RPAの進化について解説
「RPA」と「API」、仕事を本当に効率化するのはどっち?
「RPA」と「API」は別物だが、業務自動化の実現に役立つ手段という点で共通する。互いに密接に関連し合いながら進化するRPAとAPI。それぞれの動向を追う。
「ロボティックプロセスオートメーション」(RPA)と「アプリケーションプログラミングインタフェース」(API)は、どちらも業務を自動化するために利用できる手段で、それぞれに長所と短所がある。どちらか一方を選ぶのではなく、自動化のために両方を利用できるシステムを導入する方が、企業の自動化戦略はシンプルになる。
大手菓子会社Marsで業務自動化の責任者を務めるジョン・コットンギム氏は「システムの肥大化を抑えるために、RPAソフトウェア、ワークフロー管理システム、業務上のルールを包括した戦略で自動化を進めるのがいい」と提案する。
APIとの組み合わせで高まるRPAソフトウェアの利便性
RPAは、企業内にある新旧のビジネスアプリケーションが組み合わさった、複雑な業務フローを自動化できることが強みだ。一方でAPIは、システムとシステムの間でリクエストをやり取りするツールとして優れている。ただし企業独自の複雑なビジネスプロセスを効果的に構築することはできない。
「APIの存在はRPAの有用性を否定するものではない」とコットンギム氏は説明する。APIを組み合わせることで、RPAはプログラミングを必要とせずにビジネス決定とワークフローを統合するシステムとして価値を発揮する。少ない投資で素早く効果を実現し、変わり続けるIT環境とビジネスプロセスの間を埋める有効なシステムの構築も実現する。
ワークフロー全体を自動化するRPA
「RPAは単に2つのシステムをつなぐためのものではなく、ワークフロー全体を自動化するものへと進化している」。金融機関向けメッセージサービスを提供するSymphony Communication Servicesでクライアントソリューション担当を務めるゴウタム・ナデラ氏はそう話す。
従来の企業は、RPAを使用してシステムや業務の工程同士を結び付けることに重点を置いていた。現在RPAは人間とbot、アプリケーションを総合的に結び付けて、ワークフローを改善するツールとして捉えられることが多いという。
Symphonyの顧客である金融機関がRPAについて考える場合、まずワークフローとその中でユーザーが実行する全ての工程を洗い出す。次に繰り返しの必要な工程がどれだけあるかを考える。そのうち1、2個の工程をAPIで実行する。この場合、APIはRPA全体の一要素にすぎない。
RPAソフトウェアによるbot開発はより容易に
API管理ツールベンダーもRPAベンダーも、それぞれ互いの領域に進出して、選ばれる自動化ソフトウェアを提供することを目指そうとしている。「最高情報責任者(CIO)は、APIとRPAの両方が不可欠な役割を果たす総合的なシステムで、業務を自動化すべきだ」と、RPAソフトウェアを提供するAutomation Anywhereのエンタープライズ担当バイスプレジデント、スティーブ・シャー氏は語る。
RPAの人気が高まっている理由の一つとして、APIを利用して新世代の人工知能(AI)技術と組み合わせられるという利点がある。「AIシステムとの連携が容易になることによって、RPAは構造化データと非構造化データの両方を扱う複雑な作業も自動化できる。これまで人手が必要だった面倒な作業を自動化するbotが、誰でも構築できようになる」(シャー氏)
シャー氏によると、ドラッグ&ドロップ式のユーザーインタフェース(UI)でbotを開発できるRPAソフトウェアは、大きな変革をもたらす可能性があるという。ビジネスアプリケーション開発のユーザーエクスペリエンス(UX)が簡単になれば、ビジネスプロセスを理解している非IT部門の担当者が、自分で容易にbotを作成して効率を高めることができる。
APIによるシステム間連携の強みとは
API管理ツールベンダーは、自社の製品が企業にとって最適な自動化ソフトウェアになるように開発を進めている。API管理ツールベンダーCloud Elementsの最高製品責任者、ロス・ギャレット氏は、RPAはノーコードやローコードなどの流行と同じく、システムインテグレーション業界の提唱する一過性のバズワード(はやり言葉)にすぎないという。
ギャレット氏は、AI技術の進歩によって多くのタスクが簡単に自動化可能になったことを認めながらも、適切なガバナンスとセキュリティのためにはAPI管理がもたらす厳密性が必須だと考えている。「結局はAPIベースの連携が欠かせなくなる。そこが現在の企業のシステム連携をサポートする土台となり、RPAのような新しい構想を可能にする」(同氏)
RPAベンダーもAPI管理ベンダーも、大手クラウドベンダーがAPIとRPAの分野で覇権を握る前にCIO(最高情報責任者)の支持を獲得しておく必要がある。クラウドソリューションコンサルティング会社Astor SoftwareのCEO、セバスチャン・ドルバー氏によると、クラウドベンダーのMicrosoftやAmazon Web Servicesが、業務プロセスやワークフローの自動化サービス「Microsoft Azure Logic Apps」「Amazon Simple Workflow Service」などで、RPA専門ベンダーの領域に迫りつつあるという。こうした代替サービスは「従来型RPAソフトウェアとAPI管理ツールの機能を両方兼ね備えている」とドルバー氏は語る。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
取手市がVDIと決別した理由 更改費用「4倍超」を約1.7倍に圧縮
-
2
「Excel至上主義」の終わらせ方 丸2日の手作業地獄から情シスと現場を救うには
-
3
「Microsoft 365のセキュリティ運用」に関するアンケート
-
4
急増する「AIはこう言ってる」マン 判断を狂わせる「AI忖度」を防ぐには?
-
5
221人調査で分かった「情シス最大のストレス」は?
-
6
「Salesforceのテスト自動化ツール」に関するアンケート
-
7
IT製品の導入に関するアンケート「サーバ&ストレージ」編
-
8
「データストレージの活用方法」に関するアンケート
-
9
「AI時代の統合基盤・エンタープライズAI管理」に関するアンケート
-
10
自宅のWi-Fiが「遅い」「途切れる」本当の原因は? Dellが推奨する鉄則
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
年収2000万「クラウドセキュリティのプロ」になれる資格とは
-
2
セキュリティソフトをすり抜ける標的型攻撃メール、不審メールの見破り方とは?
-
3
Windows Updateの通信集中で回線が逼迫、ネットワーク刷新事例に学ぶ解決策
-
4
財務を戦略的組織へ進化させるAI活用術、4つの主要な障壁と解消方法
-
5
「NAS」「SAN」「DAS」は何が違う? いまさら聞けないストレージの基礎
-
6
“あのファイル転送”で暗躍するノーウェアランサム
-
7
標的型攻撃メールを見破るには? サンプル文面を例に傾向を解説
-
8
商用利用の安全性を確保し大量のコンテンツを高速で生成する、AI活用の秘訣
-
9
マンガで解説、1日で生成AI環境を構築できるワークショップの中身とは?
-
10
Dark AIが台頭する時代の新発想、「より高度なAIで対抗する」具体的方法とは?
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー