AWSやMicrosoftも支援する「最も愛される言語」
プログラミング言語「Rust」が「C」「C++」の後継になるこれだけの根拠
Amazon Web Services(AWS)がプログラミング言語「Rust」をシステム開発言語として採用し、支援に乗り出した。MicrosoftもRustを「C」「C++」の代替言語と見なすことを表明し、注目が集まっている。
クラウドベンダー大手のAmazon Web Services(以下、AWS)が、プログラミング言語「Rust」のスポンサーになった。Rustは2015年に初の安定版が公開されて以来、「C++」の有力な代替として台頭している。「高性能で安定したアプリケーションを開発できる」「プログラマーの生産性を高められる」と評判だ。Google、Microsoft、Mozilla、Yelp、Dropbox、Cloudflare、AWSといった企業がシステム開発言語としてRustを採用している。
併せて読みたいお薦め記事
新たなプログラミング言語習得の壁
プログラミング言語を知る
高い評価を集める理由
プログラミング言語「Ecstasy」を開発している新興企業xqiz.itのCEOであるキャメロン・パーディー氏は、Rustについて「長い年月の中で初めて登場した“真のC++の代替”と言える。システム開発に適した仕組みを持ち、C++よりもはるかによく考えられた言語だ」と評価する。システム開発業界を対象としたアナリスト企業RedMonkでアナリストを務めるジェームズ・ガバナー氏も、「Rustはシステム開発のための言語として着実に広がっている」と話す。
AWSでは、クラウドサービスの開発においてRustの使用が拡大している。イベント駆動型コード実行サービス「AWS Lambda」、仮想マシンサービス「Amazon Elastic Compute Cloud」(Amazon EC2)、ストレージサービス「Amazon Simple Storage Service」(Amazon S3)などのサービスで、パフォーマンスを重視するコンポーネントにRustを使っているという。AWSの仮想化技術「Firecracker」もRustを使って開発されている。
今回のAWSによるRustのスポンサーシップは、Rustプロジェクトで利用するインフラの支援を含む。AWSのブログによると、同社は上流工程テスト、性能テスト、CI/CD(継続的インテグレーション/継続的デリバリー)、中間生成物の開発において、AWSのストレージを利用できるプロモーション用クレジットをRustプロジェクトに提供するという。AWSは同様のプロモーションクレジットを、Java開発環境「AdoptOpenJDK」やプログラミング言語「Julia」などのオープンソースプロジェクトにも提供している。
「AWSは、『オープンソースソフトウェア(OSS)の恩恵を受けていながら、OSSを作り出すことも、コミュニティーを支援することもしていない』という批判から免れるチャンスを探っているのだろう」。調査企業Forrester Researchのアナリストであるジェフリー・ハモンド氏はそう推測する。「Java開発環境『Amazon Corretto』やFirecrackerなどのプロジェクト、そして今回のようなスポンサーシッププロジェクトは、全てそうした見方に対抗することを目的としている」とハモンド氏は付け加える。
AWSによると、Rustプロジェクトは以下の目的でAWSを利用する。
- コンパイラ、ライブラリ、ツール、ソースコードといったリリースの成果物(アーティファクト)の保存
- Rustのレグレッションテスト(システムの整合性を確認するテスト)ツール「Crater」の実行
- Rustのパッケージ(拡張機能)管理Webサイト「crates.io」に登録されたパッケージのドキュメントをホスティングするWebサイト「Docs.rs」の運用
Microsoftが公式に「C」「C++」の代替とみなすことを表明
Rustを支援する動きはAWS以外にも広がっている。MicrosoftもRustを利用した開発を推進している。「Rustはもはや、開発者が週末にいじるようなものではなく、インフラ開発のための言語になりつつある」(ハモンド氏)
Microsoftは2019年7月に、安全性と性能に基づき、Rustを「C」およびC++の代替とみなしていることを明らかにした。同社の主席クラウドデベロッパー推進者であるライアン・レビック氏はブログの中で、「Rustを使えばセキュアで高性能なアプリケーションを開発できる」と述べている。
「セキュアなシステムを開発できる点において、Rustはシステム開発業界を一変させた」とレビック氏は評価する。「Rustは低レベルのシステム開発に必要なパフォーマンスと制御機能を提供すると同時に、安定したセキュアな開発も支援している」(同氏)
開発者向け質問共有サイト「Stack Overflow」が毎年実施している調査では、Rustが「最も愛される」プログラミング言語に2016年から2019年にかけて4年連続で選ばれている。Rustはパフォーマンスが優れているだけでなく、メモリとスレッド(並列処理のための仕組み)の安全機能がバグの削減につながる。
今後の課題
レビック氏によれば、MicrosoftはRustに対し、C++や同社の既存ツールとの相互運用性などの対処すべき問題があるとみている。
調査会社Constellation Researchのアナリストであるホルガー・ミュラー氏は、「クラウド市場の主導権争いは開発者を引き付けて、主導的なクラウドサービスを利用した次世代アプリケーションを開発してもらうことが基本だ」と見解を示す。
生産性や機能を理由に、開発者の注目を集める新しいプログラミング言語が登場することはしばしばある。Rustはそのケースだ。「人気の急上昇を受けて、大手IaaS(Infrastructure as a Service)ベンダーが、提供するサービスでRustを利用できるようにする必要に迫られている」(ミュラー氏)
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
「Excel至上主義」の終わらせ方 丸2日の手作業地獄から情シスと現場を救うには
-
2
取手市がVDIと決別した理由 更改費用「4倍超」を約1.7倍に圧縮
-
3
「Microsoft 365のセキュリティ運用」に関するアンケート
-
4
急増する「AIはこう言ってる」マン 判断を狂わせる「AI忖度」を防ぐには?
-
5
221人調査で分かった「情シス最大のストレス」は?
-
6
「Salesforceのテスト自動化ツール」に関するアンケート
-
7
「データストレージの活用方法」に関するアンケート
-
8
「AI時代の統合基盤・エンタープライズAI管理」に関するアンケート
-
9
AIで人を減らした企業がもう心変わり 「AIブーメラン現象」の実態
-
10
自宅のWi-Fiが「遅い」「途切れる」本当の原因は? Dellが推奨する鉄則
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
年収2000万「クラウドセキュリティのプロ」になれる資格とは
-
2
セキュリティソフトをすり抜ける標的型攻撃メール、不審メールの見破り方とは?
-
3
Windows Updateの通信集中で回線が逼迫、ネットワーク刷新事例に学ぶ解決策
-
4
財務を戦略的組織へ進化させるAI活用術、4つの主要な障壁と解消方法
-
5
「NAS」「SAN」「DAS」は何が違う? いまさら聞けないストレージの基礎
-
6
“あのファイル転送”で暗躍するノーウェアランサム
-
7
標的型攻撃メールを見破るには? サンプル文面を例に傾向を解説
-
8
商用利用の安全性を確保し大量のコンテンツを高速で生成する、AI活用の秘訣
-
9
マンガで解説、1日で生成AI環境を構築できるワークショップの中身とは?
-
10
Dark AIが台頭する時代の新発想、「より高度なAIで対抗する」具体的方法とは?
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー