COVID-19の影響でチップをはじめとしたPCの部品不足が起こり、PCの生産に遅延が生じている。PCベンダーとユーザーが受ける影響とは。
世界的なチップ不足がPCの価格と納品までの時間を押し上げている。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大によって世界中のチップ工場が閉鎖を余儀なくされたことや、PC需要が高まったことがチップ不足の原因だ。調査会社Gartnerによると、PCの2021年第1四半期(1月~3月)の出荷数は前年同期比で32%増加した。
Gartnerはチップ不足が少なくとも2021年まで続くと予測する。同社はチップ不足について「今のところ前向きなニュースは見当たらない」と説明する。調査会社のCanalysは、チップ不足が更に2022年まで続くと予測する。
エレクトロニクス設計と製造を手掛けるTitomaのキージャン・エンゲレンCEOは、チップ不足により、自社で使用するコンピュータのアップグレードを遅らせることを余儀なくされたと明かす。「他の企業と同様に、供給が追い付くまで利用可能なPCを使い続けるしかない」とエンゲレン氏は語る。チップ不足のため社内にあるコンピュータのリプレースやスケールアップが滞り、エレクトロニクス設計の事業に遅延が生じた。エンゲレン氏は、自社の顧客が「状況をコントロールできない」ことを理解していると言う。
PCベンダーはチップの供給が限られている中で、ユーザーの需要を満たすための対処を続けている。PCベンダーのAcerはチップベンダーと日々協議し、需要を満たすことに努めている。HPは「業界全体に見られる部品不足の課題に対処し続けている」と説明。「増大する需要に対応するために懸命に取り組んでいる」と主張する。
Appleではチップやディスプレイ部品の不足により、Appleのノート型デバイス「MacBook」やタブレット「iPad」の製造が一部遅れていると、日本経済新聞社の英文媒体「Nikkei Asia」が報じている。通信社のBloombergによると、部品不足の深刻化にもかかわらず、Appleは新しい「iPad Pro」の提供を計画しているという。
調査会社IDCによると、部品不足と物流の問題は、PCの平均販売価格上昇の一因になっている。価格を引き上げたPCベンダーにHPがある。同社は声明の中で「関税や運賃、梱包、部品などのコストの上昇により、さまざまなPCの価格が上昇した」と述べている。
さらにアナリストは、PCベンダーが低中価格帯のコンピュータよりも高単価のコンピュータの製造と販売を優先すると予測する。調査会社Constellation Researchのアナリスト、ホルガー・ミューラー氏は「PCベンダーは売上総利益を確保するために、ハイエンドの機器にシフトする」と語る。
チップを求めてPCベンダーやスマートフォンベンダーと競合する自動車業界は、チップ不足の影響がさらに深刻だ。経済新聞社のWall Street Journalは、自動車メーカーがシリコン不足のために複数の車種の生産を停止したと報じている。
米国の政府はチップ不足による悪影響を見過ごしていない。2021年にジョー・バイデン大統領は、サプライチェーンの混乱を防ぐために政府が積極的に関与することを求める大統領令に署名している。
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