Coca-ColaやP&Gも実践 消費財メーカーの「AI」活用【前編】
「Alexa、油汚れの落とし方を教えて」を実現 P&Gも挑む“顧客とつながるAI”
食品や生活用品を扱う消費財業界でも、AI技術の導入が進みつつある。Coca-ColaやPepsiCo、P&Gなどの事例から、AIシステムを利用したサービスの提供について考える。
食品、飲料、化粧品などの消耗品を扱う消費財業界は、利便性を原動力とする。この業界では、商品の価値や売り上げを高めるイノベーションが、機械学習をはじめとする人工知能(AI)技術によって後押しされている。商品をオンラインで購入する消費行動が当たり前になる中、消費財メーカーは市場シェアを獲得するために独創性を高めている。メーカーはAI技術を利用することで、個人に合わせて高度にカスタマイズした商品の創出や在庫・価格の最適化、販売促進の改善が可能になる。
消費財業界では、継続的に販売する定番商品が主役になる。歯磨き粉からシャンプーに至るまで、最も安い商品を求める人もいれば、特定のブランドにこだわる人もいる。このように顧客のさまざまな商品の好みに応えるため、消費財メーカーは顧客からのフィードバックを重視する。そのためAIシステムを活用して、製品アンケートの回答、ソーシャルメディアでの評判、顧客との直接のやりとりを継続的に見守っている。そうして顧客満足度を計り、潜在的な問題に対処する。
自然言語処理と感情分析を使用して顧客像を把握している消費財メーカーもある。商品に対する認識の変化を見極め、マーケティングキャンペーンや販売キャンペーンへの影響を見積もるためだ。自然言語処理技術が組み込まれたAIシステムは顧客とのやりとりの中からパターンを見つけ出す。この技術の支援を受けることで、消費財メーカーはより適切に顧客をサポートし、マーケティングキャンペーンを改善して、情報を基にビジネス上の決断を下せるようになる。
顧客個人との結び付きをAIで深める
消費財メーカーでは、顧客エンゲージメントを高める創造性の高い方法を見つけるためにもAI技術を使用する。
画像認識技術を利用し、ソーシャルメディアや写真のコンテンツを通じて、高い知名度を獲得すると共に、顧客との結び付きを深めている消費財メーカーがある。Coca-ColaやPepsiCoなどの飲料メーカーでは、機械学習ベースの画像認識技術を用いて、顧客が商品の写真を撮影し、賞を求めて競い合うというソーシャルコンテンツを実現した。このコンテンツは店舗内での販売促進と売上増加を後押しし、顧の繰り返し購入を促している。
消費財メーカーは、顧客とのつながりを強めるために音声アシスタントも利用する。音声アシスタントにはAmazon.comの「Alexa」、Googleの「Google Home」、Appleの「Siri」、Microsoftの「Cortana」、Samsung Electronicsの「Bixby」などが挙げられる。Procter & Gamble(P&G)の洗濯用洗剤ブランド「Tide」では、Alexaの機能を活用する「スキル」というアプリケーションを顧客向けに作成した。このスキルを利用すると、Alexaが洋服に付いた油汚れを落とす方法や、洗濯が難しいシルクやウールなどの生地を手入れする方法などの疑問に回答できるようになる。そのほかのメーカーも、製品と関連したゲームやコンテンツを提供する音声アプリを提供している。
個人に合わせた高度なカスタマイズとオンライン販売
オンラインショッピングは顧客との関係性、顧客の期待、ショッピング体験を変えた。オンラインショッピング専門の消費財メーカーも登場している。月額制でかみそりが定期的に届くサービスを提供するDollar Shave Clubのようなメーカーは、主にオンラインで商品を提供し、店舗の商品棚にはほとんど商品を置かない。実店舗に商品を供給する消費財メーカーも、こうした新しい競争の波に乗ることを目指している。AIシステムで顧客の人物像を把握したり、オンラインでも店舗でも商品を購入できることを顧客にアピールしたりしている。
商品の購入を促す上で重要なのが、一人一人の顧客に合わせたカスタマイズだ。AIシステムを利用すれば、顧客の好きなブランド、ショッピングの頻度、決済方法などが把握できる。そして個人に合わせてカスタマイズしたデータや顧客の過去の行動に基づき、以下のような行動ができる。
- 今後の購入を予測する。
- 顧客が注文する前に、先回りして商品を出荷する
- Webサイトやソーシャルメディアに個々の顧客の好みをリアルタイムに反映して広告を表示する
これらの施策で顧客の具体的なニーズに応えることで、マーケティングの効率性を高めることができる。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Coca-ColaやP&Gも実践 消費財メーカーの「AI」活用
消費財メーカーの間で、人工知能(AI)技術を活用する動きが広がりつつある。Coca-Cola、PepsiCo、P&Gといった実際の企業の事例を交えて、活用の実態を説明する。
この記事の著者
関連記事
新着ホワイトペーパー PR
-
製品レビュー
「電子帳簿保存法対応」実践術:タイムスタンプ付与などの要件の手軽な実現方法 -
事例
「大企業のデジタル化」成功事例集【コクヨ、九州電力、ヨネックスなど21社】 -
製品資料
“顧客管理の課題”を簡単に解決する方法とは? -
製品資料
契約管理の“あるある課題”をノーコード開発で解決するためのポイント -
製品資料
揺らぐ境界防御 いま企業が特に警戒すべき「3つのセキュリティ課題」とは?
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
Microsoft製品でここまで自動化できる 情シスがやめられる手作業10選
-
2
「技術屋」で終わらないために 情シスが今取るべき認定資格5選
-
3
100億円の「Linux更新」を回避 みずほ銀行が選んだ“おきて破り”のRHEL延命策
-
4
Oracle巨大ITプロジェクトはなぜつまずいたのか 8年で導入1割、追加で170億ドル
-
5
「即戦力」は幻想? 中途の3割が消えるAI時代のエンジニア生存戦略
-
6
自宅のWi-Fiが「遅い」「途切れる」本当の原因は? Dellが推奨する鉄則
-
7
継続利用は4割どまり M365 Copilotが「効く業務」と期待外れの境界
-
8
ISMSの“コンサル丸投げ”が招く数千万円の無駄 NTTドコモビジネスの脱出劇
-
9
「VMwareのコスト」に悩んでいるユーザー企業に送る、VMwareを残す・捨てる基準
-
10
PCリプレース時には注意 不完全なデータ消去が情報漏えいのリスクに
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
AIエージェントで多様な日常業務を効率化するための入門ガイド
-
2
AIが「わざわざ使うツール」になっていない? 業務で自然に使う導線にする秘訣
-
3
JR西日本ITソリューションズが「監視業務の属人化」を解消した方法とは?
-
4
5回聞くだけじゃ足りない? トヨタ式「なぜなぜ分析」の正しい実践方法
-
5
「脱Excel」か「Excel快適化」か? 現場にやさしい業務改善の進め方
-
6
インシデント対応工数を約3割削減、東京ガスの事例に学ぶ監視体制刷新のコツ
-
7
「結局、一部の人しか使わない」 AI活用が業務に定着しない根本的な理由
-
8
AIエージェントで成果は出る? 調査結果に見る費用対効果の実態
-
9
PostgreSQLの「機能」「性能」「運用」「拡張性」に関する悩みの解消法
-
10
ゼロトラストにおける「IDaaSの課題」と補完すべき重要機能とは?
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー