分散ストレージソフト「Ceph」の利点【前編】
分散ストレージソフト「Ceph」とは? 「Swift」「GlusterFS」との違いは
オープンソースの分散ストレージソフトウェア「Ceph」が自社に適しているかどうかを判断するには、何を知っておく必要があるだろうか。他の類似のソフトウェアとCephを比較し、その特徴を明確にする。
オープンソースの分散ストレージソフトウェア「Ceph」は、オブジェクトストレージを実現するストレージソフトウェアの選択肢の中で人気が高い。スケーラビリティの高さなど、Cephを利用するメリットは複数ある。
Cephによって実現できる機能と同じ機能を備えるストレージソフトウェアは他にもある。Cephを使うメリットの一つは、同じ機能でも従来のSAN(ストレージエリアネットワーク)よりも安価に済む可能性がある点だ。Cephはオープンソースであるため、高額になることが一般的な専用ハードウェアに依存することなく、汎用(はんよう)的なハードウェアで利用できる利点がある。
スケーラビリティと構成変更のしやすさがCephの2つのメリットだ。ノード(サーバやストレージ)を追加すればシステム容量を増やすことができる。Cephはオブジェクトストレージ、ブロックストレージ、ファイルストレージという3つのストレージインタフェースを利用できるようにしている。
Cephのデメリットは、I/O処理時間を高速化するためのストレージネットワークが高価になる可能性がある点だ。オープンソースだからといって、Cephの利用が完全に無料で済むわけでもない。重要なデータの保存にCephを使用する場合、Red HatやSUSE Linuxが提供する商用ディストリビューションを利用することになる可能性が高い。商用ディストリビューションには有料ベンダーサポートが含まれることがあるためだ。ただ、それを考慮してもCephは従来のSANの現実的な代替手段として比較的安価に導入できるといえる。
本連載では、Cephに関する疑問に答える。例えば下記のような疑問がある。
- オープンソースのクラウド構築ソフトウェア「OpenStack」の分散オブジェクトストレージ構築用ソフトウェア「Swift」や、分散ファイルシステム「GlusterFS」とCephの違い
- オープンソースCephと商用ディストリビューションの違い
- Cephを最適化する方法
- WindowsでCephを利用する方法
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分散ストレージ技術「Ceph」とは何か
ストレージベンダーを比較
オブジェクトストレージとしてCephとSwiftはどちらが優れているか
オブジェクトストレージを構築するCephとSwiftは、共にストレージクラスタ全体にデータを分散/複製するストレージソフトウェアだ。これらはLinuxのファイルシステムや「XFS」(eXtents File System)を使用する。いずれのストレージソフトウェアも拡張性を持たせているため、簡単にノードを追加できる。
Swiftはクラウドを重視して開発されており、データへのアクセス方法は「REST API」(システム連携の設計原則「REST」にのっとったAPI)を使用する。REST APIは、セッション管理や状態管理をせずにURI(データが持つ固有のID)などのIDによってリソースを識別する方式を採用している。REST APIを使うことで、アプリケーションは直接Swiftのデータにアクセスできる。これはクラウド環境では特に有用な機能だ。だがこの特徴によって、どこからでもSwiftのストレージにアクセスすることは難しくなる。
オブジェクトストレージの構築手段としては、Cephの方がSwiftよりも扱いすいといえる。CephはAmazon Web Services(AWS)のオブジェクトストレージサービス「Amazon Simple Storage Service」(Amazon S3)のREST APIや「Ceph Filesystem」(CephFS)、「iSCSIゲートウェイ」などを介して利用できる。
CephとSwiftはクライアントからのアクセス方法も異なる。Swiftでは、クライアントはSwiftのゲートウェイを経由しなければならないため、単一の障害点が生まれる。これに対して、Cephではオブジェクトストレージは各ノードで運用する。クライアントで実行するコンポーネントがそのオブジェクトストレージに接続する。この点でもCephの方が扱いやすい。
Cephのデータはクラスタ全体で一貫性を確保しやすい。Swiftのデータは最終的には一貫したものになるが、クラスタ全体で同期するには時間がかかることがある。そうした違いを考えると、Cephの場合は単一拠点の環境に適している。特に仮想マシンやデータベースのように高レベルの一貫性を必要とするデータを扱うことに向いている。一方でSwiftは大量のデータを処理する大規模環境に適している。
CephとGlusterFSの違いは
分散ファイルシステムGlusterFSとCephは、どちらもクラウドと適切に連携できる。どちらも簡単に新しいストレージデバイスを既存のストレージインフラに組み入れることを可能にする。レプリケーション(複製)機能を使用して高可用性を実現することや、汎用的なハードウェアで利用することも可能だ。両システム共に、単一障害点が生まれないようにメタデータへのアクセスは分散させる。
このように類似点は多いが、重要な違いもある。GlusterFSはLinuxベースのファイルシステムであるため、Linux環境には簡単に導入できるが、Windows環境への導入は容易ではない。
これに対して、Cephは単一の統合的なシステムにひも付く形で、拡張性の高いオブジェクトストレージ、ブロックストレージ、ファイルストレージを用意している。あらゆるオブジェクトストレージと同様、アプリケーションはAPIを介して、ストレージに直接データを書き込む。この特徴により、CephのストレージシステムはLinux環境と同じくらい容易にWindows環境で利用できる。この点も含めたさまざまな理由から、CephはLinuxやその他のOSが使用される異種混合の環境に適した選択肢になる。
I/O処理速度に関しては、CephとGlusterFSの間に大きな違いはない。
後編では、Cephのオープンソース版と商用ディストリビューション版の違いや、Windows環境での利用方法、パフォーマンスの最適化方法などについて紹介する。
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分散ストレージソフト「Ceph」の利点
分散ストレージソフトウェアとして広く利用されている「Ceph」。その優位性はどこにあるのだろうか。類似のストレージソフトウェアと比較しつつ解説する。
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