「5G」の医療利用は現実的か【前編】
病院が今知っておくべき「5G」の基礎知識
「5G」が医療機関で広く使われるようになるには時間がかかる。とはいえ今から導入を計画し始めても、決して早過ぎるわけではない。医療機関が今知っておくべき5Gの仕組みとメリットを改めて整理する。
手術台に患者が横たわっている。その患者の上ではロボットアームが動いており、リアルタイムの映像が約500キロ離れた場所にいる執刀医に送信される――。「5G」(第5世代移動体通信システム)の高速かつ低遅延という特性が、このような遠隔ロボット手術の実現に寄与する可能性がある。コンサルティング企業Technology Business Researchで電気通信アナリストを務めるクリス・アントリッツ氏は「医療分野では5Gの多種多様な用途がある」と話す。
Verizon WirelessやAT&Tといった通信事業者は、5Gのメリットをさかんに宣伝している。具体的には、接続デバイス数の増加、リアルタイム接続の高速化、バッファの削減などを掲げている。
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「5G」の課題
「5G」は「4G」と何が違うのか
「5G」への期待
5Gはまだ登場したばかりだ。5Gの勢いが増し、商業利用が広がるまでには少なくとも3年はかかり、医療分野に根付くまでにはさらに長い時間が必要になると考えられる。医療機関の最高情報責任者(CIO)は投資の可否をすぐに決める必要はない。
ただしアントリッツ氏は「医療機関が5G活用について、計画や通信事業者との話し合いを今から始めたとしても、決して早過ぎることはない」と言う。
医療機関が知っておくべき「5G」の基礎
5Gは、現行の「4G」(第4世代移動体通信システム)の高性能版だ。4Gの最高速度は約1Gbpsであるのに対し、5Gは理論上、20Gbpsを上限速度としてデータを転送する。データ転送の遅れは、4Gでは10ミリ秒、5Gでは1ミリ秒まで短縮できる見込みだ。1秒当たりに転送できるデータ量も増加する。
より多くのデータを高速に転送するために、5Gは短距離にしか届かない高周波の電波と、「スモールセル」という通信可能な範囲の狭い送受信基地局を使う。スモールセルは小さな冷蔵庫程度の大きさで、電柱や屋根のような高い建造物に設置する。大型の基地局である「セルタワー」の方が通信範囲は広いが、スモールセルの方が人口密度の高い地域で通信するには適している。Verizon WirelessのWebサイトによると、同社は都市や町にスモールセルの設置スペースを構築することにこの数年を費やし、現行の4G通信を強化しながら5Gの土台を築いているという。
「より多くのデバイスやユーザーを一度に接続可能な5Gの機能は、医療分野に応用できる」。こう話すのは、調査会社IDCのネットワーク関連部門でリサーチディレクターを務めるラジェシ・ガイ氏だ。これらの機能には「ネットワークスライシング」が必要になるとガイ氏は言う。ネットワークスライシングとは、通信事業者がネットワークを仮想的に分割し、分割した仮想ネットワークリソースをユーザー企業に提供する技術だ。こうすることで、5Gの優れたデータ通信能力を、安定して確保できる。
医療機関への5G導入には時間がかかるだろうとガイ氏は言う。5Gとネットワークスライシングの提供が始まったら、医療機関では主要な通信手法には4G、特定の用途には5Gといったように、ネットワークを使い分けることが可能になると同氏は説明する。
後編は、5Gが最も大きく影響しそうな医療分野と、遠隔モニタリングや診療への具体的な活用方法について説明する。
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「5G」の医療利用は現実的か
「5G」には医療機関で役に立ちそうな特性が幾つかある。だからといって医療機関がすぐに5Gを導入し、利用を始めることは現実的なのだろうか。その答えを探るべく、5Gの基本的な仕組みと、5Gが最も大きく影響しそうな医療分野を整理する。
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