医療のデータ分析が難しい理由【後編】
新型コロナ対策に「BI」などのデータ分析ツールはどのように役立つか
新型コロナウイルス感染症の終息を目指すさまざまな活動に、ビジネスインテリジェンス(BI)などのデータ分析ツールが役立つ可能性がある。SAS Instituteの取り組みを紹介する。
「ビジネスインテリジェンス」(BI)ツールをはじめとするデータ分析ツールは、組織の運営状況の概要を可視化し、迅速かつ簡単にデータを共有し、理解を深め、さらなる分析を進められるようにする。医療機関が新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の最善の治療法を追求することを後押ししたり、ワクチン開発プロジェクトを促進したりするのにも役立つ可能性がある。
データ分析が医療機関にもたらす意外な価値
「大半の病院が導入しているデータ分析ツールは、医療従事者向けではなく経理部門向けに開発されたものだ」とライアン・マガリー氏は話す。マガリー氏は医療機関Los Angeles County + USC Medical Center(以下、LAC+USC Medical Center)の緊急治療室(ER)に勤務する医師だ。経理部門だけのためにデータ分析ツールを運用するのではなく、別の有意義な方法でデータをシステムに取り込むことができれば「そのデータの適切な処理方法を考えられる人材に必要な情報を渡せるだろう」と同氏は語る。
前編「コロナ禍で浮かび上がる『医療機関がデータを生かせない理由』」に続く後編となる本稿は、SAS Instituteが2020年6月16日にオンラインで実施した年次ユーザーカンファレンスの内容を基に、COVID-19問題の早期解決に向けてSASがどのような取り組みをしているかを紹介する。
SASは医療機関だけでなく、連邦政府、州政府、地方政府機関と協力して、COVID-19のパンデミック(世界的大流行)についての理解を深め、余波に備えている。例えばCOVID-19治療の最前線で奮闘する医療機関の一つであるCleveland Clinicと密接に連携している。
現在、SASの技術チームは「『接触追跡』を支援する技術の導入に取り組むことで、COVID-19の感染拡大と戦っている」と、同社で最高執行責任者(COO)と最高技術責任者(CTO)を兼務するオリバー・シャーベンバーガー氏は説明する。接触追跡とは、ウイルスの宿主が感染力を持つ時期(宿主が他の人に感染を広げる可能性がある時期)に接触した人との関係を把握し、接触した可能性がある人に注意喚起することだ。
マガリー氏によると、医療業界にデータ分析は十分に浸透していないものの、データ分析のための技術は切望されているという。「COVID-19危機のさなかに医療業界が直面している問題に取り組むことが、社会改善の一助となれば幸いだ。シンプルかつ効果的なアプローチが生活の質を向上させ、医療従事者の役に立つ技術の誕生にもつながれば、こんなにうれしいことはない」(同氏)
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