クラウド移行の是非を問う【前編】
「クラウド信者は優遇、オンプレミス支持者は孤独」な現状は本当に健全か?
クラウドに移行すべきかどうかを判断するのは簡単ではない。コスト試算で経営層はクラウドに関心を示す可能性があるが、それがクラウド化で検討すべきポイントの全てではない。何を検討すればいいのだろうか。
企業にとってのクラウドはもはや目新しいものではなく、不可欠な存在になった。オンプレミスの支持者は孤独になりつつある。
クラウドにまつわる話題は大きく取り上げられる。クラウドを重視するのはユーザー企業ばかりではない。Microsoftは、企業のIT部門に対してアプリケーションが稼働するインフラとして、クラウドサービス群「Microsoft Azure」(以下、Azure)を利用するよう強く推奨している。このような状況で、オンプレミスとクラウドを比較する議論をした場合、オンプレミスを支持するIT管理者は孤独を感じるだろう。
クラウドがあらゆる用途に適しているとは言えない。クラウドで運用できないシステムやアプリケーションを見つけることは難しくなっているが、だからといって何から何までクラウドに移行する必要があるわけではない。
併せて読みたいお薦め記事
クラウド移行で注意すべき高額請求
- 「クラウドの高額請求」を避けるために全社に徹底すべき6大項目
- クラウド料金が安くならない“リソース使い過ぎ問題”を解消する方法
- クラウドのコスト管理に必要な新しいアプローチ 予想外の高額請求が多発している?
クラウド移行で注意すべき点
変化を好む人はあまりいない。そしてシステムの運用環境がオンプレミスからクラウドに移行する変化においては、さまざまな作業や調整が必要になる。
クラウド移行に前向きになれないIT管理者がいることは無理もない。とはいえ、自社が付き合うベンダーがクラウド事業に注力していれば、いわばその“不可抗力”でクラウド移行を進めなければならない場合もある。
オンプレミス分野から手を引くベンダーの動きは珍しいものではない。IT管理者はこの現実と向き合い、これまでとは異なる選択の仕方をすることが求められる。
コストが下がればクラウドに移行すべきか
ユーザー企業にとっての問題は、クラウドに移行すべきかどうかだ。この際、コストが問題になることが少なくない。例えば、数百TBの大規模なファイルサーバがあるとして、それをクラウドに移行することは可能だ。Azureのようなクラウドサービス群は、このファイルサーバを移行できるサービスや機能を備えているため、決してこれは難しい選択ではない。だが単純にクラウド化を決断してはいけない。クラウド化を検討する際、考慮すべき諸事情がある。
クラウドのコストは目が飛び出るほど高くなる可能性がある。そのクラウドのコストの高さという課題を乗り越えられるとしても、他にも検討すべき点はある。
移行対象のデータが頻繁に利用されるものであれば、ファイルサーバをクラウドに移行することの意味は十分にある。だがファイルサーバのデータが古く、保存する価値の低いものだとすれば、高額なコストを支払ってオンプレミスからクラウドに移行する価値が本当にあるのかどうかは疑わしい。
「オンプレミスかクラウドか」を検討する際には、まずはコストの面でどのようなメリットとデメリットがあるのかを慎重に検討しなければならない。オンプレミスからクラウドに移行することは、設備投資ではなくランニングコストを毎月計上するコスト構造に変わることを意味する。本当にこの変化に価値があるのかどうかを検討する必要がある。これを判断するためには、人的リソースも含めてコストを試算する必要がある。
経営陣はクラウドのコストに対して片寄った見方をしている場合が少なくない。もし「クラウドに移行すれば、あらゆるコストを削減できる」と考えているとすれば、クラウドの利用を増やそうとするだろう。実際、クラウドにコスト削減の効果を感じているIT管理者は少なくない。それでもIT管理者は現実に目を向け、クラウド移行のメリットとデメリットの両方に目を向けなければならない。たとえデメリットについては誰も耳を貸してくれないとしても、IT管理者の立場としては、それが重要だ。
IT管理者にとっては、クラウドは設備投資かランニングコストかという議論以上の意味を持つ。クラウドを重視するのはいいが、実際にはクラウドには移行できずにオンプレミスに残す必要のあるシステムもあるだろう。そのようなオンプレミスの環境をどのように扱うかについては、これから先も残る問題だ。将来的なIT環境の変化への備えとして、こうした問題の解決策を検討する必要がある。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
クラウド移行の是非を問う
この記事の著者
関連記事
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
「Excel至上主義」の終わらせ方 丸2日の手作業地獄から情シスと現場を救うには
-
2
取手市がVDIと決別した理由 更改費用「4倍超」を約1.7倍に圧縮
-
3
「Microsoft 365のセキュリティ運用」に関するアンケート
-
4
急増する「AIはこう言ってる」マン 判断を狂わせる「AI忖度」を防ぐには?
-
5
221人調査で分かった「情シス最大のストレス」は?
-
6
「Salesforceのテスト自動化ツール」に関するアンケート
-
7
「データストレージの活用方法」に関するアンケート
-
8
「AI時代の統合基盤・エンタープライズAI管理」に関するアンケート
-
9
AIで人を減らした企業がもう心変わり 「AIブーメラン現象」の実態
-
10
自宅のWi-Fiが「遅い」「途切れる」本当の原因は? Dellが推奨する鉄則
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
年収2000万「クラウドセキュリティのプロ」になれる資格とは
-
2
セキュリティソフトをすり抜ける標的型攻撃メール、不審メールの見破り方とは?
-
3
Windows Updateの通信集中で回線が逼迫、ネットワーク刷新事例に学ぶ解決策
-
4
財務を戦略的組織へ進化させるAI活用術、4つの主要な障壁と解消方法
-
5
「NAS」「SAN」「DAS」は何が違う? いまさら聞けないストレージの基礎
-
6
“あのファイル転送”で暗躍するノーウェアランサム
-
7
標的型攻撃メールを見破るには? サンプル文面を例に傾向を解説
-
8
商用利用の安全性を確保し大量のコンテンツを高速で生成する、AI活用の秘訣
-
9
マンガで解説、1日で生成AI環境を構築できるワークショップの中身とは?
-
10
Dark AIが台頭する時代の新発想、「より高度なAIで対抗する」具体的方法とは?
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー