ氏だ。現状を詳しく調査すると、時代遅れの無線LANアクセスポイント(AP)が見つかる可能性がある。
ヘイズ氏にすれば、時代遅れの無線LAN機器の使用を続けることは、攻撃者を招き入れているのも同然だ。同氏のチームがコンサルティングをしている病院などの医療機関では、こうしたケースが非常に多く見られるという。「APの使用年数が5年を軽く越えている施設が少なくない。これでは利用期間が長過ぎる。無線LANに関する最大の懸念は、この点にあると考えている」(ヘイズ氏)
無線・モバイル関連のコンサルティング企業Farpoint Groupで主任を務めるアナリスト、クレイグ・マティアス氏によると、特に医療機関では無線LAN機器のアップグレードサイクルが長くなる傾向があるという。「医療機関が購入する医療機器は非常に高価で、米食品医薬品局(FDA)の承認を必要とする。そのことがアップグレードを難しくしている」とマティアス氏は語る。
例えば稼働中の点滴ポンプに新しい無線受信機を取り付けることは、通常であれば極めて難しい。無線LAN機器のアップグレードに伴い、新しい医療機器やネットワーク機器への投資が必要になることも珍しくない。
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無線LANの導入事例
古い無線LAN機器を使い続けるべきではない理由
予算や運用上の制約があったとしても、企業は「IEEE 802.11n」よりも古い無線LAN規格を使用すべきではないとマティアス氏は主張する。
「『IEEE 802.11a/b/g』といった従来の無線LAN規格は、最新規格と比べてセキュリティや信頼性の面で見劣りする」とマティアス氏は話す。例えば医療機関は予算や運用上の制約で、古い技術を使用せざるを得ないところが少なからずある。だとしても、そのままではセキュリティのリスクが大きくなり、個人の医療データが攻撃者の手に渡りやすくなる可能性がある。
ヘイズ氏はこうしたリスクがあることを認め、比較的新しい無線LAN規格ではあるものの、MHIN内にIEEE 802.11n準拠APが残っていることを大きな懸念として捉えている。同組織は以前から、無線LAN機器を5年ごとにアップグレードしている。現在はアップグレード間隔を隔年にする取り組みを推し進めているという。
今のところ、ヘイズ氏のチームは購入を控え、新しい無線LAN規格「IEEE 802.11ax」(注)に基づく製品のリリースを待っている。「無線LAN機器について言えば、いち早く新製品を導入することには常に肯定的だ」とヘイズ氏は話す。データ伝送速度の向上はもちろん良いことだが、より重要なのはセキュリティの向上だと付け加える。「最新の最も強力なセキュリティプロトコルを導入すれば、旧式のプロトコルと比べて、少なくともリスクは軽減される」(ヘイズ氏)
※注:関連用語の「Wi-Fi 6」は、無線LAN標準化団体のWi-Fi Allianceが定めた、IEEE 802.11ax準拠製品の認証プログラムの名称。
MHINのITチームは、ネットワーク製品の主な調達先であるCisco Systemsが、IEEE 802.11ax準拠の新しいAPをリリースするタイミングに合わせて、2019年第3四半期までにはIEEE 802.11ax準拠機器へのアップグレードを始める計画を立てている。既に現在の環境の調査を完了し、導入前に電波があまり届かない部分やトラフィックが混雑する部分を特定した。
無線LAN機器のアップグレードを先延ばしにしている全ての企業に、ヘイズ氏はこう警告する。「ベンダーがサポート終了を告知している無線LAN機器は、アップグレードが必要だ。古い技術によってネットワークが攻撃にさらされやすくなる。予算を立てる必要があることに疑問の余地はない」
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