Unileverが実践
GoogleのAIが指南する最先端デジタルマーケティング 「キスの仕方」動画も
「Google Cloud Vision API」「Google Natural Language API」などの「Google Cloud」サービスを使用することで、Unileverはソーシャルメディアで個人向けにカスタマイズした革新的なマーケティングキャンペーンを展開している。
複数の国で数十億ドル規模の事業を展開する一般消費財メーカーのUnileverは多くの広告宣伝を行っている。
スキンケア製品「Dove」、紅茶「Lipton」、男性用化粧品「Axe」、アイスクリーム「Ben&Jerry's」など400以上のブランドを抱えるUnileverは、消費者とソーシャルメディアのデータを定期的に処理して、顧客に対する理解を深め、個人向けにカスタマイズしたマーケティングキャンペーンを展開している。
キャンペーンの効果を上げるため、Unileverは「Google Cloud Platform」のAPIを頼みの綱として、マーケティングに自然言語処理と人工知能(AI)を活用するようになった。
Google Cloud Vision APIとGoogle Natural Language API
「当社が取り扱っている商品は食料品から日用品まで幅広く、顧客から好評を得ている」とUnileverでデータと分析部門のバイスプレジデントおよびグローバル統括責任者を務めるアレックス・オーウェン氏は語る。
「私の任務は当社商品の顧客に関する洞察を得て、ニーズに合った商品を提供することだ。同意を得て収集した顧客データを取り込み、リアルタイムでのマーケティング能力を高めている」(オーウェン氏)
Unileverは、その規模と販売網からGoogleと特別なパートナー契約を結んでいるとオーウェン氏は話す。同社はGoogleから高度で手厚いサポートを受けており、Googleの多くのサービスに早い段階でアクセスできる特権を得ている。
Unileverがマーケティングに活用するAIツールとして広く利用しているのが画像認識APIの「Google Cloud Vision API」だ。GoogleのWebページによると、Google Cloud Vision APIは、オブジェクト、画像、テキストを分析する機械学習モデルを提供する。このモデルは簡単に変更でき、事前トレーニング済みだ。
「Google Cloud Vision APIを使用すると、『Instagram』などのソーシャルネットワークサービス(SNS)に投稿されている画像を解読できる」とオーウェン氏は話す。Google Cloud Vision APIにより、Unileverはソーシャルメディアの投稿から膨大なメタデータを収集して、マーケティングキャンペーンに利用するAIの原動力にすることができるようになった。
例えば、Unileverはバレンタインデーの時期に東南アジアで「Close Up」という歯磨き粉ブランドのマーケティングキャンペーンをソーシャルメディアで展開した。若い世代をターゲットにするために、Google Cloud Vision APIを使用して、東南アジアが発信元のハッシュタグとソーシャルメディアコンテンツを分析した。
「分析調査によって、バレンタインデーの時期にGoogleで2番目に多く検索されたのが『キスの仕方』であることが分かった。そこで、当社はキスのイラストや写真を使ったキャンペーンを展開することにした」とオーウェン氏は話す。UnileverがInstagramや「Facebook」などのSNSおよび動画共有サイト「YouTube」で公開した短編動画は何百万回も再生された。
ソーシャルメディアの分析
Unileverは、Google Cloud Vision APIと、自然言語処理APIの「Google Cloud Natural Language API」を併用して、「同社のマーケティング活動が広告を展開する地域の多様な文化基準に合っていることを確認している」とオーウェン氏は語る。
Google Cloud Vision APIはソーシャルメディアでユーザーが生み出す全てのコンテンツを解読し、Google Cloud Natural Language APIはユーザーのコメントを分析する。
Googleによると、Google Cloud Natural Language APIはテキストの分析とアノテーション付けができるという。感情を解読するのに役立つ感情分析、テキストが言及していることを認識するのに役立つエンティティ分析、文章の構成を判断するのに役立つ構文分析といった機能も含まれている。
「この2つのAPIを併用すると、ユーザーが広告についてどのようなことを発信しているかを要約できる」とオーウェン氏は言う。このようにUnileverはキャンペーンの有効性を判断して、迅速に軌道修正をしている。
もう1つ例を紹介しよう。Unileverは広大なデータソースと2つのAPIを活用し、「ユーザーのコメントから欠陥商品を素早く特定して、その商品に速やかに変更を加えることができる」とオーウェン氏は話す。
トラブルの監視
UnileverにとってGoogleのツールは効果的で、Googleとの関係も重要になったが、「最初は同社のニーズに合う形でAPIを機能させるのに苦労した」とオーウェン氏は当時を振り返る。例えば、Google Cloud Vision APIの機械学習モデルを適切にトレーニングするのにしばらく時間を要したという。
「GoogleがGoogle Cloud Vision APIを改善するために、当社ではGoogle Cloud Vision APIの機械学習モデルの機能をいろいろ試すことになった。どのAIツールでも必要な作業だが、とにかく時間がかかった」(オーウェン氏)
UnileverはGoogleの翻訳テクノロジーでも問題に直面した。「かつてGoogleの翻訳テクノロジーは今ほど正確ではなかった」とオーウェン氏は話す。社内のチームは翻訳を微調整し、ツールをニーズに合うようにする必要があった。
「Googleの翻訳テクノロジーは、当社が希望する言語に対応していなかったか、当社が必要としていたコンテンツを翻訳するだけの能力を備えていなかった」(オーウェン氏)
大企業であるUnileverには、新しいテクノロジーや機能の導入前にテストをする財源もあり、人材もいる。テクノロジーのリリース時には、テストが完了しているため、新しいテクノロジーでもすぐに使用して拡張することができた。Unileverは、同社独自のシステムをサードパーティーのテクノロジーと連携させている。「こうした全ての要素が新しい機能のスムーズな展開を支えている」とオーウェン氏は語る。
UnileverはAdobe Systemsのマーケティングツールを使用している。このツールは「Googleのツールと相性が良い」とオーウェン氏は話す。
「必要な洞察を得るために、当社はGoogle Cloud Platformを使用してデータ駆動型のマーケティングを実現している。そして、当社のブランド商品を使用する顧客にとって当社が役に立つ存在であり続けるように努めている」(オーウェン氏)
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