ユーザー名とパスワードを分散化
クラックするのは14万倍難しい、新パスワード暗号化方式
パスワードの流出事故は後を絶たない。だがTide Foundationが発表した暗号化メカニズムを使えば、流出したパスワードが悪用されるのを防げるかもしれない。少なくとも従来のハッシュよりは強力だ。
非営利団体Tide Foundationが暗号化のセキュリティメカニズムを発表した。同団体によると、パスワードクラックを14万倍難しくするという。
このメカニズムは「splintering」(分化)と呼ばれている。これは、先例のないレベルの保護実現を目的に、分散技術を用いてユーザー名とパスワードを小さな要素に分解するという、他に例のない暗号化方式だ。
この方式によってsplinteringしたパスワードを完全に復元するのは「途方もなく」困難になるとしている。リバースエンジニアリングやブルートフォース攻撃など、数多くの手口を駆使しても困難なことは言うまでもない。
このメカニズムを正式にリリースする前に、splinteringしたパスワードをクラッキングできるかどうかの戦いをハッカーに挑んだ。成功すれば1ビットコイン(約8500ポンド)の報奨金と、勝ち誇る権利を与えるとした。
3カ月間に650万回以上クラッキングが試みられたが、誰も成功していない。
Tide Foundationはエンジニアチームと起業家で構成され、包括的な技術インフラを開発している。その設立目的は、パスワードのクラッキングを数百万倍難しくすることだけではない。個人データの管理を一般消費者の手に取り戻し、さまざまな保護機会を作り出すことだ。
このアプローチは、ビットコインの秘密鍵に近いセキュリティレベルでユーザー名とパスワードによる認証を可能にする。しかも、使い慣れたユーザー名とパスワードの操作性が変わることはない。
企業から見れば、任意のWebサイトのユーザーインタフェースにこの認証方式を統合できるというのがTide Foundationの見解だ。
Tide Foundationのエンジニアは、この手法を集中的な研究プロジェクトで検証している。この検証には、以前の攻撃で流出したLinkedInの6000万件の資格情報が利用された。エンジニアチームは、この検証でsplinteringメカニズムを導入すると、辞書攻撃による侵害の確率が100%から0.00072%に低下することを確認した。
「LinkedInから流出したユーザー名とパスワードのデータベースはハッシュ化され、ソルト化(訳注)されていたが、闇市場に出回ったときには6000万件のパスワード全てがクラックされていた」と話すのは、暗号化の専門家で、同社のアドバイザーを務めるウィリー・スシロ氏だ。
訳注:パスワードなどをハッシュ化する際に加えるランダムなデータ。
「これに対してTide Foundationのアルゴリズムは非常に強力で、脆弱(ぜいじゃく)性はかなり少ない。当チームは、このアルゴリズムが個人データのセキュリティを桁違いに強化することを期待している」(スシロ氏)
Tide Foundationの共同創立者であるドミニク・バリャドリッド氏によると、Tide Protocolは「持続可能な個人データのエコシステム」に力を与えるグローバルスタンダードになることを目的としているという。
「Tide Protocolは企業がプライバシーのコンプライアンスを維持し、データ侵害によってもたらされるリスクを軽減し、顧客からの信頼を高めて優れたビジネスを行うのを助けるだろう」(バリャドリッド氏)
「データを収集する企業は、アクセスが許可され、関連性が高く、モチベーションの高い対象者にアクセスすることが可能になる。最も重要なのは、一般消費者が自身のデータと、そのデータにアクセスするユーザーやツールとそのデータにアクセスする理由を管理し、データの取引に合意した場合はそのデータを収益化できる形で共有できるようにすることだ」(バリャドリッド氏)
Tide Foundationの諮問委員会と運営委員会は、グローバルメディア企業、金融業界、政界のリーダー、暗号学の世界的に有名な学者、経験豊富な起業家による設立チームで構成され、個人データの力と所有権に大きな変化をもたらすことを目的としている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Computer Weekly日本語版
この記事の著者
関連記事
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
急増する「AIはこう言ってる」マン 判断を狂わせる「AI忖度」を防ぐには?
-
2
取手市がVDIと決別した理由 更改費用「4倍超」を約1.7倍に圧縮
-
3
「データストレージの活用方法」に関するアンケート
-
4
自宅のWi-Fiが「遅い」「途切れる」本当の原因は? Dellが推奨する鉄則
-
5
本当に安いPCで十分か? “すぐ重くなる”を防ぐノートPC選びの絶対条件
-
6
Claudeの不可視透かしに批判殺到 著作権消失や誤判定に潜む企業リスク
-
7
100億円の「Linux更新」を回避 みずほ銀行が選んだ“おきて破り”のRHEL延命策
-
8
221人調査で分かった「情シス最大のストレス」は?
-
9
LLMの「過学習」、正しく説明している文章はどれ?
-
10
レガシー基幹システムをSAPに統合 山善が突き止めた「標準化と個別最適」の境界線
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
年収2000万「クラウドセキュリティのプロ」になれる資格とは
-
2
セキュリティソフトをすり抜ける標的型攻撃メール、不審メールの見破り方とは?
-
3
Windows Updateの通信集中で回線が逼迫、ネットワーク刷新事例に学ぶ解決策
-
4
財務を戦略的組織へ進化させるAI活用術、4つの主要な障壁と解消方法
-
5
「NAS」「SAN」「DAS」は何が違う? いまさら聞けないストレージの基礎
-
6
“あのファイル転送”で暗躍するノーウェアランサム
-
7
標的型攻撃メールを見破るには? サンプル文面を例に傾向を解説
-
8
商用利用の安全性を確保し大量のコンテンツを高速で生成する、AI活用の秘訣
-
9
マンガで解説、1日で生成AI環境を構築できるワークショップの中身とは?
-
10
Dark AIが台頭する時代の新発想、「より高度なAIで対抗する」具体的方法とは?
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー