チリで実用化
「IoTセンサー」と「自動機械学習」(AutoML)が森林火災検知に一役買う
Entel Oceanは、IoTセンサーとDataRobotの自動機械学習(AutoML)製品を使用して、チリの森林火災を自動的に検知している。人よりも迅速に火災を検知できる、その仕組みとは。
2017年1月、南米のチリ全土で連続山火事が発生した。火災により少なくとも11人が死亡。4000平方キロ以上が焼失し、チリ政府は対応に数億ドルを要した。
この火災は、近代のチリにおける最悪の災害の一つとなった。一方で、チリでは山火事の発生は日常茶飯事でもある。山火事を防止するために政府はテクノロジーベンダーのEntel Oceanを頼った。同社は人工知能(AI)技術を使用した山火事の防止と検知を得意としている。
チリの火災検知
チリ最大の通信事業者であるEntel(Empresa Nacional de Telecomunicaciones)のデジタル部門がEntel Oceanだ。Entel Oceanは、クラウド、アナリティクス、IoT(モノのインターネット)など、さまざまな製品・サービスを提供する。
Entel Oceanはチリ政府と協力して、チリの森林の一部にIoT(モノのインターネット)センサーを設置し、火災の検知と予測の対策を支援した。同社のサービス部門マネジャーであるレオノール・フェレブス氏は、同社で「鼻」と呼ばれるIoTセンサーが、湿度や温度、特定の物質の濃度など、周囲のさまざまなデータを収集すると説明する。
IoTセンサーは、収集した情報をEntel OceanのIoTプラットフォームに送信する。同社はIoTセンサーが収集したデータを使用し、予測分析と機械学習によって森林火災が発生する可能性を特定する。小規模火災であっても森林火災が発生しているかどうかを特定できる。
Entel Oceanが開発したこの火災検知システムは、森林の監視塔から人が発煙に目を光らせる従来の方法よりも12分早く出火の検知を可能にする。
自動機械学習とIoTセンサーで素早い検知を実現
火災検知システムを強化するために、Entel OceanはDataRobotの同名の自動機械学習(AutoML)製品を使用している。「DataRobotは機械学習を高速化する」とフェレブス氏は述べる。Entel Oceanで火災検知システムに取り組むチームは、これまでにもAI技術を実装したさまざまなツールを使用した経験があるとフェレブス氏は説明する。チームはその全てを評価した後にDataRobotを選択した。
Entel Oceanは当初、大まかな設定で火災検知システムの運用を開始したという。このシステムを効率的に動作させるには、IoTセンサーからのデータを必要とする。IoTセンサーを設定した後、システムが適切に機能するために必要な量のデータを収集するのには時間がかかった。
当初この火災検知システムにはかなりの数の検知漏れや過検知(脅威ではないものを脅威だと判断して検知すること)といった誤検知があり、降雨やバーベキューなどが誤検知を引き起こしていた可能性があった。誤検知は時間の経過とともに大幅に低下しており、今後もさらに低下するとEntel Oceanは予想する。
Entel Oceanの火災検知システムは、比較的早く火災を予測する。火災を目視で発見する役割を担う人が火災にさらされる危険も低減するため、フェレブス氏は他の政府も森林の保護にこのシステムを利用することを期待している。「現在、森林火災は主に視覚によって検知されているが、AI技術は目やカメラが発見する前に発生を予測することができる」と同氏は述べる。
TechTarget発 先取りITトレンド
米国TechTargetの豊富な記事の中から、最新技術解説や注目分野の製品比較、海外企業のIT製品導入事例などを厳選してお届けします。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
TechTarget発 先取りITトレンド
米国TechTargetの豊富な記事の中から、最新技術解説や注目分野の製品比較、海外企業のIT製品導入事例などを厳選してお届けします。
この記事の著者
関連記事
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
「Excel至上主義」の終わらせ方 丸2日の手作業地獄から情シスと現場を救うには
-
2
「Microsoft 365のセキュリティ運用」に関するアンケート
-
3
取手市がVDIと決別した理由 更改費用「4倍超」を約1.7倍に圧縮
-
4
急増する「AIはこう言ってる」マン 判断を狂わせる「AI忖度」を防ぐには?
-
5
221人調査で分かった「情シス最大のストレス」は?
-
6
「Salesforceのテスト自動化ツール」に関するアンケート
-
7
IT製品の導入に関するアンケート「サーバ&ストレージ」編
-
8
「データストレージの活用方法」に関するアンケート
-
9
「AI時代の統合基盤・エンタープライズAI管理」に関するアンケート
-
10
自宅のWi-Fiが「遅い」「途切れる」本当の原因は? Dellが推奨する鉄則
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
年収2000万「クラウドセキュリティのプロ」になれる資格とは
-
2
セキュリティソフトをすり抜ける標的型攻撃メール、不審メールの見破り方とは?
-
3
Windows Updateの通信集中で回線が逼迫、ネットワーク刷新事例に学ぶ解決策
-
4
財務を戦略的組織へ進化させるAI活用術、4つの主要な障壁と解消方法
-
5
「NAS」「SAN」「DAS」は何が違う? いまさら聞けないストレージの基礎
-
6
“あのファイル転送”で暗躍するノーウェアランサム
-
7
標的型攻撃メールを見破るには? サンプル文面を例に傾向を解説
-
8
商用利用の安全性を確保し大量のコンテンツを高速で生成する、AI活用の秘訣
-
9
マンガで解説、1日で生成AI環境を構築できるワークショップの中身とは?
-
10
Dark AIが台頭する時代の新発想、「より高度なAIで対抗する」具体的方法とは?
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー