人的要因が招くクラウドのリスク【前編】
クラウドセキュリティの“最大の敵”が「人」である理由
さまざまな場面でクラウドを導入する時代になっても、従来のオンプレミス環境と変わらないセキュリティリスクが存在する。そのようなリスクはなぜ生まれ、企業にどう影響を与えるのか。
企業はオンプレミスからクラウドへの移行を推進し続けている。クラウドは、最新のコンピューティングをよりシンプルにし、費用対効果を向上させ得る技術として進化してきた。
セキュリティリスクの軽減にもクラウドは有効だ。さまざまな業界団体やセキュリティベンダーなどが、クラウドのレジリエンス(耐障害性)を高めるために多大な貢献をしている。標準規格やガイドラインなどのリソースは必要十分にあり、クラウドとは何か、何を提供できるのかは周知の事実となった。ただし、うまくいっていないことがある。
クラウドのセキュリティリスクを軽減できない理由
筆者は多くのクラウドベンダーやユーザー企業と仕事をする中で、クラウドセキュリティの課題が至るところにあると感じてきた。従来のオンプレミス環境と変わらず脆弱(ぜいじゃく)性があり、ビジネスリスクが存在し、セキュリティ侵害が発生している。それはなぜなのか。攻撃者にとってクラウドが「新しい標的」だからなのか。クラウドにビジネス資産が存在しているからなのか。クラウドベンダーがユーザー企業の資産を保護するために、適切なセキュリティ投資をしていないからなのか。
クラウドベンダーは、新しいサービスの追加と、サービスを安定して長く稼働させることに重きを置いている。これは何十年も続く伝統的なビジネスモデル、すなわち「セキュリティより市場投入を優先する」ビジネスモデルだ。オンプレミスではなくクラウドに存在する点が従来との違いであり、課題となる。
今日のクラウドセキュリティが抱える課題の要因の中に、際立つものが一つある。それは標準規格の欠如ではない。ポリシーや手続きの欠如でもない。技術や管理の欠如でもない。それらよりもはるかに複雑な、人という存在だ。
システムや、それが保持する情報をクラウドに移すとどうなるだろうか。予想通りの見落とし、予想外のインシデント、予測可能な侵害などに直面することになる。それはクラウドに移行しても、セキュリティの人的要因が残るためだ。
誰がその恩恵を享受しているかにかかわらず、クラウドにはリスクが存在する。クラウドベースのWebアプリケーションやWebゲートウェイ、PaaS(Platform as a Service)、IaaS(Infrastructure as a Service)など、「サービスが何であるか」は関係ない。
後編は、人的要因にまつわるクラウドのセキュリティリスクと、それを解消するためのポイントを紹介する。
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人的要因が招くクラウドのリスク
クラウドセキュリティで最も重要なリスクは社内に潜んでいる。サイバーセキュリティにおける人的要因を考慮することは、クラウド内の重要な資産を保護する方法を検討するための第一歩だ。
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