「ファイバーチャネル」vs.「iSCSI」【後編】
「ファイバーチャネル」と「iSCSI」を性能、コスト、難易度など4点で比較
SANに使用するストレージインタフェースとしてFCとiSCSIのどちらを選択すべきなのか。4つのポイントで2つの技術を比較する。
「ファイバーチャネル」(FC)と「iSCSI」(Internet Small Computer Systems Interface)は、複数のサーバやストレージシステムを接続する「SAN」(ストレージエリアネットワーク)に使用されるストレージインタフェースだ。
iSCSIとFCはいずれもSANの技術的問題を解決することを目指しており、この2つの技術で実現できることの違いは微妙だ。どちらかを選択するに当たって、次の4つのポイントで比較するとよい。
- ポイント1.パフォーマンスと信頼性
- ポイント2.知識・ノウハウの習得しやすさ(会員限定)
- ポイント3.運用管理のしやすさ(会員限定)
- ポイント4.SAN構築・運用の総合的なコスト(会員限定)
ポイント1.パフォーマンスと信頼性
FCはレイヤー2(L2)のデータ伝送単位であるフレームの転送技術であるカットスルー方式(受信したフレームの宛先部分を読み込み、残りのフレームを順次転送する方式)を採用しており、プロトコル処理は基本的にハードウェアが担う。iSCSIはSANで使用されていたストレージインタフェースであるSCSI(Small Computer System Interface)のパケットをTCP/IPネットワークで転送できるようにしている。iSCSIのプロトコルはレイヤー3(L3)のスイッチング技術であり、プロトコル処理はソフトウェアかハードウェア、または両者の組み合わせで実施する。
しばしばFCは「パフォーマンスが高くて信頼性の高いストレージインタフェースだ」と宣伝される。iSCSIが登場した当初は、確かにこれは事実だった。だが現在、これが必ずしも正しいとは限らない。
現在、パフォーマンスのボトルネックがあるとすればストレージインタフェース以外にある可能性が高い。ストレージシステムを制御するストレージコントローラーのキュー深度(キューに格納できるコマンド数)、クラスタ構成、ディスク数、ディスクの種類といった点に問題がある可能性がある。他にも物理サーバ、SANファブリックのオーバーサブスクリプション比(スイッチの全ポート合計の通信路容量がファブリックの容量をどれだけ超えているかを示す数値)に問題がある可能性もある。
FCとiSCSIのパフォーマンスはどちらが優れているのか。全く同じ条件で使用するなら、IOPS(1秒当たりに処理できるI/O数)とスループット(実効的なデータ転送速度)はFCの方がわずかに高い。FCのIOPSが高いのはレイテンシ(遅延)の低さ、スループットが高いのはオーバーヘッド(余分な処理による負荷)の小ささというFCの特徴があるからだ。
ポイント2.知識・ノウハウの習得しやすさ
iSCSIはTCP/IPやイーサネットといった広く使用されている標準技術をベースにしているため、FCよりはるかに簡単で単純だ。FCは学習のハードルが高く、高度かつ専門的なノウハウを必要とする。FCは手動で実施しなければならない作業がiSCSIよりも多く、iSCSIは自動化されている部分が多い。こうした理由から、FCは高度な専門知識が必要で、スキルを習得するためにはより多くのトレーニングを要するため、学習コストが高くつくことになる。
ポイント3.運用管理のしやすさ
FCとiSCSIを比べると、FCよりiSCSIによるSANの方が実装と運用管理がはるかに簡単だ。iSCSIは、TCP/IPとイーサネットといった標準技術に基づく機能を幅広く使用するため、導入や運用管理にかかるコストがFCよりも安い。
ポイント4.SAN構築・運用の総合的なコスト
FCとiSCSIを比較する際は、SAN導入に必要なあらゆる要素を評価する必要がある。これにはストレージ管理ソフトウェアに加え、SSD(ソリッドステートドライブ)、HDDなどの各種ストレージが含まれる。
この評価においては、製品の調達やデプロイ(配備)、拡張・アップグレード、運用管理、メンテナンスに加え、電力設備、冷却装置、不動産などにかかるコストも考慮しなければならない。
FCを扱うベンダーは製品の低価格化を進めてきたが、iSCSIの製品と比べてトータルコストが大幅に高くなるのが一般的だ。特にサーバとの接続に利用するホストバスアダプター(HBA)やスイッチ、ソフトウェアなどのコストが、iSCSIよりもかなり高くなる傾向にある。
FCとiSCSIのどちらを選択すべきかは“ケースバイケース”だ。本稿で紹介したパフォーマンスや求められるスキル、運用管理、総合的なコストなどの観点で自社の要件と照らし合わせ、最適な方の技術を採用するとよい。
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「ファイバーチャネル」vs.「iSCSI」
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