JPMorganやBank of America、Citibankなどの事例を紹介
世界の大手銀行は「AI」をもうここまで活用している
世界の銀行業界でAI(人工知能)技術の普及が進んでいる。銀行はAI技術をどう活用し、どのようなメリットを得ているのか。欧米の大手銀行の事例から探る。
何百年にもわたって銀行業界は繁栄を続けてきた。それでもAI(人工知能)技術の改善によってメリットを得られるプロセスや手続きは存在する。AI技術を活用したシステムは、パターンの特定、異常検出、データ処理といった作業を人よりはるかに迅速にこなす。そのため銀行業務にAI技術を活用する動きが広がっている。
銀行業務の顧客体験の向上
チャットbotなど、AI技術を組み込んだシステムは、顧客との関係にプラスの効果をもたらす。チャットbotは顧客と積極的に会話を始め、顧客に適切な情報を提供して、営業時間外に顧客の疑問を解消するのに一役買っている。
大手銀行Wells Fargoは、銀行の顧客と行員向けに各種カスタマーサービスへの問い合わせ支援を目的とするチャットbotを提供している。このチャットbotは、口座情報、特定の取引、最寄りのATM(現金自動預け払い機)の場所といった一般的な話題に関する質問に回答できる。顧客は銀行の担当者が質問に応対するのを待つ必要がない。
簡単にやりとりできる顧客向けのアプリケーションを開発したのは、大手銀行JPMorgan Chase Bankだ。このアプリケーションは顔認識技術を搭載する。顧客はこのアプリケーションを使うことで、安全に支出の計画を立てたり、質問をしたり、サポートを得たり、小切手を預金したりすることが可能になる。取引を完了する、顧客に確認のメッセージを送信するといった処理も自動化する。
手作業によるミスと無駄をAIで削減
銀行業界でもデジタル化が進んでいる。それでも銀行には手作業のプロセスが驚くほど驚くほど残っているのが実情だ。そのため銀行は、人為的なミスに起因するリスクの問題を抱える。このように時間がかかってミスの起こりやすい作業を減らすためにAI技術が役立つ。
JPMorganはAI技術を利用して、さまざまな社内プロセスを強化している。同社のITチームは、通常であれば複数のスタッフを必要とする作業の遂行に複数のソフトウェアロボットを使用し、AI技術が従業員のパスワード変更を容易にすることに価値を見いだしている。
これらのソフトウェアロボットには機械学習などのAI技術を活用し、エンドユーザーとの対話に自然言語を使用して、パスワードのリセットをサポートできるようにした。パスワードの変更時に管理者や従業員の手を煩わせないようにするためだ。JPMorganのような大企業であれば、パスワード変更といったプロセスの自動化によって年間何百時間にも相当するコスト削減を実現できる。
大手銀行Bank of AmericaはAI技術を早期導入した銀行の一つだ。同行が作成した音声アシスタントの「Erica」は、エンドユーザーのクレジットカードの申し込み、送金、金銭の受領といった銀行手続きをサポートすることで、同行の日常業務を支援する。
リスクの低減は、コスト削減と負債削減につながるため、銀行にとって最優先事項になる。その一環として銀行は手書き文字認識や自然言語処理などの技術とインテリジェントなプロセス自動化ツールの組み合わせを事務管理部門の業務に適用している。
大手銀行CitibankはAI技術を使用して、コンプライアンスやリスク管理に関するドキュメント作成作業を自動化している。リスクや労働力のニーズなど、将来計画のさまざまな側面を特定するために、AI技術を活用しながら市場の変化を追跡している。
債権回収にAI技術を利用している銀行もある。ドイツの銀行Hanseatic Bankは債権回収を強化するため、AIベンダーのcollectAIと提携した。AI技術を活用することで、Hanseatic Bankは債権者に連絡する最適なタイミングだけでなく、連絡に最適なルートも特定できるようになった。AI技術は債権者の支払い能力も適切に予測する。collectAIによると、債権回収率はHanseatic Bankとの提携からたった半年で14%向上したという。
銀行業務におけるAIの未来
AI技術は、今後も銀行業界の改革を後押しし、顧客に提供する価値を高めて、リスクを低減し、近代経済における金融のけん引役として銀行が社会に関わる機会を増やすだろう。ただし人に最新情報を絶えず伝達することは欠かせない。融資の申し込み、クレジットカード取引の承認・拒否、債権回収に関する重要な判断を支援するシステムは既にある。それでもシステムが予想通りに機能していることを確実にするには、人による監視が不可欠だ。
銀行業務におけるAI技術の活用は大きな可能性を秘めている。これからもAI技術の導入は進み、今後数年にわたって導入する銀行は増えるだろう。
TechTarget発 先取りITトレンド
米国TechTargetの豊富な記事の中から、最新技術解説や注目分野の製品比較、海外企業のIT製品導入事例などを厳選してお届けします。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
TechTarget発 先取りITトレンド
米国TechTargetの豊富な記事の中から、最新技術解説や注目分野の製品比較、海外企業のIT製品導入事例などを厳選してお届けします。
この記事の著者
関連記事
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
「Excel至上主義」の終わらせ方 丸2日の手作業地獄から情シスと現場を救うには
-
2
「Microsoft 365のセキュリティ運用」に関するアンケート
-
3
取手市がVDIと決別した理由 更改費用「4倍超」を約1.7倍に圧縮
-
4
急増する「AIはこう言ってる」マン 判断を狂わせる「AI忖度」を防ぐには?
-
5
221人調査で分かった「情シス最大のストレス」は?
-
6
「Salesforceのテスト自動化ツール」に関するアンケート
-
7
IT製品の導入に関するアンケート「サーバ&ストレージ」編
-
8
「データストレージの活用方法」に関するアンケート
-
9
「AI時代の統合基盤・エンタープライズAI管理」に関するアンケート
-
10
自宅のWi-Fiが「遅い」「途切れる」本当の原因は? Dellが推奨する鉄則
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
年収2000万「クラウドセキュリティのプロ」になれる資格とは
-
2
セキュリティソフトをすり抜ける標的型攻撃メール、不審メールの見破り方とは?
-
3
Windows Updateの通信集中で回線が逼迫、ネットワーク刷新事例に学ぶ解決策
-
4
財務を戦略的組織へ進化させるAI活用術、4つの主要な障壁と解消方法
-
5
「NAS」「SAN」「DAS」は何が違う? いまさら聞けないストレージの基礎
-
6
“あのファイル転送”で暗躍するノーウェアランサム
-
7
標的型攻撃メールを見破るには? サンプル文面を例に傾向を解説
-
8
商用利用の安全性を確保し大量のコンテンツを高速で生成する、AI活用の秘訣
-
9
マンガで解説、1日で生成AI環境を構築できるワークショップの中身とは?
-
10
Dark AIが台頭する時代の新発想、「より高度なAIで対抗する」具体的方法とは?
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー