「5G」の期待と現実【前編】
「5G」は「4G」と比べてどこが進化しているのか?
「5G」は「4G」と比較して飛躍的に性能が向上すると期待されているが、企業のネットワークとして使うなら期待感だけで導入はできない。4Gとのどのような違いが、5Gの期待感を生み出しているのか。
新しい世代は常に古い世代を超え、古い世代が成し遂げ得なかった目標を達成し、古い世代が残した課題を克服するのが理想だ。セルラー(区画ごとに基地局を配置する移動体通信)の世界でも同じことが言える。「5G」(第5世代移動体通信システム)は、データ伝送速度やレイテンシ(遅延)、デバイスの接続密度などにおいて、「4G」(第4世代移動体通信システム)では達成できなかった目標を実現することを目指している。
4Gが登場してから、ネットワーク分野でさまざまなトレンドが誕生した。モノのインターネット(IoT)が進歩し、スマートフォンが急激に普及し、オフィス外で仕事をするリモートワークが浸透した。こうしたトレンドは2010年代に大きく広がり、モバイルネットワークのデータ伝送速度やセル密度(1つの基地局に収容するデバイス数)を高める必要性が生じた。そうした中で登場した5Gは、4Gでは解消できない課題を解決することが期待されている。
企業は5Gの波が本格的に到来する前に、5Gは4Gと何が違い、企業の事業活動にどのような影響を及ぼす可能性があるのかを見極める必要がある。
「5G」はなぜ「4G」よりも期待されているのか
4Gは、5Gの前の世代の移動体通信システムの規格だ。4Gは2010年代の最も新しい規格として普及した。それより前の世代である「3G」(第3世代移動体通信システム)と比べ、セル密度の向上、VoIP(Voice over Internet Protocol)機能の強化、周波数帯の拡大という改善があった。
2010年代に、4Gに分類されることもある「LTE」(Long Term Evolution)という規格が普及した。世界的な標準としてモバイルネットワークに広く使用され、5Gの仕様の基礎となった。5GはこのLTEの性能をさらに向上させる必要がある。
5Gは高速なデータ伝送とリアルタイム性のある通信を特徴としている。2019年頃に小規模な導入が始まったが、広く普及するのは2020年代半ば以降になるだろう。5Gは下記のような技術を取り入れている。
- ネットワークスライシング
- ネットワークを仮想的に分割し、アプリケーションの違いに応じてトラフィックを処理する技術
- 直交周波数分割多重(OFDM:Orthogonal Frequency Division Multiplexing)
- データを複数のサブキャリア(搬送波)に分割して効率的に伝送する技術
- Massive MIMO(MIMO:Multiple Input Multiple Output)
- 送信側と受信側で多数の通信用アンテナを同時に使う技術
4Gが使用する周波数帯は3.6GHz未満だったのに対し、5Gはミリ波(周波数帯が30GHz~300GHzの電波)を使用する。ミリ波は直進性が高く、広いエリアには届きにくい特性がある。そのため5Gサービスを提供する際、「スモールセル」と呼ばれる小型基地局を設置する場合もある。
4Gと5Gは下記のような点に違いがある。
- レイテンシの大きさ
- ファイルのダウンロード時間
- 異なる基地局の使用
- セル密度
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「5G」の期待と現実
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