“脱Intel”は是か非か
Apple爆速チップ「M1」搭載のiMac、iPad Proを素直に喜べない“切実な理由”
Appleは「iMac」「iPad Pro」の新製品に同社開発のSoC「Apple M1 Chip」を搭載し、処理速度を高めた。独自の“脳”を持たせた新製品は魅力的ではあるが、同時にある懸念ももたらしている。それは何なのか。
「Apple M1 Chip」(Apple M1チップ、以下M1)を搭載したデスクトップデバイス「iMac」とタブレット「iPad Pro」の発売は、AppleがM1を生かした製品開発をいかに急速に進めているかを示している。M1は、同社が独自設計したSoC(プロセッサなどシステムの構成要素を1つのシリコンチップに集約した製品)であり、Armアーキテクチャ採用のプロセッサを搭載する。バッテリー効率を高めて低電力を追求しながら、高速なデータ処理を可能にしている。
爆速「M1」がiMac、iPad Proにもたらす高性能と、残る“あの懸念”
2021年4月にAppleは、M1を搭載したiMacやiPad Proの新製品を発表した。2020年11月に、最初のM1搭載製品となったノート型デバイスの2製品「MacBook Air」「MacBook Pro」と小型デスクトップデバイス「Mac mini」を発表してから約5カ月のタイミングだ。今回の新しいiMacとiPad Proは最初の3製品と同様、M1によって処理速度やバッテリー駆動時間などの性能を大幅に向上させている。
M1を搭載した新iMacは23.5型ディスプレイを採用し、21.5型の旧機種より大きくなった。Appleによると、新iMacや新iPad Proは、それぞれの旧機種と比べてアプリケーションの実行やグラフィックス処理の速度を大幅に高めている。これらの高速化にM1が貢献したことは間違いない。ただしユーザーにとってはM1搭載を手放しで喜べない事情がある。
従来はクライアントデバイスにIntel製プロセッサを使っていたAppleは、M1搭載の製品開発を急速に進めている。専門家の間では、同社向けソフトウェアベンダーがそのスピードに追い付けるかどうかについて懸念の声もある。特に高度な設計が必要なビジネスアプリケーションを手掛けるベンダーの動きに注目が集まっている。
調査会社Gartnerは「多くのビジネスアプリケーションは、Armアーキテクチャのプロセッサを搭載したデバイスでは稼働できない」と指摘する。一方でAdobeやMicrosoftなど大手ベンダーは、M1向けビジネスアプリケーションの提供を進めている。AppleのMac用アプリケーション変換ソフトウェア「Rosetta 2」を使えば、Intel製プロセッサを搭載した従来型Macのアプリケーションのほとんどは、M1搭載Macでも動作するようになる。
テレワーク需要に応えるM1搭載iMac
新iMacはディスプレイに、解像度1130万ピクセル、輝度500ニトの「Retina display」(「Retinaディスプレイ」)を採用。テレワークでのWeb会議に役立つ解像度1080p(1920×1080ピクセル)のカメラも搭載する。付属キーボードはタッチセンサーを備え、指紋認証によるログインや支払い、ユーザープロファイルの切り替えなどを可能にする機能「Touch ID」を使えるようにしている(写真1)。
Appleは2021年5月、新iMacの販売を開始した。カラーバリエーションはブルー、グリーン、ピンク、シルバー、イエロー、オレンジ、パープルの7色だ(写真2)。同社は同年4月、Spotifyの同名音楽配信サービスの対抗馬を目指すサブスクリプション(月額課金)サービス「Apple Podcasts Subscriptions」(「Apple Podcastサブスクリプション」)を開始することも発表した。ユーザーは広告なしで番組を聴いたり、配信限定番組を聴いたりできる。
加えてAppleは紛失防止タグ「Air Tag」を発表した。財布やかばんに取り付ければ、ユーザーは同社製デバイスの追跡機能「Find My」(「探す」)を利用して所在を追跡できる。
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