『ミクロの決死圏』のコンセプトも実現か
アポロ11号が「モノのインターネット」(IoT)の原点だった?
今や製造や医療、教育の分野に広がる「モノのインターネット」(IoT)。その原点は人類を月に送る「アポロ計画」のために開発された技術にあるという。それはどういうことなのか。
「モノのインターネット」(IoT)という言葉の生みの親とされるケビン・アシュトン氏は、1999年のプレゼンテーションで初めてこの言葉を使ったと言われている。だが、その背後にある発想はそれより何十年も昔にさかのぼる。それがリアルタイム組み込みデジタルコンピュータ「アポロ誘導コンピュータ」(AGC:Apollo Guidance Computer)だ。
人類を月に送る「アポロ計画」で、1969年に月面着陸を果たした宇宙船「アポロ11号」(Apollo 11)の制御に使われたのがAGCだ。その機能は限られていたが、部屋サイズの大きさだった当時のコンピュータから、現在の極小センサーに至るきっかけとなった。
アポロ計画のエンジニアは宇宙船の限られた空間に収まるようにコンピュータを小さくしなければならなかった。アポロ11号のミッション成功は、旅客機や戦闘機、金融分野における小型コンピュータの活用につながった。コンピュータの進歩は人工衛星の性能向上にも貢献した。
アポロ計画からIoTへ
デジタル技術の高速化と小型化はますます進み、宇宙計画から商業市場、PC、従来型携帯電話、スマートフォンの開発へと続いていった。それと同時にデジタル技術の採用でセンサーの機能が向上し、電力供給しやすく、さらに小型化した低価格の製品を生産できるようになった。これがIoT普及の原動力となった。こうした進歩により航空宇宙分野だけでなく、軍事分野や医療分野でもセンサー技術の活用が進んだ。
1966年公開の映画『ミクロの決死圏』(原題:Fantastic Voyage)では、乗り物とそれに乗る人を血栓の大きさほどに極小化する。現実の世界では極小サイズの医療用センサーを患者の体内に入れて動脈を拡張したり、薬剤を投与したり、患者の状態に関するデータを収集したりする開発が進んでいる。
次はウェアラブルの分野でIoTの用途が広がる。脈波(心臓からの血液送出に伴う血管の容積変化)センサーを使った活動量計の着用は広く普及している。開発の次は、さらに大きくIoT開発が飛躍するだろう。医療分野のIoT活用拡大で、自宅にいる患者をモニタリングできるようになれば、入院期間を短縮できる。工場や学校にセンサーを配備すれば、建物内の状況や安全をモニタリングし、地震やハリケーンなどの自然災害に対処することも可能になる。
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