データ伝送速度の高さとレイテンシの低さを兼ね備えた「5G」は、リアルタイム性の高いコミュニケーションを実現する。「4G」との違いを整理した上で、5Gが企業にもたらす影響を考察する。
「4G」(第4世代移動体通信システム)から「5G」(第5世代移動体通信システム)へのアップグレードの大部分は、通信事業者のネットワーク内で実施される。そのため企業のIT部門の担当者は、自分たちにもやるべきことがあるのを忘れてしまう。本稿では、5GがLANやWANといった企業ネットワークに与える影響について考察するとともに、企業が5Gを利用するのにどのようなハードウェア、ソフトウェア、サービスが必要なのかを探る。
5Gが話題に上ると、人々はほぼ必ず、ネットワークのスループット(データ伝送速度)の向上という優れたメリットに言及する。実際、米国の一部地域で開始された5Gサービスでは、4Gを格段に上回る数字が実現している。
他にも5Gには見過ごされがちな大きなメリットがある。レイテンシ(遅延)の低さだ。企業の視点には、外出先や遠隔地で仕事をするリモートワーカーのメリットになるレイテンシの視点が抜け落ちていることが珍しくない。
リモートワーカーにとっては、リアルタイムコミュニケーションを実現するツールや技術が重要になる。4Gでは、レイテンシが原因でビデオストリーミングの音や映像が途切れたり乱れたりすることがある。5Gを使えば、レイテンシが大幅に低減する。そのため従業員が社内にいても、郊外のバス停でバスを待っていても、リアルタイム性を要するほとんどのアプリケーションがスムーズに動作するだろう。
5Gによって、より円滑なリアルタイム性のあるコミュニケーションが可能になることは、以下の3つの観点から、ネットワーク担当者にとって重要な意味を持つ。
まず、品質の良いアプリケーションを利用できる可能性が高まる。企業はモバイルデバイスでのユニファイドコミュニケーション(UC)ツールやコラボレーションツールの利用が急増することに備える必要がある。
IT部門は、サーバの処理能力とサーバに接続するネットワークの十分な通信容量を確保する必要がある。社内外から従業員がサーバに接続し、ネットワークを介したデータ伝送量が急増することに対処しておかなければならない。必要な通信容量を確保できない場合は、ボトルネックになる可能性がある潜在的な問題の解消に向けて、ネットワークのハードウェアやネットワークサービスのアップグレードを検討すべきだ。
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