5G通信の初期展開を予想する
「5G」と「4G」を比較 速さだけではない3つの違いとは
通信事業者は、5Gの初期展開に慎重な動きを見せる可能性がある。だが5Gには4G以前と決定的に違う要素が3つあるため、優れた投資対象になると専門家は予測する。
5G(第5世代移動体通信システム)が幅広く利用できる日が近づいている。それに伴い、5Gのある流れがこれまでの予測とは変化し、LTE(Long Term Evolution)を含む4G(第4世代移動体通信システム)よりも優れた投資対象になりそうな様子を見せている。
調査会社Rethink Technology Researchが移動体通信事業者(MNO)78社を対象に実施した調査によると、5Gには4Gとの差異化要因として次の3つがあるという。
- 多様性
- 高密度
- 仮想化
この3つの特徴によって、これから2025年まで4Gの利用を続けるよりも5Gに投資する方が有利だ、とRethink Technology Researchは予測する。
5Gにはエッジ処理能力に優れ、遅延が少なく、圏外域でのリカバリー能力が高いという特徴がある。ただし商用5Gサービスの稼働が近づくにつれ、通信事業者は5Gの導入に慎重になる可能性があるというのが同社の見解だ。
同社は他にも幾つか予測をしている。例えば次のようなことだ。
- 5G導入の大半が消費者向けブロードバンドになるだろう
- 4G LTEと比べて設備投資は少なくなるだろう
- 他のテクノロジーへの支出が抑えられるため、5G導入によるコストは相殺されるだろう
5Gを4Gと差別化する要素
多様性
5Gを4Gと差別化する特徴の一つは多様性だ。5G導入の目的は、モノのインターネット(IoT)のように新しい収益源に合わせてネットワークを最適化することにある。
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ネットワーク管理の課題
4Gの初期導入の目的も同様だった。4Gでは、それまで利用できなかったVoIP(Voice over IP)機能が使えるようになった。アプリケーションやインターネットへのアクセスも強化された。
現状の5Gトレンドも同様の目標を示している。5Gは新しい収益源を拡大し、ネットワーク機能への全体的なユーザーアクセスを強化することを目指している。
高密度
5Gの2つ目の差異化要素は高密度だ。5Gでは、スモールセルの数を増やしてネットワーク容量を増量する。目標は、今後5年間で一層密度の高いネットワークを導入することだ。例えばネットワークの基地局の密度が10倍になる一方、デバイスや接続の密度は100倍になると考えられる。
4Gの導入当初も、基地局の高密度化と3Gを上回るデータ伝送速度の向上が約束された。5Gでもさらなる速度と密度の向上が確保される。
仮想化
仮想化も、5Gを4Gよりも適切な投資対象にする要素になる可能性がある。通信事業者は、仮想化技術を利用してこれまで以上にソフトウェア駆動型のネットワークを展開できるようになる。その結果、ネットワークは以前よりも安価で柔軟性が高くなり、多くのデバイスを利用できるようになる。ネットワークスライシング(注1)への道が開かれる可能性もある。
※注1:通信事業者が単一の5Gネットワークを複数の分離された「仮想スライス」に分割するという考え方。
4Gでも、改善されたソフトウェアシステムや新しいサービスを提供して、より多くのデバイスを利用できるようにしていた。5Gにおける仮想化は、こうしたサポートをさらに次のレベルに進めることを目指している。
5Gの2018~2025年動向を予測
Rethink Technology Researchの調査によると、商用サービスの稼働予定日が近づくにつれ、通信事業者の5G展開計画はますます慎重になるという。この慎重さが、高密度化や仮想化の遅れなど、消費者が5Gのメリットを実感する時期に影響を及ぼす恐れがある。
本来、5Gは通信可能範囲が狭い基地局(スモールセル)の導入になると予想されていたが、今のところ、商用導入の最初の1年は大型の基地局(マクロセル)の導入になる可能性がある。技術の成熟が想定よりも遅れているため、仮想化も先延ばしになる可能性が高い。Rethink Technology Researchの調査によると、MNOは想定よりも早く5Gを導入すべきだと考えているという。そのため仮想化技術を高度にする時間がさらに足りなくなる。
全体的には、市場投入が遅れることで、MNOが購入して展開する設備に影響が出る。基地局の大型化で、より多くのユースケースに対処するといった他のメリットを得られるようになるのも遅くなる。5Gは4Gと比べて他のテクノロジーへの支出が少なくなるため、全体的に設備投資が抑えられるのではないかと予測されている。その結果、5Gの経費が相殺される可能性がある。
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