「データ主導型企業」に必要な人材育成の勘所【後編】
「データリテラシー」の高い社員を育てる鉄則とは? Red Hatに聞いた
データ主導型企業を目指す上で重要なのが、従業員のデータリテラシー向上だ。その実現のためには何をすればよいのか。データリテラシーに関する独自のトレーニングプログラムを始めたRed Hatに聞いた。
企業が従業員の「データリテラシー」(データを読み取り、分析するスキル)を向上させるための方法として、さまざまな選択肢がある。データリテラシーに関する自社独自のフレームワーク(習得の必要がある要素を体系的にまとめたもの)を構築したり、従業員トレーニングのためにコンサルタントを雇ったり、講座や認定プログラムを受けた従業員への報酬を支払ったりすることがその例だ。
IBM傘下のオープンソースソフトウェア(OSS)ベンダーRed Hatで、データリテラシープログラムリードを務めるブライアン・クラインフェルト氏は「今後も企業が扱うデータ量は増え続ける」と主張。企業の従業員が、データを集め、保存し、分析して、視覚化し、そのデータに基づいて適切な決断を下すことの必要性を分かっていても、自身が何をしているかを正しく理解していなければ「取り残されることになる」と語る。
こうした中、Red Hatは自社従業員のデータリテラシー向上のために、独自のトレーニングプロジェクトを立ち上げた。
Red Hat独自のデータリテラシートレーニングの気になる中身
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社内のデータ分析文化を醸成するには
Red Hatでは、データリテラシートレーニングを受けるかどうかは任意だという。ただしトレーニングに参加するか否かが、個人のキャリアの方向性に影響を与える可能性があるとクラインフェルト氏は指摘する。同氏によると、同社ではほとんどの従業員がデータを利用している。
もっと根本的なこととして、意思決定へのデータ利用は誰もが持っている“生活スキル”だとクラインフェルト氏とローガン氏は述べる。例えば人は選挙でどの候補者に投票するかを決めたり、購入する製品を決めたりする際に、意識的または無意識的にデータを使っている。クラインフェルト氏によると、Red Hatが従業員に提供するプログラムの目的は、そのようなデータをどのように使っているかを従業員に意識させることだという。
クラインフェルト氏は、Red Hatのデータリテラシープログラムを立ち上げるに当たって、その必要性を関係者に尋ねた。データリテラシーのフレームワーク(習得の必要がある要素を体系的にまとめたもの)や、こうしたフレームワークから他の企業が受けた恩恵を説明する書物や情報を探して読みあさった。組織固有のものではない基本的な統計学に関する市販のトレーニング資料も幾つか購入した。
その後、Red Hatの従業員向けプログラムを3段階の難易度別トレーニングに細分化した。基礎レベルのトレーニングでは、従業員はRed Hatの業務における
- 具体的なデータの使用方法
- データに関する適切な質問の作り方
- 基本的な分析手法
を習得する。より高い難易度のトレーニングを受けるにつれて、
- 統計データやデータ視覚化ツールの使い方
- データを基にストーリーを組み立てて、分かりやすく相手に伝えるデータストーリーテリングの使い方
- データに基づく意思決定の方法
などを習得できる仕組みだ。
Red Hatは従業員にデータ用語や分析用語を教えるだけでなく、実践的なハウツー情報を提供する。データの発生源や加工履歴といったデータの経路を示す「データ系列」(Data Lineage)の扱い方に加えて、データのガバナンス やセキュリティの確保、倫理的な扱い方も教える。
「データを信頼していなければそのデータは使われない。データの正確性について、ある程度の信頼が必要になる」と。データ分析コンサルティング会社 Practico Analyticsの創設者であるルーベン・ウガルテ氏は語る。「信頼があれば従業員はレポートを確認し『これが実際に起きていることなのだ』と理解できる」(ウガルテ氏)
データに基づいて意思決定をするデータ主導型企業になりたいと考える企業は、従業員向けのデータリテラシーフレームワークに投資する必要がある。それによって誰もがデータの洞察からより多くの価値を引き出せるようになる。データリテラシーの向上は、データに関連する用語を理解して、業務に当てはめることだけでは実現しない。より適切な判断を下すために責任を持ってデータを扱う方法や、データのライフサイクルについても理解する必要がある。
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