バッファオーバーフロー攻撃に備える【後編】
「バッファオーバーフロー攻撃」の被害を防ぐ6つの対策
Webアプリケーションを狙う「バッファオーバーフロー攻撃」による被害を防ぐには、どうすればよいのか。開発から運用までのベストプラクティスを紹介する。
プログラムが処理するデータを一時的に保持する固定長のメモリ領域が「バッファ」だ。バッファに許容量より多くのデータが書き込まれると、データがあふれる。この脆弱(ぜいじゃく)性を「バッファオーバーフロー」と呼ぶ。攻撃者がバッファオーバーフローを悪用すると、システムで任意のコマンドを実行できるようになる恐れがあるため注意が必要だ。
バッファオーバーフロー攻撃による被害を防ぐ方法
バッファオーバーフローを悪用した攻撃の主な対策は、以下の通りだ。
- セキュアなプログラミング言語の選択
- 危険なライブラリの回避
- 入力データの検証とフィルタリング
- 稼働前のテスト
- ランタイムの保護
- データ保存用のメモリ領域からのマルウェア実行防止
1.セキュアなプログラミング言語の選択
「C#」「Java」「JavaScript」「Perl」「Python」などのプログラミング言語は、バッファオーバーフローにつながるプログラム実装時のミスを防ぐ仕組みを備える。ただしバッファオーバーフローの発生を完全に防ぐわけではない。他のプログラミング言語で書かれたプログラムとこれらのプログラムがやりとりする場合は、特に注意が必要だ。
2.危険なライブラリの回避
ライブラリ(機能群)は攻撃者にとってWebアプリケーションを攻撃する際の主な標的だ。ライブラリに見つかった脆弱性は、そのライブラリを使う全てのアプリケーションにも存在する危険性がある。バッファオーバーフローが発生しないようにバッファを監視する「境界チェック」を実施していないライブラリ内関数の使用は避けるべきだ。
3.入力データの検証とフィルタリング
Webアプリケーションが受け取る入力データは、エンドユーザーによる入力や他のプログラムからの入力などの経路にかかわらず、必ず検証しなくてはならない。入力データをフィルタリングしてチェックし、想定された範囲内の値のみを受け付けるようにプログラムを設計する。
プログラムで問題を引き起こす可能性がある文字はフィルタリングした方がよい。例えばアポストロフィ(’)、クォーテーションマーク(”)、アンパサンド(&)は「予約記号」だ。予約記号はプログラムにおいて特別な意味を持つ。入力データに予約記号が含まれている場合、意図しない命令をWebアプリケーションに与える恐れがあるため、フィルタリングで除外しなければならない。
4.稼働前のテスト
全てのWebアプリケーションについて、セキュリティが確保されていることを稼働前に確認するために、あらゆる経路からの侵入テストを実施するとよい。問題が見つかった場合は、攻撃者に悪用される前に修正しておく。
5.ランタイムの保護
OSにはプログラムの実行に必要なソフトウェアである「ランタイム」の保護機能があり、攻撃者がバッファオーバーフローを引き起こすのを防ぐ。例えば「アドレス空間レイアウトのランダム化」(ASLR)は、スタックやヒープといったメモリ領域配置をランダム化し、攻撃者に発見されにくくする。「構造化例外処理の上書き保護」(SEHOP)は、「Windows」に組み込まれた例外処理の管理機能「構造化例外ハンドラ」(SEH)をマルウェアが悪用するのを防ぐ。
6.データ保存用のメモリ領域からのマルウェア実行防止
Windowsは「データ実行防止」(DEP)機能によって、データ保存用のメモリ領域を「読み取り専用」だという目印を付けることが可能だ。これによりバッファオーバーフローを悪用したメモリ領域でのマルウェアの実行を防止できる。
稼働開始後に実施すべき対策
Webアプリケーションの稼働開始後に脆弱性をテストしたり、安全に運用したりするための対策を講じることも重要だ。企業が取り組むべき対策を以下に示す。
- ベンダーが発行する最新のパッチを適用する
- Webアプリケーションを手動・自動の脆弱性スキャンツールでテストする
- 攻撃者だと考えられるアクセス元のIPアドレスをブロックする
- 既知の攻撃をブロック可能な侵入検知シスタム(IDS)や侵入防止システム(IPS)を使用する
- パケットが不正なものでないかどうかを検査する「ディープパケットインスペクション」(DPI)を使用し、トラフィックをモニタリングする
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