金融×AIの現在【後編】
ローン会社が機械学習で実現した「信用情報が不要のローン審査」とは?
膨大なデータの活用を課題に掲げる企業がある一方で、少ないデータからどう知見を得るか悩む企業もある。いずれにしても解決の鍵はAI技術にあるようだ。メキシコのローン会社の事例からAI技術の可能性を探る。
メキシコにあるローンの小規模スタートアップ(創業間もない企業)Kueskiは機械学習などのAI(人工知能)技術を使用して、ローンの借り手になり得る資格があるかどうかの審査の迅速化と自動化を図っている(現状ではメキシコ市民のみが対象)。
一般的なローン会社とは異なり、Kueskiは借り手の資格審査に必ずしも、これまでのローンやクレジットカードの利用履歴といった信用情報を考慮しない。
「(メキシコでは)銀行を利用していない人が占める割合が非常に高く、多くの人が銀行に預金をしていない」とKueskiの最高技術責任者(CTO)、ハイメー・ロメロ氏は話す。多くの人にクレジットカードの利用経験がないため、信用情報はほとんどないと同氏は語る。
2012年設立のKueskiでデータサイエンス部門のディレクターを務めるパブロ・ダバロス氏に、同社の金融サービスシステムでAIシステムが資格を審査する方法について詳しく聞いた。
信用情報を使わないローン審査の方法
借り手となる人はそれぞれ、年齢、住所、仕事など、基本的な質問を含むアンケートに記入する。AIシステムはその情報を調べ、場合によっては外部のデータソースもチェックする。その後、返済の確率と基本的な信用リスク査定を出力する。
この査定結果を利用して、Kueskiは新たな借り手を認めるかどうか、2回目の審査をするかどうかを判断する。ダバロス氏は細部を明らかにはしなかったが、審査では顧客同士の関係を掘り下げ、手作業で検証する必要のある特定の要素にフラグを立てるという。
重要なのは、このAIシステムがメキシコでは入手と利用が合法と認められる社会人口統計情報を使って判断を下す点だ。大規模機関が金融サービスシステムに取り入れているAIシステムと比べると、KueskiのAIシステムは扱うデータも少なく、対処する問題もわずかなため、迅速で機敏だとダバロス氏は話す。同社はこうしたAIシステムの作成に当たって「より自由に創造力を発揮するよう当社のデータサイエンティストに奨励している」と、同氏は説明する。
金融×AIの今後
多国籍専門サービス企業PricewaterhouseCoopers(PwC)は2017年に発行した報告書で、金融機関は2018年以降、AI技術の利用を増やすと予想していた。以下は報告書からの引用だ。
2018年には、企業は、人間の判断を助け、相互作用から学ぶツールを使って、より高度な『拡張インテリジェンス』へと向かう可能性が高い。製品の設計をカスタマイズし、予測分析を考案して、事故率の低減など、成果を高める方法としてAIに目を向けるだろう
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金融×AIの現在
金融系企業がAI技術を使うと、これまで従業員や顧客に手入力を求めていたプロセスを自動化・効率化し、業務の速度を上げることができる。実例を基に、AI技術が金融業務にもたらす効果を示す。
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