クラウド移行の是非を問う【後編】
「クラウド移行」と「現状維持」 オンプレミス支持者が選ぶべきはどっち?
これまでオンプレミスで製品を提供してきたベンダーの間で、クラウド事業にかじを切る動きが目立ち始めている。「クラウドかオンプレミスか」を判断するには、この点も考慮に入れる必要がある。
クラウド分野に注力しているベンダーは少なくない。ベンダーがオンプレミスから離れる動きは、クラウド移行を望まないIT管理者にとっては危険信号になる。ベンダーがクラウドのユーザー企業を重視すれば、その結果としてオンプレミス分野は手薄になり、オンプレミス製品に新たな機能やサービスが追加される頻度が減少する可能性があるからだ。
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クラウド移行で注意すべき点
特に監視ツールには注意する必要がある。監視ツールを提供するベンダーがクラウド重視の姿勢を強めるにつれて、例えばオンプレミスのサーバOS「Windows Server」をサポートする監視ツールが減少し、最適な監視ツールを見つけられなくなる可能性がある。実際、かつて利用できたログ収集ツールが利用できなくなっているケースが発生しているのだ。現状、新たに登場する監視ツールのほぼ全てがSaaS(Software as a Service)形式になっている。そして、この動きは始まりにすぎない。
ベンダーがクラウドにシフトする中、企業が取るべき選択は
監視ツールがオンプレミス版からSaaS版に移行しても、オンプレミスのリソースを監視する機能は保たれる場合もあるため、そうした機能があるかどうかを確認する必要がある。こうした機能を利用すれば、運用するシステムやアプリケーションをオンプレミスに残しておきながら、監視ツールの機能をSaaSとして利用できる。
時間の経過とともに、「クラウドかオンプレミスか」を適切に評価するための材料は整うだろう。使い慣れた監視ツールがオンプレミス版の保守サポートを取りやめ、SaaS版に切り替えるのであれば、選択肢は限られてしまう。その場合は新しい監視ツールを選定し、時間をかけて導入し、その運用方法をIT管理者にトレーニングしなければならない。たとえそれが可能だとしても、その手間をかけてでもオンプレミスを選択したいのかどうかを検討しなければならない。
理想的とは言えないが、選択肢はまだある。何もしないことだ。現在の環境が問題なく機能しているなら、それで問題はない、という考え方もある。しかし何もしないことの問題は、取り残されてしまうことだ。OSは新しくなり、アプリケーションも更新される。だが監視ツールでそれらを監視できなくなる可能性があるため、「何もしないことが適切だ」と言い切るのは難しい。例えばソフトウェアのバージョンを新しいものに更新しなければ、重大なセキュリティリスクが生まれる可能性がある。現状維持は優れた長期的戦略とは言えない。
クラウドへの移行に伴うその他の選択
監視ツールと同じことは、アプリケーションにも当てはまる。Microsoftが提供するグループウェア「Microsoft Exchange Server」は長い歴史を持ち、依然としてオンプレミスにおける導入が可能だ。ただしMicrosoftはSaaS形式のオフィススイート「Office 365」を提供し、ユーザー企業に対して積極的にアピールしている。
クラウドを新たな収益源と見なし、クラウドの道を進み続けるベンダーの動きが強まっていることは、オンプレミスを継続したい企業にとっては厳しい現状だ。オンプレミス製品の市場は、今後も縮小の一途をたどるだろう。とはいえ、希望もある。ベンダーがクラウド重視へと戦略を転換する中で、これまで注目されていなかったベンダーが市場開拓の機会を得ることになる。大手ベンダーが提供しているほど充実した機能を提供していない可能性はあるが、それでも要件を十分に満たせる可能性はある。
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クラウド移行の是非を問う
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