全てオープンソースで提供
「TensorFlow Enterprise」の実力とは? Googleが企業のAI活用を支援
Googleの新しい「TensorFlow Enterprise」(β版)は、「Google Cloud Platform」に最適化された「TensorFlow」ディストリビューションを長期サポートと共に企業に提供する。
Googleは2019年10月、人工知能(AI)技術をビジネスに利用する企業のニーズに応えるため、オープンソースの機械学習(ML)ライブラリ「TensorFlow」をベースにした新サービス「TensorFlow Enterprise」(β版)をリリースした。同社のクラウドサービス群「Google Cloud Platform」(GCP)の一サービスという位置付けだ。
TensorFlow Enterpriseは企業向けのサポートやマネージドサービスを提供し、ソフトウェア開発を加速させるとともに、AIアプリケーションの信頼性を確保する。TensorFlowは、Googleが2015年にオープンソース化したもので、AI業界で広く使われている。
TensorFlow Enterpriseは、GCPに最適化されたTensorFlowディストリビューション「TensorFlow Enterprise Distribution」を長期サポートと共にユーザー企業に提供する。
TensorFlow Enterprise Distributionには、カスタムビルドされたTensorFlowバイナリと関連パッケージが含まれる。TensorFlow Enterprise Distributionの各バージョンは、TensorFlowの特定のバージョンをベースに作成される。このディストリビューションに含まれるパッケージは、全てオープンソースで提供されている。TensorFlow Enterprise Distributionの各バージョンは3年間にわたって、セキュリティパッチと重要度の高いバグ修正を提供する。
AI技術をビジネスの中心に据える顧客向けに、TensorFlow Enterpriseには最上級のサポートを提供する「ホワイトグローブサービス」というサービスも用意されている。このサービスでは、GoogleのGCP、TensorFlowチームのエンジニアが、ユーザー企業のエンジニアを支援する。
「3年間サポートがTensorFlowの企業導入を促進する」と専門家
調査会社Forrester Researchのアナリスト、マイク・グアルティエリ氏は、「データサイエンティストは、TensorFlowの最新バージョンを毎回速攻でダウンロードする。新しい価値ある機能が着実なペースで提供されているからだ」と指摘する。彼らは常に、最新の優れたバージョンを使いたいと考えているからだ。
だが新しいバージョンは「期待通りに機能するとは必ずしも限らない」ともグアルティエリ氏は語る。そのため、最新バージョンに飛び付くデータサイエンティストのやり方は、社内基準と衝突することが多いという。
こうしたことから、GoogleのTensorFlow Enterpriseが提供する3年間のサポートは、「企業におけるTensorFlowの導入を促進するだろう」とグアルティエリ氏は語る。「データサイエンティストやMLエンジニアは、最新の優れたバージョンを実験でき、ビジネス部門の担当者は、きちんと機能するバージョンを使い続けたいと主張できる」(同氏)
TensorFlow Enterprise自体は追加料金なしで利用できる。ただしホワイトグローブサービスの利用には、GCPに含まれる「Deep Learning VM Image」や「Deep Learning Containers」(β版)などの関連サービスの契約と、これらの組み合わせの料金として年間50万円の支払い(またはその確約)が必要になる。Deep Learning VM Imageは、ディープラーニングアプリケーション向けに事前構成された仮想マシン(VM)を提供するサービス。Deep Learning Containersは、ディープラーニング環境向けに事前構成され、最適化されたコンテナを提供するサービスだ。
Googleは最近、AIモデルのトレーニング、テスト、デプロイ(利用可能な状態にすること)をするGCPサービスの拡充を進めてきた。2019年4月に発表した「AI Platform」は、新しい、または名称変更したさまざまなAI開発製品/サービスを組み合わせた、統合型AI開発プラットフォームだ。アナリストはその発表の際、「AI Platformのリリースは、GCPにより多くのユーザー企業を引きつけようとする動きだ」との見方を示した。
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